中越沖地震復興支援チャリティーコンサート
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2007年10月2日(火) 19:00 新潟市音楽文化会館
 

東京交響楽団弦楽アンサンブル
    コンサートマスター:田尻 順
    1st Vn:藤原 真、堀内幸子、木村正貴
    2nd Vn:清水泰明、坂井みどり、宮原祐子
    Va:西村眞紀、小西応興、大野順二
    Vc:謝名元民、大塚正昭
    Cb:北村一平

ヴァイオリン:枝並千花  チェンバロ:師岡雪子  クラリネット:十亀正司
 

 

 
(追悼演奏)J.S.バッハ:G線上のアリア

モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
ヴィヴァルディ:四季 より 春  (ヴァイオリン独奏:枝並千花)

(休憩15分)

エルガー:愛の挨拶    (ヴァイオリン独奏:枝並千花)
クライスラー:愛の悲しみ  (ヴァイオリン独奏:枝並千花)
クライスラー:愛の喜び   (ヴァイオリン独奏:枝並千花)
チャイコフスキー:弦楽のためのセレナーデ より 第4楽章

(アンコール)
クライスラー:美しきロスマリン  
       (ヴァイオリン独奏:枝並千花、クラリネット:十亀正司)
J.シュトラウス:ピチカート・ポルカ
モンティ:チャールダッシュ  (ヴァイオリン独奏:枝並千花)
新井 満(大塚正昭・編):千の風になって  (出演者全員)

 
 

 7月の東響新潟定期の翌日に新潟県中越沖地震が発生しました。これを知った東響団員はヴィオラの大野順二さんを中心にチャリティコンサートを開催することを発案しました。そして各方面からの支援を受けて、新潟市出身の東響団員・枝並千花さんをソロに立てての演奏会が実現しました。チャリティということもあり、柏崎に縁の深い音楽好きとしましては行かないわけにはいきません。万難を排して駆けつけた次第です。こんな話題のコンサートですから、会場は満員で、開場時間を過ぎてから行ったらいい場所は埋まっていました。私は中ほどの比較的いい場所がぽつんとひとつ空いていたのを確保できましたが、空席を捜すのに苦労していた人も多かったようです。

 まず最初に、BSNの高坂アナが登場して、コンサートの趣旨を説明し、静寂の中、楽員が登場してG線上のアリアが追悼演奏されました。こういう場面で聴くこの曲は心に染みます。
 一旦退場し、今度は拍手の中に再登場して、アイネ・クライネ・ナハトムジークが演奏されました。さすがに東響の皆さんの演奏はいいですね。
 演奏後、大野さんにより出演者がひとりひとり紹介されました。なじみ深い東響ですが、お顔は知っていても名前までは知らない人がほとんどですので、この紹介はたいへん良かったです。ますます東響に親しみを感じることができました。
 次いでいよいよ我らが枝並さんの登場です。ファッションモデル張りの容姿、薄い紫のドレス姿はひときわステージ映えします。ちょっと線の細い音色で、若干音量の不足を感じましたが、堂々とソロをこなしました。協奏曲として考えたときに、悪く言えば伴奏に埋もれてしまったとも言えますが、いたずらにソロが目立つのではなく、ソロと伴奏とが調和した絶妙のアンサンブルとも言えましょう。

 休憩後は枝並さんの独奏により、おなじみの小品が3曲、トークを交えて演奏されました。緊張が取れたのか、のびのびとした演奏で、大いに楽しませてくれました。東響の皆さんのサポートもすばらしかったです。
 枝並さんが退場して最後は弦楽セレナーデ。これが東響の実力を見せつける渾身の演奏でした。さすがです。

 アンコールに再び枝並さんが登場。おまけにクラリネットの十亀さんまで登場してくれました。十亀さんは次のピチカート・ポルカでも鉄琴を演奏して会場を沸かせてくれました。
 アンコール3曲目、田尻さんが立ち上がってチャールダッシュを演奏。このまま田尻さんのソロで演奏するのかと思ったら、枝並さんがヴァイオリンを弾きながら登場しました。田尻さんに比べるとやっぱり線が細いですが、すばらしい演奏技術を披露してくれました。
 そしてアンコールの最後は、チェロの大塚さんが編曲した「千の風になって」で締めました。各パートの見せ場が作ってあり、味わい深い仕上がりでした。

 新潟市出身の枝並さんをソロに立ててくれて、東響の皆さんが盛り上げてくれました。東響と新潟との深い関係も10年になります。しかし、個々のメンバーについてはなかなか知る機会はありませんでした。今日のコンサートでひとりひとりの団員が身近に感じられ、よりいっそう親しみを感じることができました。アットホームな和やかな雰囲気の演奏もすばらしかったです。特にチェロの謝名元さんがにこやかに楽しそうに弾いているのが印象に残りました。さすがにコンマスの田尻さんの演奏は音量・音色ともすばらしく、枝並さんとの格の違いを感じさせました。しかし、枝並さんの演奏も華のある輝くような演奏であり、感銘深いものでした。同郷の者としては誇らしく感じます。国際コンクールでの優勝歴もある枝並さんですが、東響では第1ヴァイオリンの末席です。東響の力量がうかがえます。

 新潟市の小学5年生向けの「わくわくキッズコンサート」と「特割コンサート」で2日間で6公演をするという過密スケジュールの中のコンサートです。お疲れの中、こんなに楽しい演奏を披露してくれた東響の皆さんに感謝です。8日にも新潟定期が控えており、東響と新潟の関係もすごいですね。
 
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(客席:12-9、自由席:2500円)