東京交響楽団 名曲全集 第173回 Live from Muza!
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2022年1月22日(土) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:ユベール・スダーン
チェロ:上村文乃
オルガン:大木麻理
コンサートマスター:水谷 晃
 
サン=サーンス : チェロ協奏曲第1番 イ短調 op.33

(ソリストアンコール)
藤倉 大:Sweet Suites

(休憩20分)

サン=サーンス : 交響曲第3番 ハ短調 op.78 「オルガン付き」

(アンコール)
オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」より 舟歌
 
 新型コロナ感染の拡大はとどまることを知らず、新潟でも新規感染者数の新記録を更新し続け、本日は500人に迫ろうとしています。昨日(21日)から、まん延防止等重点措置の適用を受け、飲食店の時短や酒類提供の制限が行われています。
 こんな状況ですので、今週末は出かけることなく、自粛生活をしています。そんな土曜日の午後ですが、恒例の東京交響楽団の無料ライブ配信がありましたので、視聴させていただくことにしました。

 今日の公演は、前半・後半ともにサン=サーンスで、本来でしたら指揮はピエール・ブリューズ、チェロはユリア・ハーゲンの予定でしたが、新型コロナウイルス感染症による入国制限により出演できなくなり、代わりに指揮はユベール・スダーン、チェロは上村文乃に変更されました。代演がスダーンさんというのは贅沢であり、ラッキーといえましょうか。
 
 ニコ響のサイトにアクセスしますと、無人のステージが映し出されていました。程なくして開演の賑やかな鐘が鳴り、開演のアナウンスが流れて、コンサート開演前のワクワク感を感じました。

 拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待つ新潟方式が、コロナ禍にあって、東京や川崎でも定着しました。最後にコンマスの水谷さんが登場して大きな拍手が贈られました。オケの配置は通常の配置で、12型。今日の次席は廣岡さんです。オケには客演が多いようで、見慣れない顔が多数ありました。

 グリーンのドレスが麗しいチェロの上村さんとスダーンさんが登場して、前半はサン=サーンスのチェロ協奏曲です。スダーンさんは椅子に座り、マスクを着けて指揮棒なしでの指揮です。

 いきなりの激しいチェロで演奏開始です。目を閉じて、熱くもだえるようなチェロと、美しいアンサンブルがせめぎ合い、共鳴するオケ。力強く朗々と鳴り響くチェロの美しさに、上村さんの素晴らしさを実感しました。

 単一楽章の20分ほどの曲ですので、もっと聴きたいと思いましたが、ソリストアンコールがありました。激しさと繊細さとを併せ持ち、聴き応え十分で、上村さんの魅力を知らしめるに最適な曲でした。今や日本を代表する作曲家といえる藤倉大の作品で、これを聴けたのもありがたかったです。

 休憩後の後半は、サン=サーンスの交響曲第3番です。再び拍手の中に団員が入場。オケのサイズは大きくなり、14型となり、ピアノが左側、パイプオルガンの演奏台が右側のコントラバス後方に設置されました。

 水谷さんが登場して大きな拍手が贈られてチューニング。スダーンさんが登場して演奏開始です。前半同様に椅子に座り、指揮棒なしでの指揮で、今度はマスクなしです。

 柔らかな弦のアンサンブルに導かれて、荒木さんのオーボエが美しく鳴って開演です。激しく刻む弦楽に美しい管が絡み合い、次第に熱を帯びました。
 静けさの中にオルガンが加わり、癒しの音楽が流れ、うっとりと聴き入りました。オルガンの重低音と共に奏でられるこのアダージョ部の美しさは絶品ですね。

 咳払い休憩の後、第2楽章は再び激しくリズムを刻む弦楽で始まり、天国から現実世界へと戻されました。ピアノも加わって、明るく軽快に音楽が淀みなく流れ出ました。激しく燃え上がった後、弦楽が優しくメロディを奏でて興奮を鎮めました。
 静けさを蹴散らすようにオルガンが鳴り響き、高らかに金管がファンファーレを奏でました。管楽器のソロの美しい受け渡しの後は、グイグイとスピードアップし、オケはパワー全開となり、打楽器が鳴り響きました。どんどんとオケは熱く燃え上がり、ティンパニの連打とオルガンの強奏の中に、興奮と感動のフィナーレを迎えました。

 前音楽監督で桂冠指揮者のスダーンさんですので、東響との息もぴったりであり、コロナ禍を蹴散らすような熱い演奏を創り出してくれました。
 この演奏を生で聴けたら最高だったことでしょう。いくら良い演奏でも、パソコンを介しての視聴では、感動も半減かもしれません。それでも感動させてくれた渾身の演奏でした。
 この曲は、昨年11月の新潟交響楽団の定期演奏会で聴いたばかりですが、そのときの感動と興奮を思い出しました。

 終演には早い時間でしたので、アンコールを期待しましたが、期待通りに「ホフマンの舟歌」をアンコールとして演奏してくれました。サン=サーンスの興奮を鎮めてくれる優しい音楽は、上等なデザートでした。

 時間的にはまだ早く、もう1曲といきたいところでしたが、そのまま終演となりました。今回も素晴らしい演奏を無料で聴かせていただいて、東響に感謝です。
 
 
(客席:PC前、無料)