短期間で軌跡の発展を遂げている北区フィルの定期演奏会も、今年で第6回となりました。2010年10月に結成され、2011年春のデビューコンサート、その年の秋に開催された第1回ファミリーコンサート、そして2012年に満を持して開催された第1回定期演奏会からオケの発展を見守ってきた私としましては、この定期演奏会は外せません。他にも魅力ある公演があったのですが、こちらを選びました。
12月のファミリーコンサートはスケジュールが合わず聴けませんでしたので、昨年6月の第5回定期演奏会以来1年ぶりになります。
小雨降る梅雨空のなか、新新バイパスを走り、道の駅で昼食を摂り、北区文化会館に到着しました。中に入りますと、ロビーに「祝・新潟市北区文化会館50万人突破記念」というくす玉が飾られていました。地域における文化の拠点として盛況で何よりと思います。
開場待ちの列に並びますと、ちょうどロビーコンサートが始まり、木管五重奏の軽快なメロディーがロビーに響き渡りました。短い曲が1曲のみで、あっという間に終わってしまいましたが、タイミングよく聴けて良かったです。
その後しばらくして開場となり、9列目やや右寄りに席を取りました。客席は若干の空席はありましたが、まずまずの集客です。
味気ないブザーの音と共に開演しました。拍手の中に団員が入場。全員揃うまで起立して待ち、コンマスの登場と共に大きな拍手が贈られました。
大柄な長谷川さんが登場して、最初はハイドンです。「今一度基本をしっかり学ぶ」という目的での選曲だそうです。この曲は好きでもないのですが、最初の出だしの弦楽合奏の美しさにうっとりし、北区フィルのレベルアップを実感しました。楷書で書いたような端正な演奏であり、ハイドンの世界を直球で表現していました。
休憩後は編成が大きくなり、コンマスも交代して、メインのチャイコフスキーの5番です。ハイドンでの穏やかな演奏とは打って変わって、ダイナミックでエネルギー感があふれる演奏でした。
第1楽章出だしの暗いフレーズから演奏に引き込まれました。第2楽章のホルンソロもお見事。掛け合うクラリネットもきれいでした。第3楽章の優しいワルツと激しい運命の動機。そして怒涛の終楽章。堂々と行進曲を奏で、感動のフィナーレへと突き進みました。
アンコールはアンネンポルカを軽やかに爽やかに演奏して終演となりましたが、清涼感ある演奏はデザートにぴったりでした。
今年で結成7年目の若いオーケストラですが、その進歩は驚異的であり、活発な活動は目を見張るものがあります。結成当初から聴いている私としましては、成長するわが子を見るようであり、感慨もひとしおです。
アンサンブルの美しさ、個々の奏者の演奏技術も向上し、アマオケとしての演奏水準も高く、老舗の潟響に引けを取らず、むしろフレッシュさでは勝っているように思います。
音楽監督の長谷川さんの指揮は淡々としており、上半身を動かすのみで、エネルギッシュな指揮とはいえないのですが、生み出される音楽はパワーにあふれ、熱い演奏でした。このギャップも面白かったです。
次の演奏会は11月19日の第7回ファミリーコンサートです。どんなプログラムで、どんな演奏を聴かせてくれるか楽しみですね。
(客席:9-25、¥1000) |