今日は「It’s ニイガタ Concert 2024」と題された新潟ゆかりの音楽家によるガラ・コンサートに参加させていただきました。昨年も開催されましたが、諸般の事情で残念ながら参加できませんでした。そんなこともあり、今年は是非とも参加したいと思っていました。
今年は、1月20日と21日の2日間、それぞれ午前・午後の2公演、全部で4公演開催されます。各公演とも3組の音楽家が出演者しますので、全部で12組が出演します。
若手からベテランまで、多彩な顔ぶれが集まり、どの公演も楽しみなのですが、残念ながら、全公演に参加することはできず、今日の2公演のみ参加させていただくことにしました。
とはいえ、今日は冬の新潟では最大の音楽イベントである恒例の「新潟ジャズストリート」が開催され、見事に重なってしまいました。聴きたい公演もあったのですが、私は「It’s
ニイガタ Concert」を選びました。
今日は晴れ間が見えて、気温も高めで穏やかな土曜日になりました。11時開演でしたので、いつものルーチンワークを早めに終えて、りゅーとぴあへと向かいました。
館内に入りますと既に開場されており、2階正面前方に席を取りました。客の入りは良いとは言えませんが、その分ゆったりと音楽を楽しめました。
開演時間となり、まずは「中央男子」です。新潟中央高校音楽科出身の山田慧さんと品田真彦さんによるユニットです。この「中央男子」の演奏を聴くのは、昨年の「新潟クラシックストリート」での演奏を聴いて以来です。
山田さんと品田さんが登場して、ブレヴァールのソナタ第1番で開演しました。残響豊かなホールに響くチェロとピアノの音色は、柔らかで美しかったです。ただし、コンサートで演奏するには技巧的でない単調な曲に感じましたが、その理由は後で判明しました。
2人がステージから去り、チェロの譜面台が片付けられ、山田さんが再登場しました。山田さんによる挨拶と曲目解説がありましたが、今日の演目は、これまでの音楽生活での思い出の曲、ターニングポイントになった曲を選曲したそうです。そして、最初に演奏した曲は、鈴木メソッドの教則本に載っている曲で、山田さんが新潟市のジュニアオケに在籍していたときに、進級試験で演奏した思い出の曲だそうでした。
こんなお話しがあった後に、バロックチェロに替えてバッハの無伴奏チェロ組曲第1番から「アルマンド」が演奏されました。定番は「プレリュード」ですが、「アルマンド」が好きなのでこっちを演奏することにしたそうです。
バロックチェロならではの、渋さを感じさせる、ちょっと枯れた感じの音が心地良く、豊潤なホールの響きもあって、音に包まれてうっとりと聴き入りました。
山田さんに代わって品田さんが登場して挨拶があり、ショパンのバラード第3番が演奏されました。残響が豊かで、音量を抑えたソフトなピアノの響きが心地良く感じられ、激しさを排除したエレガントな演奏が、優しく心に響いてきました。
山田さんが登場して、「中央男子」の紹介や曲目の説明があり、最後はニ人によりブルッフの「コル・ニドライ」が演奏されました。この曲は、山田さんが10年前に新潟中央高校音楽科の定期演奏会で弾いた思い出の曲だそうです。
平和への祈りを込めて演奏すると話しておられましたが、やわらかに心に響くチェロ、そして優しく、ときに激しく寄り添い、チェロを支えるピアノの美しさ。心が痛む出来事が続く昨今の社会情勢を思い浮かべながら、ニ人が奏でる癒しの音楽に、心の平穏と安らぎをいただきました。
休憩の後、続いては岩本剛輝さんと長谷川悠さんによるピアノ演奏です。最初は岩本さんが登場して、ブラームスの「16のワルツ」から5曲が演奏されました。
まず、先ほどの品田さんのピアノとの音量の差を感じました。優しくソフトだった品田さんの直後に聴きますと、ダイナミック感のある演奏は、ちょっと荒削りにも感じましたが、各曲の対比も鮮やかに、楽しませていただきました。
続いて水色のドレスが麗しい長谷川さんが登場して、ショパンの「24の前奏曲」から2曲演奏されました。「雨だれ」は、明と暗の描き分けも素晴らしく、超有名曲を聴き映えのある音楽に仕上げていました。第17番もしっとりと美しかったです。
ここでニ人による挨拶があり、岩本さんは富山出身ですが、かつて新潟で暮らし、久しぶりに帰ってきたこと、長谷川さんは新潟出身で、富山にある桐朋学園大学院大学で学んでいて、室内楽を勉強し、今度はオケとの協奏曲演奏を予定しているとのことでした。岩本さんとは桐朋学園大学院大学で出会って、共演することになったそうです。
その後、ブラームスのハンガリー舞曲から3曲が連弾で演奏されました。プリモが長谷川さん、セコンドが岩本さんです。
緩急・強弱のアクセントを大きく取り、躍動感とスピード感に溢れた小気味の良い演奏であり、若きニ人のパワーに圧倒されて、楽しませていただきました。
大きな拍手に応えてアンコールにフォーレの「子守唄」が演奏されました。ちょっと速めで、子守唄ながら寝ていられない印象もありましたが、美しい音楽と演奏に、爽やかな感動をいただいて終演となりました。
休憩後の最後は、個人的には今回の4公演の中では最も期待していた小黒亜紀さんと本間優さんによる2台ピアノによる演奏です。小黒さんの大ファンを自認する私ですが、小黒さんの演奏を久しく聴く機会がなくて、楽しみにしていました。
ともに黒いシックなドレス姿がエレガントなニ人が登場しました。左の第1ピアノが小黒さん、右の第2ピアノが本間さんで、椅子に着きました。
曲は、ラフマニノフの「2台ピアノのための組曲第2番」ですが、私は今回初めて聴く曲です。序曲、ワルツ、ロマンス、タランテラの4曲からなる組曲です。
「序曲」で演奏が始まりましたが、その音量と迫力に最初からノックアウトされました。パワーに溢れたダイナミックな演奏。豪華絢爛、煌びやかな音楽は、これからの演奏への序曲に相応しいものでした。
続く「ワルツ」は、爆速・超高速で演奏が始まり、緩徐部ではいかにもラフマニノフというような甘さ・切なさを感じ、再びスピードアップして、官能的に熱く燃え上がりました。
3曲目の「ロマンス」は、ゆったりと、ロマンチックに歌わせ、心に秘めた思いがメラメラと燃え上がるようで、胸が熱くなりました。
終曲の「タランテラ」は、剛と剛の2台のピアノが、パワー全開に激しくぶつかり合いました。圧倒的な音量と迫力は、私の乏しい語彙では表現しきれず、参りましたと言うしかありません。音の洪水に溺れ、言葉失うままに終演となりました。
ニ人の個性と魅力を引き出すにぴったりな見事な選曲であり、4曲それぞれが聴き応えがあり、大きな満足感で胸がいっぱいになりました。
ブラボーを叫びたい衝動を抑えて、力の限りに拍手しました。ニ人による挨拶がありましたので、アンコールがあるものと期待しましたが、そのまま終演になってしまいました。
3組とも素晴らしい演奏でした。こんな音楽家が新潟にいることは喜ばしいことであり、演奏に接する機会がもっとあると良いですね。そして、もっと多くの市民に聴いてもらいたいですね。
品田さんや本間さんなど、これからリサイタルを予定されている奏者もあり、ますますの発展を祈り、陰ながら応援を続けてさせていただきたいと思います。
(客席:2階C2-11、セレクト券:¥1000) |