東京六人組 結成10周年記念ツアー
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2025年11月29日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
東京六人組
フルート:上野由恵、オーボエ:荒 絵理子、クラリネット:金子 平
ファゴット:福士マリ子、ホルン:福川伸陽、ピアノ:三浦友理枝
 
モーツァルト(竹島悟史編):歌劇「フィガロの結婚」序曲
R.シュトラウス(磯部周平編):歌劇「サロメ」より 「7つのヴェールの踊り」
ドビュッシー(磯部周平編):小組曲より 「小舟にて」「行列」
デュカス(浦壁信二編):交響詩「魔法使いの弟子」

(休憩20分)

ファリャ(松下倫士編):歌劇「はかなき人生」より 「スペイン舞曲」
ブラームス(岩岡一志編):ハンガリー舞曲より 第1番、第5番、第6番
ロッシーニ(松下倫士編):歌劇「セビリアの理髪師」序曲
ボロディン(竹島悟史編):歌劇「イーゴリ公」より 「韃靼人の踊り」

(アンコール)
ビゼー(レ・ポータス編):歌劇「カルメン」より「間奏曲」
ビゼー(松下倫士編):歌劇「アルルの女」より「ファランドール」
 

 「東京六人組」は、東京のオーケストラの首席奏者やソリストとして東京を拠点に活躍する同世代の音楽家6人により2015年に結成されたアンサンブルです。「東京六人組」というのは、何ともユニークで垢抜けないユニット名ですが、実力者揃いです。

 メンバーのうち東京交響楽団首席奏者の荒 絵理子さん、福士マリ子さんは新潟でもすっかりお馴染みですが、そのほか読売日本交響楽団首席奏者の金子 平さん、元NHK交響楽団首席奏者の福川伸陽さん、日本音楽コンクール第1位でソリストとして活躍する上野由恵さんの管楽器奏者5人に、数々の国際コンクールでの優勝歴を誇り人気のピアノニストの三浦友理枝さんが加わる錚々たるメンバーです。
 コンサート活動のほかCDも発売し、発売したCDはいずれもレコード芸術特選盤となり、高い評価を得ているとのことです。

 新潟には2022年2月に来演して素晴らしい演奏を聴かせてくれましたが、そのときはチケットは手元にあったものの聴きに行けなくて無駄にしてしまいました。今回はその時以来、3年9か月ぶりの新潟公演ですし、結成10周年記念公演ということで期待が高まりました。

 それぞれ多忙な音楽家であり、この6人が集まっての演奏会は貴重です。今回の10周年記念ツアーは、全国で11公演予定されており、すでに3月に1公演、6月に2公演、10月に3公演が行われています。11月24日の大田区での公演に引き続いて、新潟は8公演目で、明日は宇都宮公演が予定されています。

 演奏もさることながら、女性陣はヴィジュアル的にも美しい方々であり、大いに期待したいと思います。今回は東響定期会員向けの割引セット券の購入でしたので、座席は選べませんでしたが、指定された席は1階席のど真ん中でした。日頃選ぶ場所ではないですが、新鮮な気持ちで楽しませていただこうと思います。


 11月最後の週末。来週から12月だと思いますと、あわただしさを感じます。来週は寒波がやって来て、水曜日頃から平野部でも降雪が予想されていますが、今週末は天候が安定し、今日も朝から青空も見えて、過ごしやすい陽気になりました。束の間の好天を楽しみましょう。

 いつものように、与えられたルーチンワークを終えて、某所で安価な昼食をいただき、りゅーとぴあへと向かいました。
 駐車場に車をとめて、県民会館を覗いてみましたら、鼓童の開場待ちの人たちで賑わっていました。りゅーとぴあに入館しますと、こちらは静かな空気に満たされていました。

 ロビーで友人に出会い、世間話をしていますと開場になりましたので、列に並んで入場し、席に着きました。バリューパックのセット券で与えられた席は、1階10列目中央のベストポジションです。
 それはそれでありがたいことなのですが、それほど混み合わない客席の中で、セット券購入者の席だけは前後左右ともびっしりと埋まり、肩身が狭くリラックスできずに残念でした。
 視覚的・音響的には良いのでしょうけれど。個人的には、後方でも周囲に余裕がある方が好きなのですが仕方ありません。

 開演時間となり、6人が譜めくりとともに入場しました。左からフルートの上野さん、オーボエの荒さん、ファゴットの福士さん、ホルンの福川さん、クラリネットの金子さんと並び、後方にピアノの三浦さんです。

 1曲目は、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲です。軽快に、スピーディに、小気味良く演奏が進みました。わずか6人の演奏にもかかわらず、小編成のオーケストラを聴くかのような芳醇なサウンドで楽しませてくれました。躍動感と色彩感に溢れる演奏で、観客の心を一気につかみました。

 ホルンの福川さん以外が退席して、福川さんによる挨拶があり、ホールの音響の良さや、新潟の食の旨さなど、お決まりの社交辞令があり、曲目紹介の間に他のメンバーが登場しました。以後このパターンで演奏が進められました。
 2曲目は、R. シュトラウスの歌劇「サロメ」から「7つのヴェールの踊り」です。激しく始まり、その後はゆったりと音楽が流れ出ました。オーボエの妖艶な演奏にフルートが続き、ちょっとおどろおどろしい音楽が展開しました。
 各奏者の力量が遺憾なく発揮され、オペラの場面が思い浮かぶような、オーケストラ演奏にも負けない表現力豊な演奏に引き込まれ、最後は迫力ある演奏に圧倒されました。

 今度はピアノの三浦さんによる挨拶がありました。三浦さんは長野県に移住して、隣県である新潟県にはしばしば来ているとのことでした。
 曲目紹介の間に他のメンバーがスタンバイして、2曲目は、ドビュッシーの小組曲の4曲の中から「小舟にて」と「行列」の2曲が演奏されました。
 「小舟にて」は、甘いフルートで始まり、爽やかに、穏やかに音楽が流れ、川面を吹き渡るそよ風や、水面の輝きなどを髣髴させ、心地良さを感じました。「行列」は、憂いを秘めながらも明るくリズムを刻む音楽が、心地良く感じられました。

 ファゴットの福士さんによる挨拶と曲目紹介があり、前半最後は、デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」が演奏されました。
 深遠な長い序奏の後に物語が始まりました。ファゴットによるお馴染みのメロディが奏でられ、各楽器へと引き継がれ、大騒ぎする音楽劇が展開しました。
 6種類の楽器が縦横に騒ぎまわり、躍動感と色彩感に溢れる音楽に圧倒され、眼前に繰り広げられる総天然色のファンタジーの世界に引き込まれました。上野さんはフルートとピッコロを持ち変えて演奏し、いい演奏効果をあげていました。

 大きな拍手が贈られて休憩時間になりました。CD購入者は終演後にサイン会を開催するとのことで、CDを買い求める人たちがたくさんおられました。休憩時間中、ステージではピアノの調律が入念に行われていました。

 休憩時間が終わり、6人が譜めくりとともに登場して、後半最初は、ファリャの歌劇「はかなき人生」からの「スペイン舞曲」です。
 オーボエのスペイン風の響きで始まり、情熱的な舞曲が演じられました。ホルンが咆哮し、緩急・強弱のメリハリのある演奏に聴き入りました。

 ここでクラリネットの金子さんによる挨拶と曲目紹介がありましたが、金子さんの両親は十日町出身で、現在も祖父母は十日町に住んでおられるとのことで、新潟県人とも言えそうですね。
 そして後半2曲目は、ブラームスのハンガリー舞曲から、第1番、第5番、第6番の3曲が演奏されました。第1番は、クラリネットともに始まり、オーボエにメロディが引き継がれ、音楽が展開して行きました。クラリネットが前面に出て、メリハリのあるスピーディな演奏で楽しませました。
 第5番は、ここでもクラリネットが前面に立って、緩急のアクセントも小気味良く、お馴染みの音楽を躍動感たっぷりに演奏してくれて、一部の観客から拍手が沸き起こりました。
 第6番は、オーボエとクラリネットに始まり、緩急のアクセントを大きく取って、躍動感のある舞曲を楽しませてくれました。

 ここでオーボエの荒さんによる挨拶と曲目紹介があり、続いてはロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲です。金子さんはクラリネットを2本持って登場しました。
 この曲は、今回の10周年記念ツアーに際して、札幌コンサートホール、新潟りゅーとぴあ、所沢ミューズ、アクロス福岡が共同で委嘱した編曲作品だそうです。
 各楽器が交互に躍動する編曲の素晴らしさもあり、躍動感に溢れる音楽が次々に展開して行き、音楽の流れに身を任せるのみでした。

 次はフルートの上野さんによる挨拶と曲目紹介がありましたが、2013年に1コイン・コンサートとリサイタルで来演していること、1コイン・コンサートの人気投票で選ばれて、再度1コイン・コンサートに出演したことなどの話がありました。
 また「東京六人組」結成についての話がありましたが、11年前に岐阜でのコンサートで6人が共演する機会があって意気投合し、「東京六人組」として演奏活動することを決めたそうです。

 そして、最後の曲は、ボロディンの歌劇「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」です。美しい序奏に始まり、オーボエがお馴染みの甘いメロディを美しく歌い、そのメロディはファゴットに引き継がれて音楽劇が展開して行きました。
 クラリネットが軽やかに歌い、フルートが受け継ぎ、軽快に音楽が流れて行きました。緩急を繰り返して再びオーボエが歌い、激しいリズムとともに、どんどんと緊張感を高め、迫力いっぱいの盛り上がりの中に終演となりました。
 わずか6人だけで、これほど躍動感と迫力に溢れた音楽を生み出すとは信じがたいほどであり、室内楽ではなく、小型のオーケストラの演奏と言うべきだと感じ入りました。
 熱い演奏に圧倒され、6人の奏者の素晴らしさを再認識するとともに、この楽器構成に合わせての素晴らしい編曲も賞賛したいと思います。

 大きな拍手に応えて、アンコールにビゼーの歌劇「カルメン」からの「間奏曲」が演奏されました。上野さんのフルート・ソロが美しく、クラリネットとの掛け合いにもうっとりとしました。先ほどの演奏の興奮を鎮めてくれる最適の曲であり、極上のデザートのような演奏でした。

 さらに拍手が続き、福川さんの挨拶があり、アンコール2曲目に、ビゼーの歌劇「アルルの女」から「ファランドール」を迫力いっぱいに演奏しました。福川さんはホルンをパーカッション代わりに叩いたりと、大きな興奮と感動をホールにもたらし、終演となりました。

 各楽器のトップ奏者が6人集まってのユニットですが、単に6人分合わせただけの音楽ではなく、相乗効果によって何倍にも、何十倍にも魅力を増した音楽が花開きました。いい音楽を聴いた満足感と、爽やかな感動を胸に、ホールを後にしました。
 

(客席:1階10-24、S席:バリューパック¥2500)