東響ロビーコンサート  チェロ・アンサンブル
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2015年6月7日(日) 13:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール ホワイエ
 
東響2cellos:西谷牧人、謝名元民
エレキベース::吉田典正
ゲスト・ルーキー:大宮理人
 

チェロ・バッテリー<音のキャッチボール>

ボッケリーニ:2つのチェロのためのソナタ ハ長調 より 第1楽章

バルトーク:2つのチェロのためのニ重奏曲より
       
からかい〜蚊〜クッション・ダンス〜遊び〜ウェディング・ソング〜チェコの民謡

ガーシュイン:サマータイム

ピアソラ:リベルタンゴ

西谷牧人:優駿

(アンコール)枯葉
 
 
 東響新潟定期の日に恒例のロビーコンサートです。音の響きが美しいホワイエで、東響が誇るトップ奏者の演奏を無料で聴けるというお勧めのコンサートです。

 今回は、主席チェロ奏者の西谷さんとフォアシュピーラーの謝名元さんによる東響2cellosとエレキベースの吉田さんの演奏です。
 西谷さんはコミックバンドと表現されていましたが、演奏もパフォーマンスも素晴らしく、さすがにプロだなあと感心しました。

 ホワイエに行進曲が流れ、野球のユニフォーム姿の西谷さんと謝名元さんが、「東響2cellos」というプラカードを持った女子高生(?)に先導され、ホワイエの奥から入場しました。
 「音のキャッチボール」という副題がありましたが、チェロ奏者はお互いにキャッチボールをするような感じで日々演奏しているので、このコンサートも高校野球をイメージした演出にしたそうです。ちなみにユニフォームは東響野球部の本物だそうです。

 粋なパフォーマンスの後、二人の軽妙なトークの掛け合いに乗せて演奏が進められました。最初のボッケリーニで、美しいチェロの調べに酔わされました。柔らかな濁りのない、つややかな音色は、さすがにプロの音です。
 主席の西谷さんは言うまでもありませんが、謝名元さんも素晴らしいですね。実は謝名元さんは昔からのファンなのです。2007年10月に開催された「中越沖地震復興支援チャリティーコンサート」に出演されたときに名前を知り、以後ステージで音楽を楽しむようにニコニコと体を揺らしながら弾く謝名元さんを陰ながら応援していたのです。西谷さんに引けをとらない素晴らしいチェリストです。

 短い曲が6曲からなるバルトークは、もともとはヴァイオリンの曲だそうですが、ユーモアを交えながら楽しく演奏しました。

 続いて、エレキベースの吉田さんが登場して、ガーシュウィンとピアソラが演奏されました。2本のチェロとエレキベースの曲など存在しませんので、編曲が大変だったようです。ちなみに、吉田さんはプロのベーシストでありながら、東響の事務職員でもあるそうです。
 チェロをギターのように抱えながらピチカートで演奏し、ジャジーな演奏とパフォーマンスに度肝を抜きました。演奏の質の高さと、客を喜ばせるサービス精神。プロのなせる業です。ピアソラも素晴らしい編曲で、酔わせていただきました。

 盛り上がったところで終わりかと思わせ、ここで「ちょっと待った」の声とともに、チェロの新人・大宮さんが登場しました。新人といってもすでに何年目かになり、ロビコンの出演歴もありますが、平成生まれで、東響全体でも最年少だそうです。
 「東響2cellos」のプラカードを「東響3cellos」に張り替えて、チェロ3本とエレキベースで演奏されたのは、西谷さん作曲による優駿です。西谷さんが弾くチェロの定番・バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードをイントロにして、控えめなベースに乗せて美しいメロディが奏でられました。最後に再びバッハのプレリュードに戻るという演出。演奏も曲も良くて、チェロの魅力を存分に堪能させていただきました。

 アンコールの枯葉も絶品でした。大きな拍手の中、再び女子高生(?)に先導されてホワイエ奥へと退場し、ロビコンは終演となりました。

 単独の公演としても十分なクオリティを持つ内容だったと思います。これをただで聴けるなんて、幸せなことだと思います。今日の客の入りは、西谷さんも驚くほどに良かったですが、これからも多くの人に聴いてもらいたいと思います。

 次回のロビコンは、8月23日13時開演で、木管四重奏です。フルート:甲藤さち、オーボエ:池田肇、クラリネット:エマニュエル・ヌブー、ファゴット:福井巌という強力メンバーで、ボザの「夜の音楽のための3つの小品」ほかが演奏されます。是非聴きに行きましょう。
 
   
(無料)