シンフォニック・アンサンブル・リルト第25回定期演奏会
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2022年4月3日(日) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:河本隆吉
指揮・サクソフォン:田村亮太
 
第1部
A. Reed:エル・カミーノ・レアル
西邑由記子:STAR SHIP 星の船
Gillingham:WITH HEART & VOICE

(休憩20分)

第2部
宮下秀樹:吹奏楽のための「エール・マーチ」
宮川彬良:マツケンサンバU
真島俊夫:Seagull
木村 弓・久石 譲:「ハウルの動く城」より 世界の約束〜人生のメリーゴーランド

(アンコール)
オーメンズ・オブ・ラブ
 

 
 今週末は天候に恵まれて、昨日・今日と清々しい青空が広がりました。新潟にもいよいよ本格的な春が訪れたことを実感しました。

 しかし、新型コロナ感染はリバウンドで拡大を続けており、連日多数の感染者が報告されています。感染状況を鑑みて、今日は出掛けるのはよそうかとも思いましたが、チケットを買ってありましたし、好天のなか、家にこもっているのも健康的ではありませんので、思い切って聴きに行くことにしました。

 今日は気温はそれほど高くはないのですが、日差しは暖かく、太陽のありがたさを感じました。白山公園の桜のつぼみも膨らみ、あと数日で開花するものと思います。

 開場時間に合わせてりゅーとぴあ入りしましたが、ロビーは空いていて、混み合うこともありませんでした。インフォメーションで某コンサートのチケットを買い、チラシ集めをして入場しました。

 3階席は使用されませんでしたが、それほどの混みようでもありませんでした。席には余裕がありましたので、間隔を空けた方が良いように思いましたが、密集して席に着かれていた方が多かったようです。もちろん私は今日も一人であり、密接にならない安全な場所を確保しました。

 さて、この吹奏楽団のコンサートは、これまでに何度か聴かせていただいていますが、毎回演奏水準の高さに感激しており、今回も楽しみでした。
 今回は25回目という節目の演奏会であり、本来は2020年3月に予定されていましたが、新型コロナ感染の拡大により、2度の延期を余儀なくされ、漸く今日の開催となりました。
 新潟の吹奏楽界の重鎮と言える河本隆吉さんと、演奏家としても活躍する若手のホープである田村亮太さんが、どのような音楽を作り出すのか、期待したいと思います。

 開演時間となり、いつものチャイムではなく、けたたましいブザー音が鳴り、その後拍手の中に団員が入場しました。指揮の田村さんが登場して、1曲目の「エル・カミーノ・レアル」で開演しました。
 急・緩・急という三部形式の曲ですが、スペイン風の激しいリズムが心地よく、中間部の哀愁に満ちたメロディーも美しかったです。激しいリズムと情熱的な音楽で、大きく盛り上がって曲を締めました。
 しばらくぶりに聴く正統的な吹奏楽の醍醐味を味わわせていただきました。指揮の田村さんの曲作りも素晴らしかったと思います。

 田村さんが下がって、指揮は河本さんに交代し、2曲目は「STAR SHIP」です。七夕を題材にした曲だそうですが、親しみやすい美しいメロディーにうっとりと聴き入りました。

 続けて3曲目も河本さんの指揮で「WITH HEART & VOICE」です。冒頭は繊細な響きでしたが、その後は激しいリズムで、打楽器群が大活躍する聴き応えある曲でした。複雑な構成の曲ですが、見事に演奏し、感動をもたらしました。

 休憩後は、再びけたたましいブザー音とともに団員が入場。団員の皆さんは、前半は正装でしたが、今度は黄色いTシャツに着替えて入場しました。
 司会者による曲目紹介があり、同じく黄色いTシャツの田村さんの指揮で、後半最初は、新潟出身の宮下秀樹さん作曲の「エール・マーチ」です。
 この曲は、昨年の吹奏楽コンクールで課題曲として演奏し、みごと金賞を受賞して新潟県代表に選ばれた思い出の曲だそうです。当然演奏は素晴らしく、勇気と元気をもらえるような、力強く、明るい演奏でした。

 続いては、指揮者不在のまま「マツケンサンバU」の演奏が始まりました。金ぴかの着物でちょんまげ姿の田村さんが、ダンサーを引き連れて、歌って踊りながら登場し、そのまま指揮台に上がって演奏が続きました。
 田村さんの芸達者ぶりに驚くとともに、楽しく躍動感溢れる音楽に心もウキウキ。ミラーボールが輝き、手拍子しながら、ホールは否応なしに盛り上がりました。

 続いては、河本さんの指揮、田村さんのサックス・ソロで「Seagull」です。しっとりと美しく、甘く切ないメロディー。田村さんのアルトサックスの美しい響きに心奪われ、先ほどの「マツケンサンバU」とは正反対の、心に染みる演奏に酔いしれました。
 田村さんの演奏は、何も言うことなく最高であり、ハイトーンの美しさに息を呑み、サックス奏者としての力量と魅力を如実に示してくれました。

 最後は、河本さんの指揮で「ハウルの動く城」からの「世界の約束〜人生のメリーゴーランド」です。編曲者から寄せられたメッセージの朗読の後に演奏されました。親しみやすく、哀愁に満ちて心に響く久石メロディーが、しっとりと心に染み渡り、感動の演奏に胸を熱くしました。

 拍手に応えて、アンコールは定番の「オーメンズ・オブ・ラブ」です。先ほどは静かに演奏を終えましたので、今度は明るく元気に演奏してくれました。
 暗く沈滞した社会に、元気と活力を与えてくれるような演奏でした。フィナーレでは団員がパートごとに順に立ち上がって演奏し、感動と興奮の中に終演となりました。

 総じて、期待通り、いや、期待以上の高水準な演奏であり、いい音楽を聴いたという満足感で胸がいっぱいになりました。
 フィナーレの高揚感は私のつたない文章では表現し切れませんが、情熱に溢れ、熱いメッセージが伝わってくるような演奏に、感動が込み上げ、目には涙が浮かびました。

 大きな満足感とともにホールを出て、桜のつぼみが膨らむ公園を抜けて、駐車場へと急ぎました。桜の開花はまだですが、いい音楽を聴いた満足感で、心の中は満開です。

 
 
(客席:2階C2-9、¥700)