秋川雅史&二期会&N響メンバー スペシャルコンサート
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2015年9月22日(火) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
テノール:秋川雅史
ソプラノ:鈴木愛美(二期会)
N響メンバーによるクインテット
  (Vn1:大宮臨太郎、Vn2:猶井悠樹、Va:御法川雄矢、Vc:宮坂拡志、Cb:稲川永示)
 
モーツァルト:アイネクライネナハトムジーク (N響)

ジョルダーニ:カーロ・ミオ・ペン 
(秋川)

スカルラッティ:陽は既にガンジス川から 
(秋川)

ヘンデル:私を泣かせてください 
(鈴木)

成田為三:浜辺の歌 
(鈴木)

ガスタルドン:禁じられた音楽 
(秋川)

(休憩15分)

クライスラー:美しきロスマリン、愛の悲しみ、愛の喜び 
(N響)

ヴィヴァルディ:「四季」より 春 
(N響)

デンツァ:フニクリフニクラ 
(秋川)

米山正夫:津軽のふるさと 
(秋川)

新井 満:千の風になって 
(秋川、鈴木、夕日コーラスキッズ)

(アンコール)
ヴェルディ:乾杯の歌 
(秋川、鈴木)
村井邦彦:翼をください 
(秋川)

 特に秋川さんのファンというわけではなく、鈴木さんが目的でチケットを買ってしまいました。私はもともと鈴木さんのファンなのですが、8月1日の真夏のコンサートでの素晴らしい歌声に魅了され、このコンサートにも行かずにいられなくなりました。

 シルバーウィークも終盤。今日は何の日か混乱しそうですが、国民の休日だそうで、休みを有効に使わせていただきたいと思います。今日は天候に恵まれ、気持ち良い休日となりました。1年中こんな陽気だと良いですね。

 過ぎ去った夏を惜しむべく、上古町の楼蘭で冷やし中華を食べ、ホールに向かいました。1時半開場のはずでしたが、1時20分に到着したときには既に開場は始まっており、ホール内は7割方埋まっていました。1階、2階正面には空きはなく、2階Dブロックに席を取りました。最終的には、発売 された席は、ほぼ満席といっても良い大盛況となりました。大方は秋川さんファンのようであり、ちょっとアウェイ感を感じてしまいました。

 このコンサートは「ゴールド・リボン 小児がんチャリティー」ということで、主催者の挨拶があった後に開演となりました。

 N響アシスタントコンサートマスターの大宮さんを中心とする5人が登場。左からヴァイオリン1、2、コントラバス、チェロ、ヴィオラという並びです。
 最初はこの5人による弦楽五重奏でアイネクライネナハトムジークです。さすがにN響メンバーだけあって、演奏は手馴れたもので、音色は美しく、アンサンブルもお見事です。残響豊かなコンサートホールに美しいハーモニーが響き渡っていました。第1楽章だけで終わってしまったのは残念でした。

 続いてヴィオラの御法川さんの紹介で秋川さんが登場。カーロ・ミオ・ペンで観客を魅了しました。秋川さんといいますと、個人的には「千の風・・」のイメージしかないのですが、本職はクラシックのテノール歌手ということを再認識しました。
 以後秋川さんの軽妙なトークを交えながら演奏が進められました。なかなか多弁で、お話し上手であり、これまでのイメージが一新されました。
 秋川さんがもう1曲歌って、いよいよお目当ての鈴木さんの登場です。白地に赤のお姫様ドレスで、いつもながら華があり、美しいですね。
 初めは、いつもより硬さを感じましたが、次第に輝きを見せ、ホールいっぱいに透明感溢れる澄んだ歌声が満ちました。定番の「私を・・・」のほか、「浜辺の歌」の2曲で終わりというのは何とも残念でした。そして、再び秋川さんが1曲歌って前半が終了しました。

 後半はN響メンバーによる演奏で始まりました。ヴィオラの御法川さんの軽妙なMCで演奏が進められました。クラスラーのヴァイオリンソロは、1曲目と3曲目が大宮さん、2曲目は本人の希望ということで、猶井さんでした。二人の音色の違いが面白かったです。
 弦楽五重奏での「春」も良かったです。最小の編成でしょうが、実力者揃いということもあって、十分に聴き応えある演奏でした。さすがN響と唸りました。

 続いては秋川さんが登場して、お馴染みのカンツォーネの定番と、美空ひばりの名曲を歌い、レパートリーの広さを見せ付けてくれました。

 そして最後は、当然「千の風になって」です。スペシャルバージョンということで、秋川さんのほか、鈴木さん、そして日本海夕日コンサートの夕日コーラスキッズの子供たちも加わって、感動のステージを作ってくれました。
 申し訳ないですが、鈴木さんがいるといないでは大違いです。オブリガートをつけて、単調になりがちな歌に色をつけてくれました。小学生の子供たちの純真な歌声も感動を誘いました。

 大きな拍手に応えて、アンコール1曲目は乾杯の歌。鈴木さんの良さが存分に出ていました。完全に秋川さんを凌駕し、ステージを華やかに盛り上げてくれました。最後は秋川さんによる「翼をください」で、感動のステージはスタンディングオベーションの中に終演となりました。
 
 全体の公演時間としては十分でしたが、歌としては少なく、もう少し聴きたかったというのが正直な感想です。トークが長く、その内容は楽しめましたが、その時間を歌にまわしてくれたら、もっとたくさんの曲を聴けたのになあ、などと思いました。

 秋川さんはちょっと声量に乏しく、鈴木さんに負けていたように思います。でも、軽妙なトークぶりは最高であり、これまでの秋川さんに対するイメージが大きく変わりました。
 また、N響メンバーの演奏の良さも際立っていました。大きなホールいっぱいに響く弦楽アンサンブルの音色は美しく、音量も十分。幸せなひとときを過ごすことができて良かったです。
    


(客席:2階D3-24、全席自由:\4000)