真夏のコンサート 2015
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2015年8月1日(土) 14:00  新発田市民文化会館 大ホール
 
 
T.ピアノ独奏 淺香みのり
    ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」

U.テノール独唱 長川 慶  ピアノ:本間 優
    トスティ:漁夫あ歌う
    ドナウディ:私の愛の日々
    プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ
    ブロドスキー:Be my love

V.ピアノ独奏 高橋沙紀子
    リスト:ファウストワルツ

(休憩5分)

W.バリトン独唱 鈴木至門  ピアノ:金子陽子
    ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より 私は町のなんでも屋
    久石 譲:海のおかあさん

X.ピアノ独奏 小黒亜紀
    ショパン:バラード第1番

W.サクソホーン独奏 仁平工司  ピアノ:星野晴子
    ビゼー:メドレー THE カルメン

(休憩10分)

Z.2台ピアノによるピアノ二重奏 本間 優、高橋沙紀子
    デュカス:魔法使いの弟子

[.特別出演
   ソプラノ独奏 鈴木愛美  ピアノ:金子陽子
    山田耕筰:からたちの花
    グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」より 私は夢に生きたい
    ヴェルディ:歌劇「リゴレット」より 慕わしき人の名は

  (アンコール)プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より 私のお父さん
 
 
 

 新発田市民文化会館開館35周年を記念して、真夏の音楽祭2015と題するイベントが、7月30日から8月2日まで開催されています。今日は、その一環として、新潟の音楽家による真夏のコンサート2015です。

 今日は様々な催しがあり、どこに行くべきか悩ましかったですが、実力者揃いの、この魅力的な顔ぶれを見て、こちらを選択しました。
 某所に寄り、早めに会場入りし、良い席を確保しました。このホールに来るのは久しぶりになります。この春に館内は改修され、椅子もリニューアルされたそうですが、見た感じは以前と同様に感じられました。
 円形劇場風の館内は扇型に椅子が配置され、ユニークなデザインです。椅子は跳ね上げ式でなく、長岡リリックホールのように座面が固定されています。椅子はがっしりとしており、幅が広くてゆったり感がありますが、背もたれが低く、座り心地が良いわけでもありません。客の入りは、ほどほどというところでしょうか。

 ブザーの音とともに開演。最初は淺香みのりさんです。赤いドレスで登場。淺香さんの演奏は何度か聴かせていただいていますが、昨年5月の新潟室内合奏団との共演は大きな感動を呼び、記憶に新しいところです。
 今日は「熱情」を演奏しましたが、強弱のメリハリをつけてダイナミックな第一楽章、ゆったりと歌うような第二楽章、そして、猛スピードで突進した第三楽章。息遣いが客席まで伝わる気迫に溢れた演奏でした。期待通りの演奏を聴くことができて大満足でした。

 次は長川さんの独唱。ピアノは黒いドレスの本間さんです。長川さんは、どっしりとした体格と裏腹に繊細な面もあり、うっとりと聴かせていただきました。

 ピアノを右側に1mほど移動して、続いては高橋さんのピアノ独奏です。赤ピンクのドレスが美しく、相変わらずの美貌です。力強い演奏でガツンと迫ってきましたが、短い曲で、すぐに終わってしまったのが残念でした。ソナタを1曲聴いてみたかったです。

 短い休憩の間にピアノを元の位置に戻して、鈴木さんの独唱です。ピアノは薄紫のドレスの金子さんです。鈴木さんは初めてですが、国立音大を卒業後オペラで活躍し、今は長岡で農業をしながら音楽活動をしているという異色の歌手です。アフロ調のヘアスタイルは声楽家らしくなく、個性溢れる歌い手さんです。
 サイケ調のシャツで登場し、シャツを脱いで理髪師をコミカルに演じたりと、歌に演技に大活躍で、エンターテイナー振りに、客席は大盛り上がりでした。声量も豊かで、まさにオペラ向きの歌手と思いました。

 ピアノを再び右へ移動し、続いてはおなじみの小黒さんのピアノ独奏です。小黒さんについては何度も聴かせていただいており、毎回大きな感動をいただいています。今日は薄オレンジのドレスで登場。いつもお美しく、ビジュアル面でも観客を魅了します。
 今日はショパンのバラードを演奏しましたが、最初の一音を聴いて、違うなあと実感しました。輝きのある音。流麗に音楽が流れ、強奏部でも音が濁ることがなく、あくまでもクリアです。1曲だけというのは残念でしたが、さすがというべき演奏でした。

 ピアノを元に戻して、今度は仁平さんのサクソホーン演奏です。ピアノは星野さん。ピアニストらしからぬカラフルなスカートと赤い髪飾りで、一瞬違和感を感じましたが、曲目がカルメンということで難得しました。
 仁平さんは陸上自衛隊東部方面音楽隊を定年退職された後、新発田の地で指導者として活躍されています。さすがに、年輪を感じさせる落ち着いた演奏でした。終演後に小さなお子さんがステージに上がって花束を渡していたのがほほえましかったです。

 ここで2度目の休憩となりましたが、ドレス姿のままの淺香さんが、客席であいさつ回りをされていました。さすがに地元ということなのですね。

 次は本間さんと高橋さんの2台ピアノによる演奏です。左が黒いドレスの本間さん。右が赤いドレスの高橋さんです。高橋さんだけ譜めくりが付きました。
 演奏は息もぴったりの演奏で、快演というべきでしょう。繊細さとダイナミックさ。無音の静寂と強烈なフォルテシモ。ピアノ演奏の醍醐味を味あわせていただきました。こんな演奏はめったに聴けるものではありません。ため息が出るほどの感動をいただきました。

 ピアノが1台に戻され、最後は特別出演の鈴木愛美さんのステージです。薄ピンクのドレスの鈴木さんが登場し、ステージが華やぎました。ピアノは薄紫のドレスの金子さんです。
 「からたちの花」をしっとりと歌い、早くも歌声にうっとりと酔いしれました。その後鈴木さんの挨拶と曲目紹介の後、オペラのアリアが歌われました。
 これはもうお見事と言うしかありません。見事なコロラトゥーラ・ソプラノ。リリカルな歌声がホールいっぱいに響き、魅了されました。
 鈴木さんはこれまで何度も聴かせていただいていますが、今日の歌声は特別に良かったように思います。歌手としての円熟味が増しているようです。容姿に華があり、声量も技巧も十分。新潟にこのような歌手がいるというのは誇るべきことと思います。今後もコンサート出演の予定があるようですが、ご活躍を応援したいと思います。

 以上のように、内容豊富なコンサートで、満足度の高いものでした。新潟の音楽家の実力を知らしめた良い企画だったと思います。

 帰り際、出口では出演者の皆さんがドレス姿で見送ってくれました。皆さん演奏も良かったですが、ビジュアル的にも良いですね。素晴らしい演奏をありがとうと声をかけたいところでしたが、美女たちに目がくらんでしまい、見とれているうちに声をかけるタイミングを失ってしまいました。反省です。

 明日は山形交響楽団の特別演奏会が開催されます。このときピアノ協奏曲が演奏されますが、その独奏者はオーディションで選ばれました。オーディションに合格したものの、ソリストとして選ばれなかったピアニスト5人の演奏が17時30分より第2部として開催されるのですが、夜は所用がありましたので、心残りではありましたが、第1部だけで帰らせていただきました。聴けなくて残念でした。

 

(客席:B-13-27、 ¥1000)