東京交響楽団 第106回新潟定期演奏会
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2018年3月4日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:秋山和慶
バス:妻屋秀和
ソプラノ:松原典子、アルト:松浦 麗、テノール:児玉和弘、バス:金子 宏
合唱:にいがた東響コーラス(合唱指揮:安藤常光・丹藤麻砂美)
コンサートマスター:水谷 晃
 

オール・モーツァルト・プログラム

歌劇「ポントの王ミトリダーテ」序曲 K.87

アリア「この美しい御手と瞳のために」K.612 
        (オブリガート・コントラバス:北村一平)

歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲 K.621

歌劇「魔笛」より ザラストロのアリア「この神聖な殿堂の中では」K.620

歌劇「フィガロの結婚」より ドン・バルトロのアリア「復讐とは、ああ、復讐とは!」K.492

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より レポレッロのアリア「カタログの歌」K.527

(休憩20分)

エジプト王タモスのための合唱曲と幕間の音楽 K.345(K.336a)
 T 僧侶たちと乙女たちの合唱
 U〜X 幕間音楽
 Y 僧侶たちと乙女たちの合唱
 Za 幕間音楽
 Z 司祭長と合唱
 

 今週末は春を思わせる好天となり、気分も晴れやかです。このまま春になってくれるとありがたいのですが、そうもいかないでしょうね。

 さて、今日は2017年度最後の東響新潟定期。指揮は秋山さんです。2015年3月以来3年ぶりですので、ずいぶんとお久しぶりという感じです。
 今回のプログラムは、昨日川崎で開催された第32回モーツァルト・マチネの演目に5曲ほど追加したもので、オール・モーツァルト・プログラムとなっています。今回は会員の特典としての公開リハーサルがあり、参加しようかと思ったのですが、リハーサルを聴いてしまいますと、本番での感動が薄れてしまう気もしますので、やめにしました。

 だいしホールで開催された新潟サクソフォーン協会の演奏会を聴き、大急ぎでりゅーとぴあに到着しました。オール・モーツァルトということで、客の入りが良いかと思ったのですが、いつもと変わりないようでした。ステージ後方には合唱団席が作られていました。

 拍手の中に団員が入場。オケのサイズは小型で、弦5部は12-10-8-6-5のいわゆる12型。今日のコンマスは水谷さんです。

 秋山さんが登場して、最初は序曲を1曲。「ポント王ミトリダーテ」といっても何のことか分かりません。当然初めて聴く曲ですが、急〜緩〜急という3楽章構成の序曲で、なかなか魅力的な曲です。K.87という番号が示しますように、モーツァルト初期の曲であり、14歳の作品といいますから驚きです。

 続いて、指揮台の左右にスペースが開けられ、バスの妻屋さんとコントラバスの北村さんが登場して、今度はモーツァルト最晩年の作品である「この麗しい御手と瞳のために」です。コントラバスのオブリガート付きという珍しい曲であり、妻屋さんの見事な歌声もあって興味深く聴かせていただきました。

 初期の作品から一気に最晩年の作品へと飛ぶ選曲は憎いですね。秋山さんのセンスの良さが感じられます。それにしましても、年代が大きく違うにもかかわらず、何の違和感もなく、初期のうちから完成度の高い作品を作っていたことに驚きました。

 次からは私でも聴いたことのある曲が並びます。「皇帝ティートの慈悲」序曲を軽快に演奏した後は、「魔笛」、「フィガロの結婚」、「ドン・ジョバンニ」という三大のオペラから、バスの有名なアリアをそれぞれ1曲歌い、正に妻屋さんのオンステージという感じでした。どっしりと存在感ある歌声は、これぞバスという感じであり、表現力豊かに楽しませてくれました。

 休憩の後はいよいよ合唱団の登場です。にいがた東響コーラスの皆さんが着席するとともに東響の皆さんが入場。ソリスト5人が正面後方の合唱団のすぐ前に着席し、「エジプト王ターモスのための合唱曲と幕間の音楽」の始まりです。当然初めて聴く曲であり、東響定期ならではの曲です。新潟でこういう曲を聴けるなんて幸せです。
 合唱曲3曲と幕間音楽5曲からなりますが、合唱の出来が素晴らしく(すべて暗譜)、独唱者ととも劇的な音楽世界を創り出し、聴く者を圧倒しました。前半のアリアで大活躍だった妻屋さんの出番がなくてどうしたのかと心配しましたが、最終曲で圧倒的な存在感の歌声で締めくくってくれました。
 幕間の音楽も素晴らしく、東響の素晴らしさを再認識しました。特に第3曲でのオーボエ(荒木さん?)の長大なソロの歌心ある演奏に感嘆しました。お見事!

 久しぶりの秋山さんでしたが、期待にたがわぬ演奏で満足させていただきました。珍しい曲を聴けて良かったです。東響の皆さんの演奏も素晴らしく、各パートとも渾身のパフォーマンスを披露してくれました。さすがに東響という満足感とともに終演となりました。
 
 外に出ますと、まだ昼間の暖かさが残っていました。このまま春になると良いですね。

 

(客席:2階C*-*、S席:定期会員:¥5660)