毎年恒例、新潟に春の訪れを告げるスプリング・コンサートです。新潟市が文化的分野で全国に誇れるもの、それは、Noism
と新潟市ジュニア音楽教室です。
この新潟市ジュニア音楽教室の新潟市ジュニア邦楽合奏団、新潟市ジュニア合唱団、新潟市ジュニアオーケストラ教室の3つを同時に聴ける貴重でお徳なコンサートが、このスプリングコンサートです。
毎年欠かさずに聴きに行っており、昨年3月28日開催の第16回スプリングコンサートもチケットを買って楽しみにしていました。しかし、新型コロナウイルス感染の蔓延により、残念ながら中止になってしまいました。
その結果、第16回は欠番となり、今回の第17回は、2019年3月30日に開催された第15回以来、2年ぶりの開催となりました。
今回は、感染防止のため客席数が減らされたこともあり、午前の部と午後の部の2回公演となりました。午前の部は幼児から入場できる短目のプログラムで、休憩なしの1時間の公演です。午後の部は小学生以上の通常のプログラム構成になっています。残念ながら恒例のロビーコンサートは開催されず、最後の全員での「Believe」の演奏もありません。
ファンとしましては、午前・午後の両方とも聴きたいところではありますが、人気公演ですので午前の部は遠慮し、午後の部を聴かせていただくことにしました。予想通りに午後の部はチケット完売とのことであり、人気のほどが伺えました。
今日は天気予報通りに曇り空で、鬱陶しい日曜日になりました。ホームページを更新し、猫と戯れ、ゆっくりと昼食を摂って、おもむろに家を出ました。
今にも雨が降りだしそうな中、りゅーとぴあへと車を進めました。駐車場に車をとめ、白山公園を通りますと、桜が咲き始めており、ピンクに染まった木々がきれいでした。天候が回復すれば、一気に咲き誇るものと思います。いよいよ新潟にも本格的な春到来です。
りゅーとぴあに入り、ロビーでこの原稿を書きながら開場を待ちました。時間となり、ホールに入場。開演時間が近付くにつれ客席は埋まり、市松模様となりました。
開演時間となり、最初は新潟市ジュニア邦楽合奏団です。まず、初級合奏による「子どもの四季」です。箏10人、三味線4人、尺八4人の編成で、お馴染みの童謡がメドレーで演奏されました。初級者とはいえ、聴き映えのする演奏で楽しく聴かせていただきました。
続いて、中・上級合奏による「童夢」です。箏10人、三味線5人、尺八4人、太鼓2人です。さすがに演奏のレベルが大きくアップしています。曲も大曲であり、聴き応え十分です。これまでのジュニア邦楽合奏団から一皮剥けて、その成長ぶりに感激しました。
最後は上級合奏による「AXIS 第一楽章」です。箏8人、三味線6人、尺八4人の編成で、ロックテイストも感じさせる現代的な曲であり、邦楽の新たな魅力を知らしめてくれました。もっと聴きたいところでしたが、全2楽章の曲のうち第1楽章のみの演奏でした。夏の定期演奏会では全曲演奏するそうですので、楽しみですね。
1曲目は従来からの邦楽合奏団のイメージそのものでしたが、その後は斬新な曲であり、曲も演奏も、新たな世界に踏み出した印象を受けました。21世紀の邦楽でしょうか。どんどんと進化する姿を目にし、頼もしく思われました。
休憩後は新潟市ジュニア合唱団です。パイプオルガンの場所に大きな白い十字架が設置されていました。P席に合唱団が静かに入場し、その後場内が暗転して、暗い中にステージに合唱団が入場しました。
P席に照明が当てられ、1曲目はP席の合唱団により、「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」が原語で歌われました。十字架に向かって合唱し、荘厳な雰囲気を感じさせました。男声が入って重厚感を生み出し、これまでのジュニア合唱団のイメージを変えてくれました。
この後はステージ上の合唱団とP席の合唱団により、いつものジュニア合唱団そのものの、楽しいステージが繰り広げられました。途中から年少者も加わり、振付やダンスを交えながら、9曲メドレーで歌い、楽しませてくれました。
ここで場内は暗くなり、斎藤さんのピアノ演奏の間にステージ転換が行われ、年少者は退場し、代わりにP席の合唱団がステージに下りてきました。
「メリークリスマス・メリークリスマス」から「スターウォーズのテーマ」と、振付とともに繰り広げられる合唱の素晴らしさ。これぞジュニア合唱団と感激しました。
最後のカーテンコールでは感動の涙が抑えきれず、ジュニア合唱団マジックにノックアウトされてしまいました。入場から退場までがすべて計算されており、ステージの完成度の高さに感嘆しました。
いつもはお揃いの制服で歌うのですが、今回はみんなばらばらの服装でした。これも演出のひとつなのでしょうか。ともあれ、期待通りの感動に、目から涙がこぼれ落ちてしまいました。
2度目の休憩の後は新潟市ジュニアオーケストラ教室です。最初は初級者のA合奏です。指揮はもちろん藤井先生です。相変わらず編成は小さく、今回は弦5部が
8-7-3-1-1で、何とチェロとコントラバスは1人ずつしかいません。他の楽器も、管はフルート1、オーボエ1、ホルン2、トランペット2のみで、その代わり打楽器は4と、全くアンバランスな編成です。プログラムのメンバー表ではもっと人数はいることになっているので、一部のみの出演なんでしょう。
まずは、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」からの2曲です。聴いてびっくり。あの編成に関わらず、ちゃんとしたオーケストラサウンドになっているではないですか。これには驚きました。短い曲でしたが、違和感なく楽しめました。
続く「運命」のフィナーレも聴きごたえ十分。ウッドハウスによる初心者向けの編曲ではありますが、ちゃんとベートーヴェンになっているのは驚きです。
あの変則的な編成で、十分に楽しめる音楽を作り出すなんてたいしたものです。藤井先生の指導の賜物でしょう。今度はちゃんとした編成で聴いてみたいですね。
続いてはいよいよB合奏です。編成は大きくなりましたが、いつもよりかなり小さい編成です。どうしんたんでしょうか。弦5部は、8-6(+1)-5-8-3。これもA合奏同様にちょっとアンバランスな編成です。
密を避けるために小編成ににたのかと思いましたが、メンバー表を見ても、確かに人数が少ないです。第2ヴァイオリンとヴィオラに指導者も加わって人数合わせしているようです。指揮者は永峰大輔さんではなくて、和田一樹さん。初めての登場です。代わったのでしょうか。
ということで、オケの編成も指揮者もこれまでと違っていました。チューニングの音もいつもと違う印象を受けました。曲目は「アルルの女」の第1組曲・第2組曲から6曲を抜粋しての演奏です。
「前奏曲」は、まずまずの出だしだったと思います。「パストラーレ」は、サクソフォンのソロがお見事。賛助出演と思いますが、どこかで見たような・・。遠目でよく分かりませんでしたが、あの人でしょうか。
「カリヨン」をじっくりと緻密に演奏し、「アダージェット」の繊細な弦楽アンサンブルは美しくお見事でした。「メヌエット」でのハープに載せてのフルートソロは完璧といって良いでしょう。後半に絡んできたサクソフォンもいい仕事でした。そして「ファランドール」ではたたみ掛けるように盛り上げて感動のフィナーレを飾りました。
A合奏、B合奏の人数を合わせればそれなりになりますが、ちょっと心配してしまいました。今後Aから進級試験でBに上がってくるとは思いますが、夏の定期演奏会に向けて体制を整えていただきたいと思います。
新型コロナ禍で、集団での十分な練習はできなかかったと思いますが、3団体とも良い演奏を聴かせてくれて感激しました。
夏にはそれぞれが定期演奏会を開催する予定であり、日程も発表されています。これから練習を積み、さらなる極みへと昇っていって欲しいと思います。
夏の定期演奏会を楽しみに、明日からの仕事を頑張っていきたいと思います。感染拡大で、中止や延期になることがありませんように・・・。、
(客席:2階C5-4、¥1000) |