新潟の春に恒例になった日本文化の祭典:アート・ミックス・ジャパン。2013年に始まり、今年は10周年を迎えました。新型コロナ禍で、2020年からは開催が制限されてきましたが、今年は2019年以来、4年ぶりにフル開催されることになりました。
昨年は2日間で有料公演4公演と無料公演の「にいがた総おどり祭」だけの開催でしたが、今年は、4月15日(土)、16日(日)の2日間に渡って、りゅーとぴあと燕喜館を会場に、1回45分(一部60分)の公演が、全21公演開催され、屋外での無料公演も開催されることになりました。
せっかくのイベントですので、新潟を盛り上げるためにも参加させていただくことにしました。朝から晩まで、雅楽や狂言、三味線など、様々なジャンルの公演が続きます。
はしごして様々な日本文化に触れたいところではありますが、1公演当たりの料金はそれなりに高額であり、懐具合を勘案して、「声明」と「祭り」の2公演だけ参加させていただくことにしました。
今年は未来を担う子どもたちに日本文化に親しんでもらうため、「U15」無料制度が設けられ、15歳以下の子どもたちは無料(発券手数料等は必要)で参加できます。その分一般料金は高めの設定なのかも知れませんが、なかなか良い企画だと思います。
雑務を終えて、遅めの昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。午後から雨の予報が出ていて、小雨がぱらついたりもありましたが、曇り空ながらも何とか持ちこたえてくれていました。
りゅーとぴあ前の広場では、民謡の公演が行われており、佐渡おけさなど、多くの観客とともに楽しませていただきました。
館内に入りますと、ちんどん屋(華やぎ
ちんどん隊)が賑やかに練り歩いており、正面玄関ロビーや東ロビーで、楽しいパフォーマンスで観客の心をほっこりとさせてくれました。
館内にはたくさんの観衆が集まっていて、なかなかの盛り上がりをみせており、ポストコロナの時代が来たことを実感させてくれました。
そうこうしているうちに、コンサートホールで開催される「声明」の開場時間となり、開場待ちの列が長く伸びていましたので、最後尾に並んで入場しました。
ホワイエには観音様の掛け軸が飾られており、金色の足が付けられていました。お参りして、足をなでている人で混み合っていました。
ホールに入りますと、長谷寺にある観音様と同じ大きさという12mの観音様が描かれた巨大な掛け軸が、コンサートホールの天井からステージまで掛けられていて、その大きさに圧倒されました。
客の入りは良く、1階から3階まで、発売された席は満遍なく客が入って大盛況です。S席は完売とのことで、私は2階正面のA席でした。
場内が暗転して観音様に照明が当てられ、公演というより法要が始まりました。代表による挨拶の後、法螺貝の二重奏が奏でられ、その後僧侶が入場しました。
中央に紫の法衣の僧侶が1人、左右にハの字型に5人ずつの僧侶が並びました。中央から左右それぞれ、紫の法衣が1人、緑が2人、黄色が2人で、計11人の僧侶が出演されましたが、紫の僧侶が一番位が高く、緑→黄色という順のようです。各僧侶の場所には、黄色い経本が高く積まれていました。
鳴り物とともに、フォーメーションを変えながら声明が唱えられました。花びらに見立てた紙を撒きながらステージ上を歩き回わるパフォーマンスもあり、ステージ前の客は、客席に落ちてきた紙を拾っておられました。
その後は、10人の僧侶が600巻にも渡る経典「大般若波羅蜜多経」の最初の部分のみ大きな声で唱え、経本を高く掲げて繰り広げて1巻を読謡したことにする「転読」が行われました。
そして最後は、「般若心経」が唱えられて、最高位の僧侶が履く木下駄の音とともに僧侶が退場し、終演となりました。
拍手して良いものかどうか一瞬悩みましたが、客席からは拍手が贈られました。声明により、煩悩だらけで汚れた私の精神が、少しでも浄化できたなら幸いです。
僧侶によるゴスペル、あるいは和のグレゴリオ聖歌と言うべき声明。読経との違いが判然としませんが、入場料は、お布施ということで納めさせていただきましょう。
東ロビーで飴細工の実演や太鼓の革張りの実演を見ているうちに、劇場で開催される「祭り」の開場時間となり、開場の列に並んで入場しました。
アートミックス・ジャパンの原点と言うべき「にいがた総踊り」の公演です。中に入りますと、前方の1階席はびっしりでしたが、私の席の2階席の後方は余裕があつて、ゆったりと楽しむことができました。
樽砧の演奏で始まり、以後は「にいがた総踊り」の魅力が凝縮された熱いパフォーマンスに圧倒されるばかりでした。
ステージ後方に、左から三味線、大小の太鼓が3台、笛、樽が3台と並んで、軽快なリズムで終始演奏を続けて踊りを支え続けました。
総勢200人の出演者とのこと。様々な団体が結集しており、次々とフォーメーションを変えながら激しい振付で踊る若者たちのパワーにひれ伏すのみでした。小学生と思われる小さな子も混じっていて、その頑張りに感激しました。
激しさだけでなく、笛の男性が唄う木遣りで感動させられたりもありました。緩急様々な演目が休みなく繰り広げられ、構成・演出の素晴らしさに息を呑みました。
そして何よりも、鍛え上げられて一糸乱れぬ若者たちの群舞に、ただただ圧倒され、そのパワーに、新潟の未来に明るさを感じました。
「にいがた総踊り」の様子が画像で紹介され、代表者による挨拶があり、最後に「にいがた総踊り」を代表するという演目を、熱さだけでなく芸術性も感じさせながら演じて感動を誘いました。
そして、出演者全員がステージに登場して大きな拍手が贈られ、緞帳が降りて、興奮と感動のプログラムは終演となりました。
この後も魅力ある公演が続きますが、私はここで終わりです。明日も10時から19時まで開催されますので、多くの人で賑わうことでしょう。天候が悪く、屋外での無料公演がどうなるのか心配ですが、盛況となりますことを祈りたいと思います。
(客席:コンサートホール2階C4-6、A席:\3500)
(客席:劇場2階16-24、一般席:\3000) |