今日から7月。鬱陶しい梅雨空の中、県民会館へと向かいました。本来ならりゅーとぴあで開催されるべき公演ですが、改修工事中ということで県民会館になったものと思います。
開場前には長い行列ができており、開演間近まで入場の行列は途切れませんでした。人気名曲が3曲並んだプログラムでもあり、集客は良かったようです。
指揮者はおなじみのユーリ・シモノフの予定でしたが、心臓病悪化のため、ユーリ・ボトナリに変更になりました。シモノフさんの早い快復をお祈りします。
開場に手間取った影響もあってか、開演は5分遅れました。最初は小林愛実さんを迎えて、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。小林さんは真紅のドレスで登場して華やかでした。
出だしのピアノ音はゆっくりと柔らかく、女性らしいしなやかさを感じさせました。その後オケと渡り合っていくわけですが、ロシアの強靭なオケに飲み込まれてしまったように感じました。でも、粗野にならず、上品さを失うことなく、美しい音楽を作り上げていました。
残念だったのは、心に染みるメロディが魅力の第2楽章で、終盤の一番の聴かせどころで携帯を賑やかに鳴らした人がいたこと。せっかくの名演が台無しでした。
ピアノがステージ右に移動され、続いてはチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。キラキラ輝く派手な赤いドレスのコヌノヴァさんとの共演です。
先ほどの小林さんとは異なって、情熱とエネルギー感にあふれる、手に汗握る演奏でした。音量豊かにオケと対等に渡り合い、燃え上がるような高揚感を生む素晴らしい演奏でした。もちろん拍手も割れんばかりで、ブラボーの声もたくさんホールにこだましていました。
アンコールも素晴らしく、コンチェルトでの熱狂的な興奮を鎮めるような、胸を打つヴァイオリンの響きに、ホールを埋めた聴衆は魅了されました。
コヌノヴァさんについては全く知りませんでしたが、素晴らしいヴァイオリニストですね。非常に得した気分で休憩時間に入りました。
前半だけでお腹いっぱいでしたが、後半は「悲愴」です。後半の開演は何と16時。ここから再び興奮の演奏が始まりました。
いかにもロシアというような金管の咆哮。ちょっと荒っぽかったですけれど、有無も言わせぬ迫力に身をゆだねました。やっぱ本場ものですね。最後の無音の時間を楽しみ、終演となりました。
協奏曲2曲に交響曲。非常にお徳感のあるコンサートでした。演奏内容も充実。特にヴァイオリン協奏曲が良かったです。
様々なソリストと共演しながら日本ツアーをしているモスクワ・フィルの皆さんは、連日の公演で緊張感を維持するのも大変と思いますが、期待を裏切らずにしっかり聴かせてくれるのはプロですね。ご苦労様でした。
今日は席は別でしたが娘たちも聴きに来ていて、感動したようでした。親としましてもうれしかったです。
(客席:1階16-18、S席:¥9000) |