オータムコンサート −それぞれの思い− 夜の部
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2020年10月30日(金) 19:00  新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
五十嵐尚子、倉澤桃子、小林浩子、佐々木友子、庄司愛、本間美恵子、向井もと子、中林由美子
 
本間美恵子&倉澤桃子 (マリンバ)
  ロッケンカンプ:アフリカンブルース
  モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
  マックス・レス:エッヒュゴーントラム

五十嵐尚子(ソプラノ)&小林浩子(ピアノ)
  中田喜直:むこうむこう
  海沼実:里の秋
  木下牧子:竹とんぽ
  高田三郎:市の花屋
  和合亮一:貝殻のうた

(休憩10分)

本間美恵子&倉澤桃子(マリンバ)
  日本の歌より 秋の曲メドレー
  横山青児:ずいずいずっころばし

庄司 愛(ヴァイオリン)&佐々木友子(ヴィオラ)
  ハルヴォルセン:ヘンデルの主題によるパッサカリア

庄司 愛&佐々木友子(ヴァイオリン)&向井もと子(ピアノ)
  サラサーテ:二本のヴァイオリンのためのナヴァラ

五十嵐尚子(ソプラノ)&佐々木友子(ヴァイオリン)&中林由美子(ピアノ)
  ヴァヴィロフ:カッチーニのアヴェマリア
  久石 譲:君をのせて
  ロジャース:すべての山に登れ

(アンコール:全員)
  村松崇継:いのちの歌
 

 新潟で活躍するプロの音楽家が集ってのコンサートですが、チケットの収益は新潟の医療従事者の方達へ全額寄付されるというチャリティコンサートです。

 昼の部と夜の部があり、一部出演者の入れ替わりがあり、演奏されるプログラムも異なります。ちなみに昼の部の出演者は、倉澤桃子さん、小山瑠美子さん、斉藤晴海さん、佐々木友子さん、庄司愛さん、向井もと子さん、中林由美子さんです。
 昼の部に出演された小山瑠美子さん、斉藤晴海さんは夜の部には出演されず、代わりに五十嵐尚子さん、小林浩子さん、本間美恵子さんが出演されます。

 新潟を代表する女性演奏家の皆さんによるコンサートであり、チラシには演目の記載が全くありませんでしたが、魅力あるメンバーを見て、是非とも聴きに行きたいと思いました。幸いホールは私の通勤の通り道にあり、夜の部を聴かせていただくことにしました。
 とはいえ、コロナ対策で、客席は制限されて発売されており、先日このホールに行った折にチケットを購入したときには、最後方の席しか残っていませんでした。盛況で何よりと恩います。

 ということで、仕事を早めに切り上げ、小雨降るなか、職場からいつもの帰り道である国道49号線を車を進め、江南区文化会館に到着しました。
 手の消毒をし、検温を受け、半券を自分で切り取って受付しました。通常は半券の小さい方を渡すのが普通ですが、大きい方を渡すというのが変でした。座席番号が大きい方でなく、小さい方にだけ記載されていたんですね、デザインミスでしたね。
 プログラムの紙1枚を自分で取り、ホール内に入りました。今回の席は、左の最後方でステージを見下ろしますが、小さいホールですので、ステージまでの距離は遠くありません。足の悪い私には、曲がりくねった階段の上り下りは大変でしたけれど。
 客席は1席おきに販売されましたので、ゆったりとできました。ステージには、ピアノ(スタインウェイ)とマリンバが2台、ヴィブラフォン1台が並んでいました。りゅーとぴあと同じ開演チャイムが鳴り開演です。

 ステージ左から倉澤さん、右から本間さんが、楽器名は知りませんが、ガラガラと音を出しながら登場。倉澤さんはアズキ色、本間さんは青い衣裳です。ステージ前方に配置された2台のマリンバに移動して演奏が始まりました。
 音量豊かにホールいっぱいに響くマリンバ。「アフリカンブルース」というかっこいい曲で、足に付けた鈴を踏み鳴らしたりして、一気にホールの空気を自分のものにしました。マリンバ2台が並びましたが、本間さんの方が若干大きめに見えました。
 主催者代表の中林さんの挨拶があり、2曲目は「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をしっとりと演奏し、マリンバのソフトな響きが心を和ませました。
 倉澤さんの挨拶後、3曲目は本間さんはヴィブラフォンを演奏し、結構有名らしい「エッヒュゴーントラム」という曲を、ジャジーに演奏し、超絶技巧で圧倒しました。

 2人が退場し、ステージ転換している間に赤いドレスの五十嵐さんが登場して挨拶があり、白地のドレスの小林さんが登場して、曲目紹介しながら全5曲歌われました。
 ホールいっぱいに響く五十嵐さんの声はさすがであり、ホールの空気を一気に入換えました。優しくしっとりと、ときにコミカルに歌い魅了しました。最後の東日本大震災に関連した曲の「貝殻のうた」に涙しました。久しぶりに聴く小林さんのピアノの響きも美しかったです。

 短い休憩があり、後半は再び本間さんと倉澤さんのマリンバ演奏で、日本のお馴染みの曲が演奏されました。新潟を代表する打楽器奏者の二人。一人でもすごいというのに、二人揃えば敵なしです。さすがの演奏で楽しませてくれました。

 ステージ転換している間に黒いドレスの庄司さんの挨拶があり、赤いドレスの佐々木さんが登場して、ハルヴォルセンの「ヘンデルの主題によるパッサカリア」です。聴き応えある曲であり、庄司さんの繊細なヴァイオリンと、佐々木さんのふくよかなヴィオラの調べが絡み合い、感動を誘いました。

 一旦退場した後、庄司さん、佐々木さん、そして黒いドレスの向井さんが登場。佐々木さんにより曲目紹介があり、ヴァイオリン2本とピアノで「ナヴァラ」が演奏されました。超絶技巧が要求される曲ですが、見事な仕上がりでした。力強さ、情熱的というより繊細さを感じさせる演奏でしたが、高音の美しさに酔いました。ヴァイオリンとヴィオラの二刀流の佐々木さんは大したものですね。

 最後は、五十嵐さん、佐々木さん、中林さんの3人による演奏です。この3人は「デッチーノ」という名前で活動しているそうです。「デッチーノ」というのは、誰がどれかは書きませんが「デブ」、「チビ」、「ノッポ」の3人にちなんでのものだそうです。
 演奏は五十嵐さんのオンステージというべきもので、「カッチーニのアヴェマリア」には圧倒されました。「君をのせて」でクールダウンし、庄司さんが賛助出演した最後の「すべての山に登れ」で大きく盛り上がって締めくくりました。

 アンコールは全員で「いのちの歌」。ピアノは向井さんで、ヴァイオリンの庄司さん、佐々木さん、パーカッションの倉澤さん、本間さん。歌はもちろん五十嵐さんで、中林さん、小林さんも歌で参加しました。曲の良さもありますが、出演した8人が一つになり、感動の中にコンサートは終演となりました。
 
 収益は全てチャリティーとして寄付されるコンサートで、地元の音楽家による手作り感あるステージは感動的でした。中でも、五十嵐さんの存在感はさすがですね。

 夜間で交通量の減ったバイパスを快適に走り、あっという間に自宅に到着。車があると便利なホールですね。逆に言えば車がないと不便極まりないですけれど・・。
 
  

(客席:LC3-2、¥1000)