Noism2定期公演vol.14+Noism1メンバー振付公演2023
  ←前  次→
2023年4月22日(土) 17:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
Noism1、Noism2
 
Noism1メンバー振付公演2023
1.Ananta
  演出振付=糸川祐希
  音楽=Ryuichi Sakamoto(The Revenant Main Theme)
     Alva Noto(Uni Rec)
  出演=兼述育見、土屋景衣子、渡部梨乃、太田菜月
2.あなたへ
  演出振付・出演=坪田光
  音楽=Raime(Ripli)他
3.器
  演出振付=樋浦瞳
  音楽=Travis Lake(Reha),Tomas Phillips &Marihiko Hara(ProsaIi)
  出演=樋浦瞳、兼述育見
4.自転・公転
  演出振付=中尾洸太
  出演=中尾洸太、渡部梨乃

(休憩15分)

Noism2定期公演 vol.14  Noism レパートリー「Bachプログラム」
  演出振付=金森穣
  構成=山田勇気
  稽古監督=浅海侑加
  「ZONE―陽炎 稲妻 水の月」(2009 年)より「academic」
  「no・mad・ic・project-7 fragments in memory」(2005 年)より
  「Nameless Hands−人形の家」(2008 年)より
  「Phychic 3.11」(2011年)より
  「Complex〜旧作と新作の融合による」(2021 年)より
  「愛と精霊の家」(2015年)より
  「クロノスカイロス1」(2019年)
  音楽=J.S.Bach
  Partita for Violin Solo No.1 in B Minor,BWV1002:V.Sarabande-Double
  Partita for Violin Solo No.2 in D Minor,BWV1004:U.Corrente
  The well Tempered Clavier,Book1:Preludes and Fugue No.1 BWV846
  Cello Suite No.1,BWV1007:Prelude
  The Art of Fugue,BWV1080:Contrapunctus T
  Partita for violin Solo No.1,BWV1002:W.Tempo di Borea-Double
  Prelude in E minor,BWV855a
  Das Orgelbuchlein、BWV599-644:Wenn Wir In Hochsten Noten Sein
  Harpsichord Concerto No.1,BWV1052:T.Allegro
  出演=Noism2:兼述育見、土屋景衣子、渡部梨乃、太田菜月、河村アズリ
          佐藤萌子、高田季歩、村上莉瑚、春木有紗
     Noism1:中尾洸太、坪田光、樋浦瞳、糸川祐希
 

 今日は久しぶりにNoismの公演に参加させていただきました。今日・明日の2回の公演がありますが、その初日ということになります。
 今回は、Noism1メンバー振付公演とNoism2定期公演を合体した公演です。これらは、これまでは別々に開催されており、昨年は、Noism1メンバー振付公演は2月に、Noism2定期公演は5月に開催されています。今回はそれぞれが前半・後半で同時開催されることになり、何となくお得な感じがして楽しみにしていました。
 前半は「Noism1メンバー振付公演2023」で、Noism1の4人の振付による新作4本立てです。振付の本人やNoism2メンバーが演じます。
 後半は「Noism2定期公演 vol.14」で、これまでの金森穣振付によるNoismレパートリーの中から、J.S.Bachの楽曲を使った作品が選ばれて、山田勇気さんの構成により演じられます。
 Noism1の4人、そして今シーズンあらたなメンバー5人を迎えたNoism2の9人が、どんな作品を、どんなパフォーマンスを披露してくれるか期待したいと思います。
 Noism関連の公演としましては、1月のNoism0+Noism1の公演(Der Wanderer )には行けませんでしたので、昨年の7月のNoism X 鼓童 「鬼」以来で、久しぶりになります。

 雑務を終えて、16時半過ぎにりゅーとぴあ入りしました。途中白山公園を散策しましたが、藤の花がきれいに咲いていました。
 チラシ集めをしたり、チケットを買ったりして、開演10分前に入場しました。ロビーでは、今回のNoismレパートリーの公演のポスターやプログラムが展示されていました。
 客席に入りますと、Noismファンが集う1階席中央はびっしりと埋まっていましたが、私の2階席は空いていて、リラックスして公演に臨むことができました。

 開演時間となり、場内が暗転して緞帳に演目名が映し出され、糸川祐希さん振付による「Ananta」で開演しました。以後、開演前に演目名が映し出されてプログラムが進行しました。
 緞帳が上がると、ステージ中央にスポットライトが当てられ、Noism2の4人(兼述育見、土屋景衣子、渡部梨乃、太田菜月)が1人ずつ登場して、坂本龍一の音楽とともに演舞が始まり、その後4人それぞれにスポットライトが当てられ、激しい音楽といいますか、音響とともに、中断を挟みながら演じられました。4人の群舞、1人ひとりの演舞。それが流れの中に繰り返されました。

 続いては、坪田光さんの振付で、自分で演技するという自作自演の「あなたへ」です。激しい太鼓のリズムで始まり、その後は無音の中で演じられました。ずっと1人だけの演技でしたが、最後にもう1人の影が出現しましたが、これは幻影でしょうか。

 3番目は、樋浦瞳さん振付による「器」です。自身とNoism2の兼述育見さんの出演です。音楽というより騒音というべき音響とともに、間断なく激しい踊りが続き、ピアノと箏の静かな音楽に移っても、激しく踊り続け、2人の息遣いは荒々しく客席に響いてきて、観ている方も息苦しさを感じました。

 最後は、中尾洸太さん振付の「自転・公転」です。自身とNoism2の渡部梨乃さんにより演じられました。無音の静寂の中に2人で踊られ、その後サン=サーンスの美しいピアノ五重奏曲とともに、渡部さんがソロで踊り、再び無音の中で2人で踊り、そして再び音楽とともに中尾さんがソロで踊り、最後は2人で踊りました。自分個人と他者とのつながりと隔たり。その意味を感じさせました。美しい音楽で演じられて、舞踊の素養のない私には、一番しっくりと心に響きました。

 休憩後の後半はNoism2定期公演で、J.S.バッハの美しい音楽とともに、Noismの過去の演目が、Noism2の9人のメンバーにより演じられました。今シーズンのNoism2は女性ばかりです。

 まずは、9人による「ZONE」からの「academic」です。まずは9人の身体の華奢さに、鍛え上げられたNoism1やNoism0との違いを感じました。バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータの美しい調べとともに、美しく演じられましたが、未完成の身体といいましょうか、研修生ならではの若さが感じられました。
 以後シームレスに「no・mad・ic・project」「Nameless hands−人形の家」「Phychic 3.11」「Complex〜旧作と新作の複合による」「愛と精霊の家」「クロノスカイロス1」と、人数を変えながら、バッハの美しい名曲の数々とともに演じられ、これまでNoismが培ってきた演目の素晴らしさを具現化してくれました。
 途中に場面転換するときに美しい合唱曲が挟まれましたが、何の曲でしたでしょうか。Noism2は女性だけのためか、演目によりNoism1の男性4人も加わっていましたが、どの演目だったのか忘れてしまいました。
 「人形の家」での2体の人形以外は、暗くてモノクロームな世界でしたので、チェンバロ協奏曲とともに演じられた最後の「クロノスカイロス1」での色鮮やかな照明が新鮮に感じられました。
 時間をカウントする時計とステージを駆け回る9人の団員たち。スクリーンに映し出される映像との共演。難しい演目を研修生たちが見事に演じきりました。
 
 山田勇気さんによる構成も素晴らしく、コンセプトが異なる7つの演目が切れ目なく、1つの演目となって、バッハと名曲とともに楽しませてくれました。
 今シーズンから加わった5人にとっては最初の大きな舞台だったと思いますが、オーディションにより選抜された団員だけあって、2年目、3年目の団員とともに、Noismメンバーとしての重責を見事に果たしてくれました。研修生たちが過去のNoismレパートリーを演じ、さらに次代へのメンバーに引き継がれていくものと思います。

 カーテンコールでは、9人のNoism2メンバーに大きな拍手が贈られ、その健闘が讃えられました。その後はNoism1の4人の団員も左右に加わって、何度ものカーテンコールが繰り返され、感動のステージは終演となりました。
 終演後にはアフタートークが開催され、山田勇気さん、浅海侑加さん、そして振付した4人のNism1メンバーが登壇しましたが、私は参加せずに家路に着きました。

 やっぱりNoismって素晴らしいですね。金森さんや井関さんがいなくても、研修生のNoism2だけでも、これだけの感動を与えてくれます。若き団員たちは、今後さらに研鑽を積み、Noismの精神と技術を受け継ぎ、さらなる高みを目指して欲しいと思います。
 


(客席:2階15-24、\2000)