Noism0 / Noism1「領域」
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2023年7月1日(土) 17:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism Company Niigata
 
Noism0『Silentium』
 演出振付:金森穣
 衣裳:宮前義之(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)
 音楽:アルヴォ・ペルト
 出演:金森穣、井関佐和子

(休憩15分)

Noism1『Floating Field』
 演出振付:二見一幸
 音楽:ドメニコ・スカルラッティ、7Chato
 出演:浅海侑加、三好綾音、中尾洸太、庄島さくら、庄島すみれ、
     坪田光、樋浦瞳、杉野可林、糸川祐希、横山ひかり

 Noismの公演は4月の「Noism2 定期公演 vol.14 + Noism1メンバー振付公演2023」以来ですが、先回は研修生カンパニーのNoism2の公演でした。Noism0 / Noism1の公演としましては、先回の「Der Wanderer」には行けませんでしたので、昨年7月の「Noism X 鼓童 「鬼」」以来1年ぶりになります。
 今回は、6月30日(金)から7月2日(日)まで、新潟で3公演開催された後、7月14日(金)から16日(日)まで、東京公演として、めぐろパーシモンホールで3公演開催されます。

 今回は、金森穣さんとダンスカンパニーカレイドスコープの二見一幸さんの二人の振付家による新作の二本立て(ダブルビル)です。
 前半が金森さん振付による Noism0 の「Silentium」、後半が二見一幸さん振付による Noism1 の「Floating Field」です。
 先回の公演はスタジオBでの開催でしたが、今回は劇場での開催です。久しぶりの Noism ということで、2日目のチケットを買って楽しみに待ちました。

 今週の新潟は、全国と同様に梅雨空が続いて雨の毎日でした。今日も新潟県内で大雨警報が出された地域がありましたが、新潟市はどんよりとした天候ながらも雨が止んで良かったです。

 所用を済ませ、ゆっくりと土曜の午後を過ごし、曇り空の中にりゅーとぴあへと向かいました。駐車場に車をとめて館内に入り、インフォメーションで某コンサートのチケットを買い、ぶらぶらとしながら開場を待ちました。ロビーには高校のダンス部と思わしき団体が何組かおられ、女学生たちが華やかさを醸し出していました。
 開場時間となり、早めに入場してこの原稿を書きながら開演を待ちました。土曜の夕方の公演ですので、かなりの混雑を予想しましたが、それほどでもありませんでした。私は2階席の2列目でしたが、私の後方はかなりの余裕があり、もったいなく感じました。

 前半は、Noism0の金森さんと井関さんによる「Sailentium」です。ステージには黒幕が下ろされており、スポットライトが2か所に当てられていました。左には蝋燭台、右は白砂(米)の山がありました。
 開演となり、緞帳が下がって再び上がり、ペルトの「Tabula Rasa」の後半部分である「Silentium」の深遠な音楽とともに、金色の衣装をまとった金森さんと井関さんのパフォーマンスが始まりました。
 天井から白砂(米)が直線を描いて降り注ぎ、紡錘形の山を作りました。白砂(米)は2か所、3か所、4か所と増え、その間をぬうように、二人がつながりあって、動き回りました。やがてステージ後方に光の帯が浮かび上がり、天から角ばった壁が下りてきました。壁がステージ上に影を作り・・・・。
 沈黙を意味する楽曲に載せての二人のパフォーマンス。常に繋がりあい、一瞬離れてもまた繋がりあう。この二人が創り出す、二人だけの領域。金色の衣裳と相まって、光り輝く神々しさを感じました。
 金森さんと井関さんが終始二人で踊り続ける演目は今回が初めてなんだそうです。込められた意味は、凡人の私には理解しがたいのですが、心をゆすぶられる感動をいただきました。

 休憩後の後半は、二見さん振付による Noism1 の「Floating Field」です。ステージ右にスポットライトを当てられたスーツにネクタイのサラリーマン風のダンサーが一人。そしてステージ上に白い帯が浮かび上がり、踊り手が次第に増えていく。
 ステージ前方には長い帯状の白い領域。その上で、あるいはそれ以外の領域で演技が行われます。黒スーツ姿のメンバーと、黒ズボン白シャツの10人のメンバーがステージ上を縦横に隊列を組んで行進したりと、かっこよさを感じさせました。
 白い帯状の領域は、ステージ中央に縦に移動され、その白い領域が、ステージ全体を左右に分割し、左右それぞれの領域で、メンバーそれぞれが演じました。
 やがて白い帯状の領域は斜めとなり、ステージ右手に縦となり、もう1本増えて、白い帯が2本となり、横にフォーメーションを変えたりと、白い帯状の領域は縦横に変化していきました。
 最後は2つの帯がクロスして十字を作り、小さく折りたたまれて花弁状になり、ダンサーたちが中央のメシベを取り囲み、中央のメシベの度肝を抜く圧巻の高速ターン・・・。
 緞帳が降りて、しばしの静寂の後に緞帳が上がりますと、ダンサーたちが1列に並んでいました。圧巻のパフォーマンスを大きな拍手で讃えました。
 前半のNoism0の濃密な演技とは違って、クールさやかっこ良さも感じさせるものでした。ステージ上の様々な領域で繰り広げられる様々なパフォーマンス。15列目での鑑賞でしたので、ステージ全体を俯瞰し、フォーメーションの変化が良く分かりました。
 二見さんの表現したい意味など、凡人の私に理解はできませんが、「Floating Field」という題名の如く、白い Field が Floating していたなとは感じました。
 次々とフォーメーションを変えて演じられるNoism1の素晴らしいパフォーマンスに息を呑み、ただただ圧倒されるだけでした。

 新潟に Noism がある喜びと誇りを噛み締めて、青白く燃える感動の炎とともにりゅーとぴあを後にし、曇り空の白山公園を眺めて家路に着きました。

 明日(7月2日)は新潟での最終公演。そして次は東京公演が待っています。さらに磨かれた演技で、東京の人たちに、新潟に Noism ありと見せ付けていただきたいと思います。

  

(客席: 2階15-27、¥5000)