東京交響楽団 川崎定期演奏会 第85回 Live from MUZA!
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2022年4月24日(日) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:リオネル・ブランギエ
ピアノ:リーズ・ドゥ・ラ・サール
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 
サロネン:ヘリックス

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

(ソリストアンコール)
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 (遺作)

(休憩20分)

ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)
 このところコンサートから遠ざかっており、禁断症状に苛まれています。そこで今日は、ニコ響で生配信された東京交響楽団川崎定期演奏会を視聴させていただくことにしました。前回の視聴は2月の名曲全集でしたので、2ヶ月ぶりになります。

 ニコ響のサイトに接続しますと、無人のステージが映し出されていました。やがて開演のチャイムが鳴り、拍手の中に団員が入場しました。全員揃うまで起立して待つ新潟方式がすっかりと定着しました。最後にコンマスのニキティンさんが登場して大きな拍手が贈られました。オケは対向配置で14型、今日の次席は廣岡さんで、田尻さんは2列目におられました。

 ブランギエが登場して、1曲目はサロネンの「へリックス」です。サロネンという名は聞き覚えがあるかと思いますが、あのフィンランドの指揮者のエサ=ペッカ・サロネンです。作曲もしていたんですね。
 ドラの音にのせて、ピッコロの幽玄なソロが怪しげに奏でられ、演奏が始まりました。悪魔が行進するような不気味な音楽が流れましたが、ラヴェルやドビュッシー、レスピーギ的な響きもあって、現代曲としては聴きやすかったです。何かあっけなく終わってしまった感じがしましたが、演奏は良かったと思います。

 ステージが大きく転換されて、ピアノが設置され、2曲目はラヴェルのピアノ協奏曲です。オケのサイズは随分と小さくなり、8型となりました。
 黒いパンツスーツで、金髪のロングヘアが美しいドゥ・ラ・サールさんが登場。LFJ新潟で来演したケフェレックさんに似た美女です。鞭の音に導かれて、ピッコロが軽やかに歌って開演です。
 ガーシュウィンっぽいジャジーな雰囲気があって、私が大好きな曲です。実は「のだめ」の演奏を聴いて魅力を再発見した曲なんですけれど。
 ノーブルさ漂う演奏で、乱れはありません。第2楽章はゆったりと歌わせ、管との絡み合いも美しく、しっとりと心に染み渡りました。コールアングレは最上さんでなかったですが、どうしたのでしょう。
 少し間を空けて、怒涛の第3楽章へ。ピアノもオケも軽快に飛ばし、速いパッセージもお見事。ちょっと盛り上がりに欠けましたが、上品に〆てくれました。
 拍手に応えて、ショパンのノクターン第20番を、ゆったりと、しんみりと演奏し、泣かせてくれました。この曲を協奏曲の後のアンコールに演奏するなんて・・。追悼するよな、情感たっぷりの演奏は心を打ちました。しばしの静寂の後に大きな拍手が贈られました。


 休憩後の後半は、ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」です。オケのサイズは元に戻って14型です。8曲のいずれも、まさに高雅で感傷的。美しいアンサンブルが優しく響き渡りました。東響が誇る管楽器陣の素晴らしさ、そしてビロードのように美しい弦楽アンサンブル。いい演奏でした。

 最後はストラヴィンスキーの「火の鳥」(1919年版)です。おどろおどろしい低弦の響きに導かれて、物語の世界へと誘われました。
 私が大好きな曲ですが、組曲のいずれも楽しく聴かせていただきました。東響の管の素晴らしさを再認識し、オーケストラを聴く醍醐味を味わうことができました。
 ただ、指揮者の個性といいますか、ブランギエならではの特別な味付けは感じられませんでした。生で聴けばまた別なのでしょうが。
 でも、素晴らしい演奏に違いはなく、いい時間を過ごさせていただきました。カーテンコールが始まるや否や、真っ先に席を立って帰ってしまった高齢の方がおられて、唖然としてしまいましたが・・。
 
 
 
(客席:PC前、無料)