ワンコインコンサートは、回を重ねて今回で114回になります。毎回魅力あるプログラムなのですが、通常は平日の開催のため、聴きに行くことはできませんでした。たまに休日に開催されることがあり、その時だけ参加することができました。
今年度の休日開催は今日だけで、せっかくですので、聴きに行くことにしました。前回行ったのが2019年5月の100回記念のコンサートでしたので、2年ぶりになります。
新潟は昨日梅雨入りし、昨夜から雨が降り続いています。いつものように、カメの水替え、ネコのトイレ掃除、洗濯、掃除機かけ、ゴミ出しを終え、雨の中急いでりゅーとぴあへと向かいました。
11時に入館しましたが、既に開場されており、500円払って入場しました。いつもの2階正面に席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。
客席は制限なく使用されましたが、次第に客席は埋まり、友の会やコンサートの案内がされた頃には、かなりの集客となりました。賑わって何よりです。
さて、今日の出演は東京交響楽団のハープ奏者の景山梨乃さんです。景山さんは、東京交響楽団新潟定期演奏会で度々来演しており、昨年9月の東響ロビーコンサートにも出演されていますので、個人的にはすっかりお馴染みです。
開演時間となり、青緑色のドレスの景山さんが登場。レスピーギの「夜想曲」で開演しました。東響のライブラリアンに勧められた曲で、本日始めて演奏したそうです。
しっとりとした美しい曲であり、ハープの繊細な響きを楽しむことができ、ハープの魅力、そして景山さんの魅力が一気に伝わりました。
ここで景山さんの挨拶があり、ハープについての説明がありました。ハープには全部で47本の弦があり、低音部(スチール弦)・中音部(ガット弦)・高音部(ナイロン弦)で弦の種類が異なり、音色の違いがあることなど、実際に音を出して説明してくれました。
以後も、ハープの説明、曲目解説を交えながら演奏が進められましたが、景山さんは妊娠されているそうであり、水分補給しながら演奏されていました。めでたいことであり、健康に留意されて今後も演奏活動を続けていただきたいと思います。
2曲目は、夜続きで、リストの「夜鳴きうぐいす」です。ピアノ曲をハープ用に編曲されたものですが、これも静かで美しく、うっとりと聴き入りました。
続いてハープのペダルについての説明がありましたが、3段階(フラット、ナチュラル、シャープ)で半音ずつ上げ下げするペダルが、ド〜シまでの7つあることなど、実演を交えながら詳しく説明してくれました。
そしてペダルを頻回に駆使するハチャトゥリアンの「オリエンタルダンスとトッカータ」が演奏されました。1秒間に4回もペダル操作を要する部分もあるとのことで、これは神業ですね。弦を弾くだけでなく、胴体を叩いたりと、ハープ音楽の奥深さを感じさせました。
オリエンタルがどこの地域をイメージしているのかは分かりませんが、前半は耳に良く馴染むメロディでした。後半は緊張感にあふれ、引き締まった演奏でした。
ここでハープが活躍する曲の説明があり、その代表として、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の「花のワルツ」のハープの独奏部分を演奏してくれました。たしかに、オーケストラにハープは欠かせないことを再認識しました。 また、ハープと共に演奏される身近な曲として、「千と千尋の神隠し」の「いつもどこでも」を演奏してくれて楽しませてくれました。
続いては、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。ピアノが原曲ですが、曲調からしてハープにぴったり。柔らかな美しい響きが心地良さを感じさせました。
そして、プログラム最後は、ツァーベルの「グノーの『ファウスト』による幻想曲」です。歌劇「ファウスト」の情景を表現した曲ですが、ハープ奏者であるツァーベルがハープのために作曲した曲だけあって、内容豊富な聴き応えある曲になっていました。
ここで予定時間は過ぎており、カーテンコールも早々に、アンコールに「月の光」が演奏されました。曲のイメージとハープの音色がぴったりであり、しっとりと心に染み入る音楽で最後を締めくくってくれました。
ハープ奏者の性格についても話されていましたが、穏やかな景山さんの人柄が伝わるような温かな気分にさせてくれた演奏会でした。
演奏もさることながら、ハープについての解説も充実しており、500円では安すぎるような、内容豊富なコンサートでした。
聴衆の集中度も素晴らしく、演奏開始前の無音の数秒間が、繊細なハープの響きを引き立てていました。そしてホールの響きの美しさを再認識しました。
景山さんは、7月11日に開催される東京交響楽団新潟定期演奏会の前に開催される「東響ロビーコンサート」に出演されるそうです。13時から無料ですので、お聴きになることを強くお勧めします。
(客席:2階C4-5、¥500) |