新潟室内合奏団第82回演奏会
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2021年1月23日(土) 18:30 新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
指揮: 高橋裕之
ピアノ: 大瀧拓哉
 

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲 K.527

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19

 (ソリストアンコール)
 J.S.バッハ:羊は安らかに草を食む

(休憩15分)

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92

(アンコール)
チャイコフスキー:組曲第4番「モーツァルティアーナ」
           第4曲「祈り」

 このコンサートは、本来ならベートーヴェン生誕250周年の2020年5月に第81回演奏会として開催されるはずだったのですが、新型コロナ感染禍で残念ながら中止され、今日の演奏会となりました。
 そのまま延期されるかと思ったのですが、昨年11月に全く別のプログラムで第81回演奏会が開催されましたので、本日は第82回演奏会として開催されることになりました。
 このオケの演奏会はいつも土曜日の夜に開催されており、行きやすいようでいて、なかなか行きにくく、私が演奏会に行くのは2018年10月の第78回演奏会以来であり、久しぶりになります。

 今日のコンサートには、大ファンである大瀧拓哉さんがソリストとして出演するため、早々にチケットを購入して楽しみにしていました。大瀧さんは先週の長岡でのリサイタルで素晴らしい演奏を聴かせてくれたばかりであり、今日の演奏も期待が高まりました。
 大瀧さんによるコンチェルトを聴くのは、2018年3月の新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団特別演奏会以来3年振りになります。前回はショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でした。今回はベートーヴェン。さて、どんな演奏で楽しませてくれるでしょうか。

 とうはいうものの、新潟県内でも連日多数の新型コロナ感染者が発生しており、せっかく開催されることになったこの公演がどうなるのかと内心は心配しましたが、無事開催されて何よりと思います。

 さて、今年は新年早々に記録的豪雪となり散々な毎日でしたが、大雪から雨に変わり、積雪もかなり減少しました。まだ道路脇にはたくさんの雪が残り、生活道路はすれ違いができないところも多い状況です。このまま雪は終わってほしいのですが、まだ1月ですから当分がまんの日々が続きます。


 所用を済ませ、早めに江南区文化会館入りしました。開場までかなり時間がありましたので、図書館で本を読んで時間調整しました。開場待ちの列ができ始めたところで私も列に並び、この原稿を書き始めました。

 受付の人はマスクにフェイスシールド、手袋の完全防備で、ものものしい雰囲気です。開場時間となり、体温チェックを受け、半券のもぎりなしで入場。前方左寄りに席を取りました。
 厳戒体制の受付の雰囲気とは裏腹に、ホール内はのどかで、席の間隔を空けることなく密集しておられる方も多く、おしゃべりも賑やかでした。

 会場はいつもの中央区ではなく江南区なのですが、お馴染みの顔が多数あり、新潟の音楽ファンは集結したようです。おそらくは日程的に本日に決まったものの、音楽文化会館では某高校のコンサートが先に予約されていたため、このホールになったものと推測します。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場。弦5部は、7-5-6-5-2 で、コンサートミストレスは井口歩さんです。管楽器以外は1人を除いてマスクを着用しています。

 マスクなしの高橋さんが登場して、最初はモーツァルトの「ドン・ジョバンニ」序曲です。最初の1音を聴いて、音の美しさに驚きました。低弦が重厚に響き、この曲の雰囲気を良く醸し出していました。軽快に駆け抜けるアンサンブルの美しさ、そしてホールの響きの美しさ。最初から快調です。

 ステージにスタインウェイか設置され、2曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番です。何で第2番なんだろうと思いましたが、このオケの演奏会では第2番だけやっていなかったのですね。
 マスクなしの大瀧さんが登場して演奏開始。高橋さんは今度はマスクをしての指揮です。軽快に跳ね回るピアノ。音はクリアで爽やかであり、みなぎるパワーを内に秘め、軽やかな音楽が流れ出ました。高橋さんに導かれたオケも生き生きと躍動しました。
 第2楽章でのピアノの弱音の美しい響きは大瀧さんならではであり、先週のリサイタルで魅了した弱音の美しさを思い出させました。
 ギアチェンジして第3楽章は軽快に駆け抜け、感動のフィナーレを迎えました。オケは若き俊英とともに抜群のアンサンブルで明るく生命感あふれる音楽を創り出しました。声出し禁止のはずでしたが、客席からはブラボーの声も上がりました。
 拍手に応えてソリストアンコールはバッハの「羊は安らかに草を食む」です。先週のリサイタルでも演奏されましたが、協奏曲の興奮を鎮めるように、ゆったりと穏やかに演奏し、聴衆に安らぎを与えてくれました。
 
 休憩後の後半はベートーヴェンの交響曲第7番です。現実の暗い世相に沈む心に元気を与えてくれるには最適な曲でしょう。高橋さんがグイグイとオケをドライブし、小編成のオケならではの機動性が有効に発揮され、躍動感あふれる音楽が流れ出ました。聴く者は否が応でも興奮させられ、心が熱くなりました。

 アンコールはチャイコフスキーの「モーツァルティアーナ」から「祈り」。モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の管弦楽版ですが、誰の編曲かと思いながら聴いていましたがチャイコフスキーだったんですね。ベト7の興奮を鎮めるには最適なデザートでした。モーツァルトに始まり、モーツァルトで終わるというプログラミングも憎いですね。

 期待通りの快演に心も明るくなり、バイパスを快適に走り家路に着きました。西区の自宅まで信号4つで20分で到着。時間的には一番便利なホールです。亀田生まれの私にとりましては地元でありますし・・。

 次の演奏会は5月22日、新潟市音楽文化会館で、神成大輝さんの指揮、ヤンネ舘野さんの独奏で、シベリウスのヴァイオリン協奏曲、ブラームスのセレナーデ第1番ほかが演奏されます。その頃までには世間が落ち着いていると良いですね。
 
 

(客席:5-10、¥1000)