東京交響楽団 特別演奏会 Live from Opera City!
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2021年5月22日(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:森麻季
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 

J.アダムス:ザ・チェアマン・ダンス(歌劇「中国のニクソン」より)

ドビュッシー:遊戯

(休憩:20分)

マーラー:交響曲 第4番 ト長調

 

 今月は音楽監督のジョナサン・ノット氏による演奏会がもともと予定されていましたが、新型コロナ禍で昨年演奏できなかった曲目を含めて新たにプログラミングし、予定の演奏会のほかに、5月22日と27日に特別演奏会が開催されることになりました。ノット氏の東響に対する熱い思いが伝わってきます。

 しかし、スイスロマンド管弦楽団でのコロナ感染の影響で、ノット氏の来日が遅れたため、5月8日のサントリー定期は中止され、9日の新潟定期は高関健さんに変更になり、15日の名曲全集と16日の東京オペラシティシリーズは大植英次さんに変更されました。

 幸い遅れながらもノット氏の来日がかない、隔離期間が明けて、22日と27日の特別演奏会は予定通りの日程で開催されることになりましたが、当初予定されていたプログラムは大きく変更されました。
 当初は、前半はベリオの「声(フォーク・ソングU)ヴィオラと2つの楽器グループのための」で、後半はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が予定されていましたが、上記のプログラムに変更されました。
 前半の2曲は、8日のサントリー定期と9日の新潟定期で演奏されるはずだったプログラムです。ノット氏の思い入れの強い曲なのでしょうか。
 そして後半はマーラーの交響曲第4番です。27日には交響曲第1番が予定されており、今回の特別演奏会はマーラー特集としてと特色を出そうということなのでしょう。

 緊急事態宣言で客席数は半減され、その代償というためか、今回も無料ライブ配信されることになりました。せっかくの機会ですので、今回も視聴させていただくことにしました。

 開場時間に合わせてニコニコ生配信のサイトに接続しますと、東京オペラシティのステージが映し出されていました。
 ステージ上ではコントラバスと打楽器の皆さんが音出しをしていました。対向配置のようでコントラバスが左にあり、右端にはピアノが設置されていました。客席数は半分のはずなのですが、隣り合って着席しておられ、隔席での販売ではなかったようですね。

 開演のチャイムが鳴り、打楽器の皆さんはステージから降りましたが、コントラバスの皆さんは直前まで音出しを続けておられました。
 拍手の中団員が入場。起立し待つことはなく、最後にニキティンさんが入場し、団員に起立を促して大きな拍手が贈られました。
 ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で14型です。今日の次席は廣岡さん。フルート/ピッコロに高木綾子さんが客演していました。

 マスクをしたノット氏が入場。マスクを外して演奏開始です。いかにもミニマルミュージックという感じで、同じリズムを延々と繰り返し、軽快に音楽が流れました。途中突然ゆったりとした音楽が流れたりして、親しみやすい曲でした。毛沢東を題材にした曲だそうですが、多彩なパーカッションやピアノなども味わい深く、大いに楽しませていただきました。終了とともにノット氏はマスクを着けて拍手に応えていました。

 ピアノが片付けられ、管楽器・打楽器の入れ替わりがあり、2曲目はドビュッシーです。マスクを着けたノット氏が登場。マスクを外して演奏開始です。
 深遠な音の響き。美しく幻想的な弦楽。管楽器が美しく響いてりましたが、フルート/ピッコロには美しき女性が4人並んでいて、相沢さんも高野さんもいませんがどうしたんでしょう。
 おそらく初めて聴く曲で、ちょっと馴染みにくさも感じましたが、バレエ音楽ですので、バレエとともに聴いたら楽しめるんだと思います。

 マスクを着けてノット氏が退場し、カーテンコールの後に休憩に入りましたが、休憩時間中に東響のプロモーションビデオが流れて楽しませてくれました。

 時間となり拍手の中に団員が入場。後半はマーラーの4番です。ノット氏が登場。指揮台に譜面台はなく、暗譜での指揮です。
 鈴の音とともに演奏開始。大きくテンポを揺り動かしてアクセントを付けていました。うねりが大きく、ちょっとやり過ぎにも思いましたが、ベルアップして演奏するクラリネットヤオーボエ、美女軍団のフルート、決め所をバッチリと決めてくれたホルンなど、各楽器ともお見事で、楽しく聴かせていただきました。
 ニキティンさんが楽器を持ち替えて第2楽章。ここもテンポを揺り動かしてアクセントを付け、ワルツを楽しませてくれました。
 森さんが入場して指揮者右横に着席。第3楽章の美しい演奏は天上に昇るかのよう。極上のビロードのような美しい弦楽に乗せて奏でられる管の美しさ。大きな感情のうねりの後にティンパニの連打で天上の世界に戻され、再び静かな癒やしの中に消え入りました。
 グリーンのドレスの森さんが立ち上がり、吉野さんのクラリネットに導かれて第4楽章です。胸の谷間に悩殺され目を奪われながら聴き入りました。天上の世界で戯れ、現実世界を忘れて夢幻の世界に癒やされる中に、静かに音楽は消えていき、終演となりました。
 森さんの歌声も最高でしたね。ヴァイオリン2台を弾き分けたニキティンさんを始め、東響の皆さんの個人技も光っていました。久しぶりのノット氏ということで熱が入っていたものと思います。

 数回のカーテンコールの後、ニキティンさんが礼をして団員が引き上げましたが拍手は続き、ノットさんと森さんがステージに登場してスタンディングオベーションとなりました。その後もノットさんが呼び出され、会場の熱狂ぶりが伝わりました。

 いい演奏会を無料で視聴できたことに感謝し、サイトから退出しました。


 

(客席:PC前、無料)