東京交響楽団 川崎定期第94回 Live from MUZA !
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2023年12月17日(土) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ユベール・スダーン
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 
シューマン:交響曲 第1番 変ロ長調 op.38 「春」 (マーラー版)

(休憩20分)

ブラームス/シェーンベルク編:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 op.25

 毎度恒例の、東京交響楽団の生配信です。今回は川崎定期演奏会第94回で、前日にサントリーホールで開催された第717回定期演奏会と同じ内容です。今回の指揮者は、前音楽監督で、現在は桂冠指揮者のユベール・スダーンさんです。他の予定があり、生では視聴できませんでしたが、タイムシフトで視聴させていただきました。

 大雪明けの休日。夜間に家の前を除雪車が通過して、雪の山を残して行きました。車が出せるように雪の山を片付けて疲労困憊。ひと休みしながらこのコンサートを視聴させていただきました。

 ニコ響のサイトに接続しますと、ミューザ川崎のステージが映し出されていました。開演時間となり、拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、最後にコンマスのニキティンさんが登場して大きな拍手が贈られました。

 オケは通常の配置で、16型の大編成で、弦5部は16-14-12-10-8です。チェロ主席の伊藤さんの隣には笹沼さんという強力な布陣です。オーボエ主席は、最近ずっと最上さんが代行しています。これだけの大編成にも関わらず、指揮台なしというのはスダーンさんならではですね。

 スダーンさんが登場して、前半は、マーラー版のシューマンの交響曲第1番「春」です。スダーンさんはシューマンの交響曲のマーラー版がお好きなようで、2009年11月の東京交響楽団第56回新潟定期演奏会で交響曲第2番、2022年11月の東京交響楽団第128回新潟定期演奏会で交響曲第3番「ライン」を演奏しています。

 スダーンさんは、指揮棒なしでの演奏です。第1楽章は、躍動感があり、颯爽とした「春」を思わせる生き生きとした音楽が流れ出て、心も明るくなりました。
 第2楽章は、ゆったりと、やわらかく、あたたかな春の日差しの様でした。アタッカで第3楽章へ。2つの主題が交互に現れて、曲調がコロコロ変わるのが面白いですね。
 切れ目なく第4楽章へ。軽快に、明るく、飛び跳ねるように心地良く、淀みなく音楽が流れ出ました。ホルンとフルートソロを挟んで、躍動感のある音楽に気分も高まりました。
 弦楽アンサンブルの見事さ、管楽器の美しさ。東響の素晴らしさ、それを引き出したスダーンさんの見事さ。さすがに前音楽監督だけあって、東響との相性もバッチリですね。

 休憩後の後半は、ブラームス(シェーンベルク編)のピアノ四重奏曲第1番の管弦楽版で、ピアノ四重奏曲ながらピアノはありません。
 第1楽章は、暗くて渋いテーマと弦の響きは、いかにもブラームスです。初めて聴く曲ですが、一気に引き込まれました。途中に出てくるシンバルは違和感がありましたが。
 第2楽章は、管楽器が躍動し、曲調を変えながら、渋さを感じさせる中に明るくリズムを刻んで、心地良く楽章を終えました。
 第3楽章は、明るくゆったりとテーマを歌い上げ、行進曲風の中間部では打楽器でアクセントを付ながら緩急自在にリズムを刻み、暗い空気感の中に明るさが戻り、ゆったりとテーマを奏でて、やすらぎの中に終わりました。
 第4楽章は、舞曲風に始まり、シロフォンがせわしなく鳴り、その後は猛スピードで走り回り、トムとジェリーが追いかけ合っているようです。途中スピードを急に落として、激しいテーマを響かせたり、ゆったりと弦楽が歌ったりして、曲調の急激な変化に休む間もありません。ニキティンさんのソロがあり、最後は猛スピードでフィナーレを駆け抜けました。
 シェーンベルクのによる見事な編曲により、交響曲を聴くような味わいでした。曲の良さもありますが、東響の各セクションの見事な演奏があってのことと思います。
 華やかで変幻自在で、ときにスリリングなノット/東響とは違って、落ち着きがあって味わい深いスダーン/東響は、安心して音楽に没頭できます。
 今回の東響は、スダーンさんとともに、いつもに増して素晴らしいパフォーマンスを発揮して、躍動感のある心地良い音楽を聴かせてくれました。爽やかな感動をいただいて、ニコ響のサイトを後にしました。
 

(客席:PC前、無料)