新潟市ジュニアオーケストラ教室第43回演奏会
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2024年8月25日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:藤井裕子(A合奏)、碇山隆一郎(B合奏)
 
ロビーコンサート
弦楽アンサンブル
  ウォーロック:カプリオール組曲 第1楽章
木管五重奏
  アブレウ:ティコ・ティコ
フルート四重奏
  クーラウ:グランド・カルテット

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A合奏 (指揮:藤井裕子)
ウッドハウス:ペザント・ダンス
オッフェンバック(ウッドハウス編):「ホフマン物語」より 舟歌
モーラン:トレパック(ロシアン・ダンス)

B合奏 (指揮:碇山隆一郎)
ムソルグスキー(コルサコフ編):交響詩「はげ山の一夜」

(休憩20分)

ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
シューベルト:交響曲 第7番 ロ短調 D759 「未完成」

(アンコール)
エルガー:威風堂々第1番
 
 今日は、1年で一番楽しみにしている新潟市ジュニアオーケストラ教室の演奏会です。新型コロナ禍で中止を余儀なくされた2021年の第40回演奏会を除いては、他の予定をけって毎年欠かさず聴かせていただいております。
 私は、この演奏会を楽しむために1年を生きていると言っても過言ではなく、今年も無事にこの演奏会の日を迎えることができて、ありがたく感じています。
 毎年書いていますが、ベルリン・フィルが来ようが、ウィーン・フィルが来ようが、私は新潟市ジュニア・オケを選びます。という気概で臨んでおります。

 全国には数多くのジュニア・オケがありますが、新潟市の特徴は、他のジュニア・オケのように団員を初めからオーディションで選抜するのではなく、初心者から参加することができて、A合奏からB合奏へと進級するというシステムにあります。そのためジュニアオーケストラ教室という名前なのですが、すばらしいことだと思います。

 小学生から高校生までのオケですので、演奏技術としては限界があり、当然プロにかなうはずなどあり得ませんが、プロオケでも感じられない何かを感じることができます。大げさかもしれませんが、ジュニア・オケの演奏から、毎年生きる勇気をいただいています。
 先週は、この新潟市ジュニアオーケストラ教室のOB/OGによる白山祝祭管弦楽団第1回定期演奏会があり、大きな感動をいただきましたが、いよいよ本家のジュニア・オケの演奏会です。

 初級のA合奏の指揮者は、不動の藤井裕子さんですが、上級のB合奏の指揮は、昨年から碇山隆一郎さんになりました。今年のプログラムは、例年より若干小ぶりに感じますが、どのような演奏を聴かせてくれるのか期待したいと思います。

 猛暑続きで夏ばて気味の日曜日、昨日の天気予報では、朝から雨のはずでしたが、曇りの予報に変わり、どんよりとした天候ながらも雨にならずに良かったです。
 ゆっくりと昼食を摂り、家を出ました。空は厚い雲に覆われていましたが、日光が遮られて、その分だけ過ごしやすく感じられました。
 白山公園駐車場に車をとめて、りゅーとぴあに入りますと、すでに開場待ちの列ができていました。インフォメーションで某コンサートのチケットを買い、列に並んで開場を待ち、開場とともに入場しました。客席は3階は使用されず、1階と2階だけでしたので、いつもの2階正面に席を取りました。

 すぐにロビーに移動して、13時25分からロビーコンサートを聴きました。最初は、弦楽アンサンブルで、ウォーロックのカプリオール組曲から第1楽章です。弦5部は、6-5-3-4-2 です。
 美しい弦楽アンサンブルがホワイエにこだまして、うっとりと聴き入りました。奏者の直前で聴いたのですが、皆さん良い音を出していて、しっかりと練習が積まれていることがよくわかりました。
 続いては、木管五重奏で、ティコ・ティコです。美しいアンサンブルで軽快に演奏し、ラテンののりで楽しませてくれました。
 最後は、フルート四重奏で、クーラウのグランド・カルテットです。これも聴き応えのある演奏でした。特に1番を吹いた奏者のテクニックが素晴らしく、華やかに演奏を飾っていました。

 ロビーコンサートが終わり、席に戻って、この原稿を書きながら、開演を待ちましたが、客の入りとしましては、芳しくありません。3階席が使用されていないにも関わらず、1階席前方や2階サイド席には、かなりの空席がありました。かつては、3階席を含めて、かなりの入りだったと記憶していますが、どうしたのでしょうね。

 開演時間となり、最初は、初級のA合奏です。拍手の中に、団員が入場しましたが、弦の少なさに驚きました。弦5部は、なんと 2-2-1-1-1 です。そのうちヴィオラとコントラバス奏者は、どう見ても小学生と中学1年生からなるA合奏には見えず、助演の方と思われました。
 弦以外は、フルート3、オーボエ1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン1、トランペット2、トロンボーン1、打楽器2という編成で、小編成にも関わらず、フルートの多さが目立ちました。
 これまでA合奏を聴き続けてきましたが、これほど弦が少ないことは、これまでになかったように思います。寂しさを感じましたが、少子化の影響でしょうか。団員が増えてくれることを祈ります。

 藤井先生が登場して、1曲目は、ウッドハウスの「ぺザント・ダンス」です。ゆっくりと、ゆったりと演奏が始まりましたが、聴いてびっくり。このアンバランスな寂しい編成ながらも、ちゃんとしたオーケストラの音になっていました。出だし快調であり、藤井先生の指導の賜物と感服しました。

 ここで団員による挨拶と曲目紹介、そして団員募集についての話があり、2曲目は、オッフェンバックの「ホフマン物語」から有名な「舟歌」です。ウッドハウスによる初心者向けの編曲による演奏でしたが、ゆったりと美しいメロディを歌い上げました。弦が多ければ、もっと聴き映えしものと思いますが、ないものねだりですね。

 続けて3曲目は、モーランの「トレパック」です。これは軽快で躍動感のある演奏で、聴き応えがありました。助演のヴィオラとコントラバスが引き締めてくれて、楽しめる演奏に仕上がっていました。

 子供たちの頑張りに大きな拍手が贈られて、カーテンコールで藤井先生に花束が贈呈され、全員で礼をしてA合奏のステージは終演となりました。
 最初に感じた不安は消え去って、3曲ともなかなかのできでした。5月にこのA合奏を結成して、4ヶ月足らずでここまでの演奏に仕上がっているというのは、すごいことだと思います。団員が増えてくれたら、さらに良い演奏になるものと思います。今後に期待したいと思います。

 B合奏用にステージが整えられている間に団員による挨拶と曲目紹介、さらに団員募集の話がありました。団員が入場して、いよいよメインのB合奏の開演です。
 弦5部は、11-10-6-9-5 というアンバランスな編成で、ヴィオラの少なさが気になりました。例によってフルートだけがやたら多く、ピッコロを含めて6人いました。

 碇山さんが登場して、1曲目は、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」です。さすがに上級者であり、迫力あるオーケストラサウンドを聴かせてくれました。真夜中に繰り広げられるおどろおどろしい光景から静かに迎える夜明けまで、眼前にその光景が広がるようでした。情感豊かな余韻とともに、曲を美しく閉じて、楽しませてくれました。

 休憩を終えて、後半最初は、ニコライの「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲です。繊細な弦楽アンサンブルで始まり、美しくまとまった演奏に、うっとりと聴き入りました。聴き応えある演奏だったと思います。

 最後は、シューベルトの交響曲第7番「未完成」です。チェロとコントラバスの地を這うような響きに始まり、オーボエやクラリネットが美しくメロディを奏で、弦楽合奏も美しく、途中に嘆くような感情の高ぶりも見せて、陰影を感じさせる引き締まった演奏に引き込まれました。
 第2楽章は、ホルンとコントラバスのピチカートに導かれて、弦が優しく歌いました。管の各パートが頑張ってくれて、聴き応えある演奏に仕上がっていました。
 ときに重く感情を吐露し、そして優しく音楽を奏で、私が聴きどころだと勝手に思っている天に昇るかのようなヴァイオリンのオクターブの跳躍も繊細に美しくこなしてくれて、静かな余韻とともに、穏やかな感動の中に終演となりました。

 大きな拍手が贈られ、数回のカーテンコールの後、碇山さんに花束が贈られて、碇山さんからの挨拶がありました。次は、来年3月のスプリングコンサートで演奏することのほか、来年夏にはジュニア・オーケストラ・フェスティバルが開催されることなどのお話がありました。

 この間にオルガン席に濱野さんが着いて明かりが灯り、碇山さんから濱野さんの紹介があって、アンコールは、もちろん「威風堂々」です。
 演奏が始まるとともに、胸は高鳴り、長い序奏の後にメインテーマが奏でられますと、感動は抑えきれず、思わず目に涙がこみ上げてきました。感動の嗚咽を抑えるために、手で首をつねって感情の高ぶりを必死に押さえました。
 そして、終盤にオルガンが加わりますと、もはや涙腺崩壊です。これです。これがジュニア・オケなんです。先日東京交響楽団の演奏をここで聴いたばかりなのですが、演奏技術は劣っていても、生み出される感動は、ジュニア・オケの方が勝っています。プロの演奏でも味わえない感動がここにあります。
 演奏が終わらないうちに、碇山さんが客席に振り返って拍手を促して、私も力の限り拍手しました。目からは涙がこぼれてきましたが、ぬぐうこともせず、ブラボーを叫べない自分を恥ずかしく思いながら、拍手を続けました。再度のカーテンコールの後、全員で礼をして、感動の演奏会は終演となりました。

 正直申し上げて、今回のプログラムは短い曲が並んでいて、どうなのかな、と微妙に思っていたのは事実なんですが、最後には結局泣かされてしまいました。
 この感動は何なんでしょうね。この感動こそが、私が毎年ジュニア通いをしている理由です。来年のこの日まで、生きていくエネルギーをいただいたように思います。
 来年もこの演奏会に来ることができるよう、明日から仕事に励み、精進したいと思います。体はどんどんと衰えてきていますので、健康にも注意せねば・・。

 感動とともに外に出ますと、雲が厚くなっていて、怪しげな天候になってきました。帰り道、南の方角では雷が光り、雷鳴が轟いていました。
 家に着き、この原稿を書いていますと、テレビの画面には大雨警報・洪水警報のテロップが出ていました。被害が出ませんように・・。


(客席:2階C6-12、¥1000)