今日は愛猫の命日。ペット霊園にお参りし、亡き家族に想いを馳せました。帰宅して東京交響楽団の特別演奏会のライブ配信を視聴し、困難の中に来日したノット氏と東響の素晴らしい演奏を堪能しました。原稿をまとめて家を出て、小雨がぱらつく中に、白山公園駐車場へと車を進めました。
上古町の楼欄で絶品の冷やし中華をいただき、りゅーとぴあで某コンサートのチケットを買い、音楽文化会館に向かいました。
開場待ちの列が練習室の奥のほうまで続いていましたが、ちょうど開場となり、私も列に並んで入場しました。前方左寄りに席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。客席には余裕があり、密集・密接は避けられるはずですが、相変わらず密接しておしゃべりの方が多いですね。
今日の公演は、前半がシペリウス、後半がブラームスです。前半のシペリウスのヴァイオリン協奏曲は、フィンランドに生まれ、フィンランドで音楽を学び、現在は山形交響楽団の首席奏者を務めるヤンネ舘野さんというのが注目されます。後半のブラームスは、定番のシンフォニーではなく、セレナードというのがこのオケらしい選曲です。
指揮は、今春に藝大大学院を修了したばかりの24歳の神成さんです。当然ながら初めての指揮者であり、若き指揮者がどのような音楽を作り出してくれるか興味深かったです。
時間となり、拍手の中に団員が入場。編成は賛助出演が加わって、弦は私の目視で7-6-6-5-2という編成です。若き指揮者が入場して、最初は「かわいらしい組曲」です。
弦楽とフルート2本だけで、曲名通りにかわいらしい曲でした。「小さな情景」「ポルカ」「エピローグ」の3曲からなり、若き指揮者が作り出す爽やかな音楽は、挨拶代わりにちょうど良かったように思います。
ただ、正直申し上げれば、いつもは抜群のアンサンブルで楽しませてくれているのですが、今回はいつもに比べてアンサンブルが良くなかったような印象がありました。この印象は今日の演目全般に感じました。
ステージが整えられ、2曲目はヤンネ舘野さんを迎えてのシベリウスのヴァイオリン協奏曲です。最初の弦のトレモロが北欧の静けさを感じさせ、いい出だしでした。舘野さんのヴァイオリンは艶があって美しく響いており、うっとりと聴き入りました。高音部でのヒステリックな歪みを感じることもありましたが、熱く演奏するオケに寄り添い、導き、共に感動の音楽を作り上げてくれました。
アンコールにシベリウスの小品を弦楽アンサンブルとともに演奏しましたが、コンチェルトの興奮を鎮めてくれる爽やかな演奏でした。コンチェルト以上に美しいサウンドに酔いしれました。
休憩時間には、おしゃべりを控えるようにとのアナウンスはどこ吹く風。ご婦人方は賑やかにおしゃべり。この光景はいつもの通り。修行の足りない私は、ムカッとする気持ちを抑えるのに苦労しました。
後半はブラームスのセレナードです。LP時代に聴いたことはありましたが、ずっと聴いたことがありません。新潟で演奏されたことはないように思います。
セレナード(セレナーデ)といいますと、私は親しみやすい軽い曲を連想してしまいますが、この曲は全6楽章からなる長大な曲です。
第1楽章の出だしなどは、ブラームスらしくない軽さとユーモアを感じさせ、やっぱり私が勝手に思い描くセレナーデと一瞬思いましたが、シンフォニックな重厚な部分もあり、やっぱりブラームスなんだなあと感じました。
曲調の異なる各楽章の対比も面白く、楽しく聴かせていただきました。各楽章とも交響曲の楽章のように聴き応えあるもので、軽快さ、明るさだけで終わることはなく、ブラームスしていました。
全6楽章ともなりますと、演奏する方も大変でしょうが、聴く方も心地良い疲労感を感じ、長大なシンフォニーを聴いたかのような充実感・満足感を感じました。
若き指揮者とともに作り上げた音楽。やはり若々しい音楽と言えましょうか。いつものこのオケのサウンドと異なり、アンサンブルの乱れが目立ったように感じましたが、私の気のせいでしょうか。先回の演奏会でアマオケらしくない素晴らしい演奏に感動したばかりでしたので、少し気になってしまいました。全く個人的印象に過ぎませんけれど。
熱い演奏を聴かせていただいたことに感謝して外に出ますと、雨は降っていませんでした。暗い歩道を駐車場へと急ぎました。
次回は11月6日、りゅーとぴあコンサートホールでの開催です。高橋裕之さんの指揮で、ブラームスの交響曲第2番ほかが演奏されます。楽しみにしたいと思います。
(客席:9-8、¥1000) |