白山祝祭管弦楽団は、新潟市ジュニアオーケストラ教室の卒団生を中心に、2023年8月に発足し、月に1〜2回の練習を重ね、本日が記念すべき第1回定期演奏会となりました。
「白山祝祭」というネーミングがいいですね。青春の一時期を、この白山の地に捧げた団員の熱い思いが伝わってくるように、勝手に思っています。
ともあれ、新潟市ジュニアオケをこよなく愛する私としましては、卒団生のオーケストラも聴かないわけにはいきません。それも第1回の演奏会ですので、是非とも聴きたいと思い、早々にチケットを買い楽しみにしていました。
今回指揮をするのは、2018年〜22年まで新潟市ジュニアオーケストラ教室のB合奏を指導し、「TEAM DAISUKE」として結束し、黄金期を築いた永峰大輔さんです。第1回の指揮者としては、やはりこの人が適任でしょうね。
新潟市ジュニアオケの卒団生のオーケストラといえば、2013年に結成された「Revoir」が思い浮かびます。2014年2月に第1回演奏会を開催し、その後2014年8月にはサマーコンサートも開催し、以後活発な活動を始めましたが、2018年7月の第5回定期演奏会を最後に、活動が途絶えてしまいました。このオケと「Revoir」との関連がどうなのかは知りませんが、末永く活動を続けていただきたいと思います。
今日は朝に雨が降りましたが、その後は晴れて青空が広がりました。ゆっくりと昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。駐車場に車をとめて、ギラギラ太陽に照らされて、暑さ厳しい中に、りゅーとぴあ入りしました。
まだ1時を過ぎたばかりでしたが、既に開場されており、私もすぐに入場して、2階正面に席を取りました。初めは前方に席を取ったのですが、遅れて私の前に席を取ったご婦人の匂いがきつすぎて、いたたまれず、後方に席を移しました。匂いにも気をつけていただければありがたいです。
そうこうしているうちに、13時20分よりプレコンサートが始まりました。まず、浴衣姿の男性二人が登場。井上航汰さんと客演のアレクシー・ブラヤさんによるトロンボーン二重奏です。
パリ五輪にちなんでだと思いますが、フランス国歌に始まり、人生のメリーゴランド、G線上のアリアと続き、オーシャンゼリゼを鈴を鳴らしながら楽しく演奏しました。
ホールにふくよかなトロンボーンの音が響き渡り、美しい二重奏のハーモニーにうっとりと身を委ね、気持ち良く音楽を楽しみました。
演奏を終えた井上さんは、はるばる来てくれたブラヤさんを讃えてハグをして、フランス国旗を振って退場しました。
続いては、モーツァルトのクラリネット五重奏曲から第1楽章です。クラリネットは蝶名林菜央さん、第1ヴァイオリンがコンマスの山内信旺さん、第2ヴァイオリンが渡辺朔也さん、ヴィオラが渡部正也さん、チェロが小林心陽さんです。
蝶名林さんの穏やかなクラリネットが弦楽四重奏とともに美しく演奏されて、ゆったりと音楽に浸りました。プレコンサートにはもったいなく、全曲聴きたかったです。
開演時間となり、演奏前に永峰さんによるプレトークが行われ、このオケの紹介や、プレコンサートで素晴らしい演奏を聴かせてくれたトロンボーンの井上さん(フランス留学中とのこと)、クラリネットの蝶名林さん(国立音大在学中とのこと)の紹介があり、今日のプログラムの説明がありました。ベートーヴェンとストラヴィンスキーは、100年の隔たりがありますが、曲の共通点があることなど、興味深く拝聴しました。
永峰さんが下がった後、しばらくの静寂があり、待ちくたびれた後に団員が入場。最後にコンマスの山内さんが登場してチューニングとなりました。
弦5部は 5-5-5-5-3 ですが、弦の並びが面白く、コントラバス以外の各パートは、トップ奏者が前列に1人いて、その後方に2人ずつ並んでいました。コンマスをはじめ、各トップ奏者のソロの演奏効果を狙ってのためでしょうか。
永峰さんが登場して前半は、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「プルチネルラ」です。全8曲からなりますが、第1曲のシンフォニアは、コンマスのソロを交えて、美しいアンサンブルとともに明るく演奏されました。
第2曲のセレナードは、長大な哀しげなオーボエのソロが素晴らしく、続けての第3曲のスケルツィーノは、曲調が一転して明るく始まり、様々に展開して聴き応えがありました。
第4曲のタランテラは、軽快にせわしなく音楽が奏でられて躍動感を感じさせ、続けての第5曲のトッカータも快活に走り抜けました。
第6曲のガヴォットとヴァリエーションは、管のみで演奏され、超高速なパッセージも乱れることなく美しく演奏し、各パートとも見事なパフォーマンスでした。
第7曲のヴィーヴォは、トロンボーンとコントラバスの掛け合いも面白く、最後の第8曲のメヌエット・フィナーレは、ホルンに始まり、そこに弦楽四重奏が加わり、荘厳な雰囲気の中にゆったりと行進し、エネルギーを増して、明るく躍動感のあるフィナーレへとスピードアップし、高揚感をもたらして曲を閉じました。
大きな拍手が贈られて、永峰さんが真っ先にオーボエを起立させた後に各パートを順に起立させて好演を讃えました。
休憩後の後半は、ベートーヴェンの交響曲第7番です。コントラバスが増員されて、4人になりましたが、コントラバス以外の弦の配置が通常の配置になり、1列目が2人、2列目が3人となり、弦はステージ中央に密集して並びました。
永峰さんが登場して演奏開始です。室内オケとしても小編成なオケですが、中央に密集して並んだために、音が良くまとまっていて、小編成であることを感じさせませんでした。
第1楽章は、明るく軽快に演奏が進み、躍動感に溢れ、心もウキウキしました。緊張感を失わず、エネルギーに満ちた演奏は、アマオケであることを忘れさせ、精神的高揚を与えてくれました。別森麗さん、星野勝彦さんという強力な助っ人を擁するコントラバスが底辺をしっかりと支えて、演奏を引き締めていました。
アタッカで第2楽章へ。低弦の奏でるメロディが美しく響き、そのメロディが第2ヴァイオリンに引き継がれ、さらに第1ヴァイオリンへと引き継がれて、心にしみる音楽は大きなうねりとなりました。美しい中間部を経て、再び悲しいリズムを刻み、静かに歩みを止めました。
第3楽章は、軽快に始まり、淀むことなく、噴水の如く音楽が湧き出しました。まとまりのあるキビキビとした演奏は爽快であり、なかなかのものと感服しました。
アタッカで第4楽章へ。第3楽章の躍動感を引き継いで、エネルギーをどんどんと増していき、胸は高鳴りました。メリハリの効いた切れの良い演奏は心地良く、どんどんと加速して、興奮と感動のフィナーレへと駆け上がりました。
アマオケですので、多少の演奏の乱れは当然ありますが、こんなにもパワーに溢れる熱い演奏を聴かせてくれて、何の不満がありましょうか。この曲の魅力を余すことなく示してくれる感動の音楽が生み出されました。
こんなにも燃え上がる演奏を創り出してくれた永峰さんの指揮も素晴らしく、団員たちとの厚い絆が感じ取られました。
カーテンコールが繰り返されて、最後は全員で礼をして終演となりましたが、感動で胸は熱くなり、目には涙が込み上げてきました。ブラボーを叫びたかったですが、叫べなかった自分を恥ずかしく感じながら、力の限りに拍手しました。
こんな演奏を前にしますと、演奏技術を論ずることなど何の意味もなく、プロオケでもめったに味わえない感動がそこにありました。
記念すべき第1回の演奏会に立ち会えたことを幸運に思い、晴れやかな気分で外に出ますと、アブラゼミが賑やかに鳴き、容赦なく日差しが照りつけてきました。暑さは厳しく感じられましたが、良い音楽を聴くことができて、気分は爽やかでした。
(客席:2階C6-11、¥1000) |