仲道郁代 ピアノ・リサイタル
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2018年11月18日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ:仲道郁代
 
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13 「悲愴」

シューマン「子供の情景」op.15 より トロイメライ

シューマン/リスト編:歌曲集「ミルテの花」 op.25-1 より 「献呈」S.566

ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より 月の光

ドビュッシー:「版画」より 塔(パゴダ)

ドビュッシー:喜びの島

(休憩20分)

ショパン:12の練習曲 op.10 第12番 「革命」
ショパン:12の練習曲 op.10 第3番 「別れの曲」

ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調「連と・コン・グラン・エスプレッシオーネ」

ショパン:バラード 第1番 ト短調 op.23

ショパン:バラード 第3番 変イ長調 op.47

ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 op.52

(アンコール)
ショパン:プレリュード 第7番 イ長調
エルガー:愛の挨拶

 今シーズン初めての寒波襲来で、新潟でも山間部は積雪となり、肌寒さが身に染みます。今日は3連休の中日。いろいろと魅力ある催しがありますが、仲道さんのリサイタルに行くことにしました。

 仲道さんのコンサートは、10月20日に長岡で聴いたばかりなのですが、久しぶりの新潟市でのリサイタルですので、仲道さんファンとしましては行かないわけにはいきません。
 仲道さんは毎年長岡でのコンサートを続けておられ、私も何度も聴かせていただいていますが、新潟市ではたまにしか聴く機会がなくてさびしく思っています。私が新潟市でのコンサートを聴くのは、2012年12月以来ですので、実に6年ぶりになります。

 今日は今シーズン最初の忘年会が月岡温泉であり、早めに旅館入りして温泉に浸かる予定だったのですが、自他共に認める温泉好きの私でも、仲道さんの魅力には負けてしまいます。宴会前の入浴はあきらめて、コンサートが終わり次第に宴会に参加することにしました。

 ということで、昼食をとり、りゅーとぴあに到着。既に開場時間は過ぎていたはずでしたが、開場待ちの列が長く伸びていました。私も列に並ぶのもはばかられ、チラシ集めをしながら時間調整し、列がなくなったところで入場しました。
 客席は1階と2階のB、C、Dブロックのみ使用され、3階は使用されませんでしたが、発売された席はほとんど埋まっていました。私は通常は1階席を選ぶことはないのですが、今回は仲道さんということで、視覚も重視ということで、前方の席を選択しました。

 上が黒、下がグレーのドレスの仲道さんが登場し、挨拶があって、以後1曲ごとに曲目紹介をしながら演奏が進められました。椅子に座るとともに間を置かずに演奏を始め、演奏が終わると大きく後方に体を反らすいつもの演奏姿です。ウェーブのかかったロングヘア。暦の年齢を超越したチャーミングさ。話す声も麗しく、演奏以前にジジイは虜になるのでした。

 「悲愴」は大きくためを作って、歌わせどろはゆったりと歌わせ、ダイナミックに駆け抜けました。「トロイメライ」はまさに夢見心地。「献呈」はゴージャスな響きで楽しませ、「月の光」は暖かな満月のぬくもりを感じさせました。「塔」はオリエンタルな響きを醸し出し、「喜びの島」では豊かな響きで夢幻の世界へ誘い、強靭な打鍵で圧倒しました。

 後半はゴールドのドレスに衣裳換えしてショパンです。エチュードを2曲続けて演奏しましたが、「革命」は激しく爆発し、「別れの曲」はゆったりと歌わせました。
 そして哀愁に満ちたノクターン第20番をしっとりと演奏し、バラードを3曲、ダイナミックな演奏で圧倒しました。柔らかな語り口とは裏腹の、華奢な体からは想像できないパワフルな演奏に魅了されました。

 アンコールは短いプレリュードをさらりとデザート代わりに演奏し、お馴染みの「愛の挨拶」で締めくくって終演となりました。

 演奏もお話しも楽しく、アットホームな、堅苦しくない演奏会で、仲道さんの人柄が偲ばれます。こういう点がファンの心をつかむのだと思います。またの来演を期待したいと思います。
 
 

(客席:1階5-18、¥3500)