東京交響楽団に始まり、新潟交響楽団、NHK交響楽団と続き、4週連続のオーケストラ三昧のトリは山形交響楽団です。今年度から“東響定期+α「日本のオーケストラ・シリーズ」”が始まり、その第一弾です。東響定期会員はいつもの席で聴くことができます。
新潟ではお馴染みの飯森さんが音楽監督に就任してから目覚ましい活躍をしている山形交響楽団の様子は最近出版された「マエストロ、それはムリですよ・・・」という本に詳しいです。その中にも出てくるブルックナーの第4番がメインであり、山形交響楽団と飯森さんの関係を語る上で重要な曲のひとつです。小編成のオケがどのようなサウンドを聴かせてくれるのかが大変楽しみであり、東響定期以上の期待が高まります。
実は前半のモーツァルトの交響曲ヘ長調K.76 も聴いたことがなかったので気になり、最近買ったモーツァルト全集(CD170組)「MOZART
COPLETE WORKS」で調べようと思ったのですが収録されていませんでした。偽作と考えられているので削除されたようです。記念すべき新潟公演で、数あるモーツァルトの交響曲の中で、飯森さんはどうしてこの曲を選んだのでしょうね。
東響定期は17時開演ですが、今日は16時なので帰りが楽です。東響定期もこの時間だと良いですね。飯森さんは山形でも客の帰りの便も考えて16時にしているそうであり、さすがと思います。早めに出かけて、県民会館の情報コーナーで音楽雑誌を読み、開場時間ちょうどにりゅーとぴあに向かいました。
15時半からロビーコンサートがあり、バルコニーで聴きましたが、柔らかな金管の音色と豊かな響きに感心しました。山響の管の実力が伺えるような演奏に、これからの名演の期待が高まりました。
その後はホールで飯森さんのプレ・トークがありました。モーツァルトの演奏で使用される古いタイプの楽器の紹介があり、管楽器奏者が登場して、実際に音を出しで解説してくれました。倍音がきれいに出るとのことで、同じフレーズを楽器を替えて演奏してくれましたが、耳の悪い私には大きな違いが分かりません。むしろ古楽器は演奏技術を要して、デメリットもありそうにも感じました。
拍手の中楽員が登場。山形でのモーツァルト定期では、宮廷での演奏会をイメージして、女性にはカクテルドレスを着ていただいているそうですが、今日も色とりどりのドレス姿で、ステージが華やいでいました。オケの配置は、飯森さんお得意のドイツ式の対向配置で、左から第一ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリンと並び、中央に管楽器、中央最後部にコントラバスが並んでいます。コンマスは高木さんではなくて、犬伏さんです。
最初は、「魔笛」序曲です。管楽器はモーツァルト時代の古楽器を用いての演奏です。対向配置が演奏効果を生んで、すばらしいアンサンブルを聴かせてくれました。山響の実力を示した良い演奏だったと思います。
ステージの配置換えをする間、飯森さんのトークが入り、次は交響曲ハ長調です。この曲はモーツァルトの作とするならば、11歳の時の作品ですが、偽作という意見が主流であり、曲としても魅力的とも思えません。古楽器を用いたピリオド奏法でしたが、古楽器の演奏の難しさが表に出てしまい、演奏の質も問題があったように感じました。ちょっと退屈したというのが偽わざる感想です。でも、どうしてこの曲を選んだのでしょうねえ。
休憩後はメインの「ロマンティック」です。少しだけ編成が大きくなり、いわゆる10型となって、第一ヴァイオリン:10人、第二ヴァイオリン:8人、ヴィオラ:6人、チェロ:6人、コントラバス:4人、管楽器:20人、打楽器:1人で、総勢55人です。ブルックナーを演奏するには小編成ですが、初演当初はこれくらいの編成だったそうです。前半同様に対向配置です。特記したいのは女性が多いこと。特に第一ヴァイオリンは全員女性であり、弦楽器34人中女性が20人で、全体では女性が24人でした。
さて、演奏は素晴らしく、小編成であることが信じられないくらいに良く鳴っていました。前日から新潟入りしてリハーサルを積んでいたとのことであり、ホールの響きを存分に生かして、迫力ある演奏を披露してくれました。編成が小さい分、透明感もあり、各楽器の音が澄んで聴こえたように思います。ホルンのソロもお見事。ロビーコンサートでも見事なアンサンブルを聴かせた金管が素晴らしかったです。
ブラボーの声が掛かって盛大な拍手が湧きました。文句のない名演だったと思います。拍手に応えて飯森さんの挨拶があって終演となりました。
ロビーコンサート、飯森さんのトークと、サービス満点のコンサートであり、飯森さんとの関係が素晴らしいことが分かります。こんなオケを持つ山形の人たちが羨ましく思えます。今度は山形テルサでの演奏会にも行ってみたいと思いました。
(客席:2階C5-**、S席:定期会員) |