りゅーとぴあから音楽文化会館へ戻り、今度は練習室10での中央男子です。既に開場されており、中央前方に席を取りました。
中央男子とは何ぞやと思ってしまいますが、ともに新潟中央高校音楽科卒業生の品田真彦さんと山田 慧さんがユニットを組むに当たり、同じ中央高校出身ということで、中央男子と山田さんが命名したそうです。
ちなみに、品田さんは新潟中央高校音楽科の第1期生でいらっしゃり、女子校であった新潟中央高校初の男子学生だったそうです。山田さんが在学していたときも男子は少なく、少ない男子で、中央男子と書かれたTシャツを作ったのだそうです。こんなことを演奏会の中での自己紹介時に話してくれました。
地震の影響で開演が遅れましたが、山田さんの挨拶の後、山田さんのチェロの独奏で開演しました。山田さんは新潟市ジュニアオーケストラ教室の出身で、会場となった練習室10は進級試験で使用された想い出の場所だそうです。
さて、演奏曲目は、チェロ奏者のバイブルであるバッハの無伴奏チェロ組曲から、第1番のプレリュード、アルマンド、ジークの3曲が演奏されました。
朗々と音量豊かに響き渡るふくよかなチェロの音。演奏技術も十分であり、バッハの音楽世界に浸り、若さからは想像できない音楽性の豊かさに、音楽家としての卓越した才能を垣間見たように感じました。
続いて、品田さんの挨拶があり、ピアノ独奏で、ベートーヴェンのバカテルとショパンのマズルカの3曲が演奏されました。
今や新潟の男性ピアニストとして最も活躍しておられる品田さんですが、ドイツから帰国されたときから、数多くの機会で演奏を聴かせていただいてきました。今回も安定した演奏で楽しませていただきました。柔なロマン性を排除した、中央男子を名乗るに相応しい、男性的な演奏を聴かせてくれました。
そして、最後は、2人による共演で、シューマンの幻想小品集が演奏されました。もともとはクラリネットとピアノの曲ですが、チェロとピアノでの編曲譜もあり、今回はこの組み合わせで演奏されました。
初めて聴く曲でしたが、チェロとピアノが優しく絡み合い、続けて演奏される3つの楽章それぞれの対比も鮮やかに、各楽章の演奏指示通りに演奏され、熱く燃えて曲を閉じました。
大きな拍手に応えて、アンコールにバッハのチェンバロ協奏曲第5番から美しい第2楽章アリーソが演奏され、しっとりと、うっとりとした感動の中に演奏会は終了しました。
2人の音楽性の豊かさ、聴く者の心に何の抵抗もなく染み込んでくる優しさに感嘆し、大きな満足感とともに会場を後にしました。
(客席: 中央前方、1日フリーパス:\2000)
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