場所:磐舟(ばんしゅう)は瀬波温泉に2002年7月にできた新しい日帰り入浴施設である。大観荘の斜め向かいの白壁の建物であり、大観荘の姉妹施設である。以前は別の旅館だったように記憶している。下から見上げた高台に浴室が造られており、左手には源泉櫓があり、湯気が吹き上がっている様は壮観である。
料金:入浴は大人700円、小人400円、タオルなし。タオルセットは200円。玄関でスリッパに履き替え、フロントでお金を払って、3階の浴室に向かう。3階とは言っても、長い階段を上った先の高台である。
浴室:階段を上りきった先に小さな休憩所があり、その両脇に浴室入り口がある。脱衣場は狭い。鍵付き貴重品入れと脱衣籠がある。浴室は狭苦しく、長方形の大浴槽があるのみであるが、大きな窓から日本海が一望できる。他に展望露天風呂がある。浴槽が外側の柵ギリギリにあって、道路や向かいの大観荘の高層の建物がよく見えるので、立ち上がれば外からも丸見えかも知れない。洗い場は4ヶ所のみ。ボディソープ、シャンプー完備。脱衣場洗面台にドライヤーあり。
泉質:源泉名は、瀬波温泉大観1号、瀬波温泉大観2号、ラピス2号井、噴湯(元湯)、元湯2号。この5源泉を分湯して混合使用。泉質は、ナトリウム-塩化物温泉。源泉温度81.5℃。主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成20年1月28日分析)は、Li
3.9、Na 1322、K 72.4、Mg 0.4、Ca 88.2、Sr 2.1、F 5.5、Cl 1915、Br 7.8、SO4 218.7、HCO3 55.5、CO3 9.0、メタ珪酸
150.2、メタ硼酸 18.0 など、ガス性除く成分総計は3870mg/kg。実際の湯は、無色・透明、軽度石油臭・塩味苦味がある柔らかい湯であり、掛け流しされている。温度調整のため水道水で加水、循環・濾過なし、入浴剤・消毒剤の使用なし。加水されているためか、本来の源泉のインパクトが乏しくなっているのが残念である。
コメント:高台に浴室があるので眺望は良い。日没時の入浴がおすすめ。そば処でもあり、食事をかねて訪問されると良い。宿泊も可能である。宿泊すると大観荘の浴室も自由に利用できるという。掛け流しの新鮮な源泉を堪能できる点ではお勧めできる施設であるが、タオルなし700円は高く感じる。
附記:磐舟(ばんしゅう)は読み方を変えれば「いわふね」となる。日本書紀に書かれている蝦夷に備えてこの地に築かれた磐舟柵(いわふねのさく)にちなんだものであろう。現在の岩船という地名もこれに由来する。
附記2:現在は混合源泉となているが、開業当初の源泉は大観荘1号源泉のみであった。源泉温度88.0℃の含硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、主な成分はLiイオン2.6mg/kg、Naイオン1217mg/kg、Kイオン46.6mg/kg、NH4イオン2.6mg/kg、Mgイオン0.5mg/kg、Caイオン75.3mg/kg、Mnイオン0.1mg/kg、Srイオン1.5mg/kg、Baイオン0.8mg/kg、Feイオン5.3mg/kg、Fイオン4.6mg/kg、Clイオン1958mg/kg、チオ硫酸イオン4.3mg/kg、硫酸イオン192.6mg/kg、炭酸水素イオン48.9mg/kg、炭酸イオン1.5mg/kg、Brイオン7.4mg/kg、Iイオン1.3mg/kg、メタ珪酸117.9mg/kg、メタ硼酸28.2mg/kg、遊離炭酸ガス0.2mg/kgなど、ガス性除く成分総計は3712mg/kgであった。瀬波温泉の他の源泉と違って硫黄分を含むのが特徴であり、微濁あるが無色、軽度石油臭・塩味苦味がある柔らかい湯であった。とろろ昆布状の湯花が大量に浮遊し、源泉の注ぎ口に布袋がかぶせられ、湯花を除去していたが、それでも大量の湯花があった。ゼリー状の湯花を気持ち悪がっている客もあったが、源泉100%掛け流しの湯は温泉好きにはたまらない魅力であった。現在は配湯時にきれいに濾過されているためか、湯花は認めず、その分大人しい湯になっている。
(No.280 2002/11/3、2009/9/27改訂、2019/9/21URL訂正、2021/4/4定休日訂正) |