モーツァルト「戴冠ミサ」特別演奏会
  ←前  次→
2023年5月21日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
合唱:合唱団にいがた
管弦楽:りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団
 
信長貴富編:「ヴィヴァルディが見た日本の四季」
    春:花(武島羽衣/滝廉太郎)
    夏:城ヶ島の雨(北原白秋/梁田 貞)
    秋:村祭り(文部省唱歌)
    冬:ペチカ(北原白秋/山田耕筰)
  指揮:鈴木由香
  ヴァイオリン:松村牧子、ピアノ:齋藤美香
  合唱:合唱団にいがた

(休憩15分)

モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調 「パリ」 K.297
  指揮:坂井悠紀
  管弦楽:りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団

(休憩15分)

モーツァルト:ミサ曲第16番 ハ長調「戴冠ミサ」K.317
    1.kyrie 2.Gloria 3.Credo 4.Sanctus 5.Benedictus 6.Agnus Dei
  指揮:坂井悠紀
  管弦楽:りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団
  合唱:合唱団にいがた
  オルガン:山際規子
  ソプラノ:鈴木由香、アルト:宮村祥子
  テノール:永井昭光、バリトン:小林岳史

(アンコール)
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
 

 このコンサートは、合唱団にいがた と りゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団との共催で開催され、合唱団にいがたとしましては、結成30周年記念演奏会となります。
 この両者の共演は、2021年2月のモーツァルト「レクイエム」特別演奏会以来2回目となります。1曲目の合唱曲は箕輪久夫先生の指揮ですが、モーツァルトの2曲は、前回の共演と同じく坂井悠紀さんの指揮とのことです。
 ちなみに、合唱団にいがたは、2018年9月の結成25周年記念演奏会では新潟交響楽団との共演で、ベートーヴェンの「合唱幻想曲」とフォーレの「レクイエム」が演奏されました。今回の30周年記念はどうなるか期待が高まりました。
 今日は、長岡では、高嶋ちさ子さんと加羽沢美濃さんのコンサートとベトナムのピアニストのグエン・ヴィエット・チュンのリサイタル、三条では、石田組のコンサートがあり、隣の県民会館では、徳永兄弟が出演するフラメンコ・フェスティバルがあります。どれも興味深いのですが、体はひとつ。モーツァルトを楽しむことにしました。

 穏やかな日曜日。ホームページを一旦アップして、ゆっくりと昼食を摂り、ネコと戯れて、りゅーとぴあへと向かいました。
 りゅーとぴあに入館しますと、すでに開場されており、人混みが途切れたところで入場しました。2階正面に席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。1曲目の指揮者は、箕輪久夫先生から鈴木由香さんに変更されたとのアナウンスがありました。箕輪先生はどうされたのかちょっと心配です。
 客席は次第に埋まり、2階正面はびっしりになりましたが、1階前方と2階サイド席、3階席は余裕がありました。観客は老若男女様々ですが、いつものクラシックコンサートとは客層はかなり異なります。
 相変わらずご婦人方のおしゃべりが、開演までの間、前後左右のサラウンド状態で、賑やかに聞こえていました。

 開演時間となり、照明が落とされた中に合唱団が入場。女声が50人に対して男声は12人と少なく、中央に寂しく並びました。
 ヴァイオリンの松村牧子さん、ピアノの齋藤美香さん、箕輪先生に代わった指揮の鈴木由香さんが登場して、1曲目は、「ヴィヴァルディが見た日本の四季」です。
 曲名から推測されますように、ヴィヴァルディの四季に導かれ、絡み合いながら、四季にちなんだ合唱曲が演奏されました。信長貴富さんの編曲も素晴らしく、松村さんの美しいヴァイオリンと齋藤さんのピアノとともに、うっとりと聴き入りました。

 大きな拍手が贈られ、照明が落とされた中に合唱団が退場し、ここで休憩となり、オーケストラ用にステージが整えられました。

 時間となり、団員が入場。弦5部は、6-4-5-3-2、管は、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、そしてティンパニです。オリジナル団員は少数で、多くを賛助出演が占めています。
 坂井さんが登場して、2曲目はモーツァルトの交響曲第31番「パリ」です。弦楽の音色は、潤い感に欠けて、紛れもなくアマチュアの音ですが、アンサンブルの乱れは気になることもなく、軽快で爽やかな音楽が心地よく響き渡り、大いに楽しめました。

 再び休憩となり、ステージが転換され、いよいよメインの「戴冠ミサ」です。合唱団→オケの順に団員が入場。弦楽にはヴィオラがいません。管は、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3となり、ティンパニは左に移動、右にポジティブオルガンが配置されました。
 独唱者4人と坂井さんが入場して演奏開始です。オルガンが加わって厚みを増し、合唱にマスクされたこともあり、弦楽も美しく感じられました。独唱者陣も実力を発揮し、荘厳さを感じさせながらも重苦しすぎることもなく、心に染み入るような祈りの音楽に、汚れた私の精神が浄化されるかのように思われました。
 素晴らしい演奏に、ブラボーの声が上がり、コロナ前の時代に戻りつつあることを実感しました。惜しむらくは、フライング拍手があったこと。こういう宗教曲は最後の余韻を味わいたいところですが、見事に打ち砕かれました。

 拍手に応える間に、ファゴット奏者が退場し、入れ替わりにヴィオラ奏者が5人入場して、弦楽とオルガンの伴奏で、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」が演奏されました。プログラムの流れを考えますと、これ以外のアンコール曲は考えられませんよね。感動の中に演奏会は終了し、爽やかな気分でホールを後にしました。

 合唱団にいがたの30周年を記念するに相応しい、素晴らしい演奏会でした。独唱者は、全員が箕輪先生に師事した新潟大学の卒業生であり、指揮者を含めてメイド・イン・ニイガタで、演奏技術を超えた感動の音楽が創り出されました。ブラボーに値する素晴らしい演奏を聴かせていただき、その健闘を讃え、感謝したいと思います。
 合唱団にいがたとりゅーと新潟フィルハーモニー管弦楽団のさらなる発展を祈念し、次の共演を楽しみに待ちたいと思います。

 ちなみに、合唱団にいがたの次の予定は分かりませんが、りゅーと新潟フィルの来年3月の第6回定期演奏会は、ベートーヴェンの交響曲第4番とピアノ協奏曲第5番「皇帝」を予定しているそうです。独奏者は誰なんだろうとかとか、期待が膨らみます。
 

(客席: 2階C6-11、\1500)