N響トップメンバーによる弦楽五重奏
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2012年10月8日(月) 14:00  新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
 
ヴァイオリン:堀正文、松田拓之
ヴィオラ:佐々木亮
チェロ:藤森亮一
コントラバス:吉田秀
 


モーツァルト:セレナード第13番 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 op.96「アメリカ」

(休憩15分)

ロッシーニ:チェロとコントラバスのための二重奏曲

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調 op.11より「アンダンテ・カンタービレ」

ボッケリーニ:弦楽五重奏曲ホ長調 G275より第3楽章

クライスラー:美しきロスマリン、愛の悲しみ、愛の喜び

(アンコール)
 J.S.バッハ:G線上のアリア
 岩室甚句〜佐渡おけさ
 
 

 新潟市江南区に新しい文化会館がオープンしました。この開館記念イベントとしてこのコンサートが開催されました。西区在住の私ですが、江南区(亀田)は私の故郷です。お祝いに駆けつけなければなりません。
 今日はネーベル室内合奏協会の定期演奏会と重なってしまいましたが、涙をのんでこちらを選択しました。日時がずれてくれたら良かったのにと残念に思いました。

 N響と言えば、先日柏崎での演奏会を聴いたばかりですが、コンサートの標題のように、N響のトップメンバーによる演奏会です。柏崎でもコンマスを務めたソロコンサートマスターの堀さんを始め、各セクションの首席奏者を揃え、まさにトップメンバーです。

 西区某所で「ラーチャン」を食べ、ホールに向かいました。先週は11時15分にしてsold out でしたので、今日は11時に行って食することができました。やはり美味しいですね。
 さて、江南区文化会館は国道49号線亀田バイパスに隣接しており、交通の便は良いです。アスパークという大きなスポーツ施設の隣で、広大な駐車場があり、車で行くには大変便利です。逆に言えば、車でないと不便かもしれません。
 早めに着いたので、館内を見て回りました。館内はコンパクトですが、郷土資料館や図書館もあり、時間をつぶすには便利です。喫茶店も営業していました。

 自由席でしたので、早めに開場の列に並び、正面前方に席を取りました。開館したてで、職員も慣れていないようで、なんとチケットの半券を切るのに鋏を使っていたのには驚きでした。
 ホール内のデザインは個性的であり、クリーム色の壁に縦に何本もアーチ型のラインが入り、天の川のようにライトが散りばめられています。側壁から音響反射板へとシームレスにつながり、川が流れるようなラインがきれいです。
 椅子はゆったりして、シートは田園をイメージしてか緑色で、背もたれが交互に斜めになっていて、波型になっているのは珍しいです。客席は左右のみ2層構造になっています。左右に比して前後が短く、客席最後方でもステージが近くに感じられます。ステージの天井は高く、客席数に比して容積は多いように思われます。床は木製で、重厚感があります。
 開演のチャイムは洒落た鐘の音。新しいホールでも、柏崎ではブザーでダサかったですから、鐘の音の選択はグッド・ジョブです。チケット完売とのことで、客席は、おらが町のホールを見ようという老若男女でいっぱいです。

 5人が登場して「アイネク」で開演です。名曲コンサートには欠かせない聴き飽きた感のある曲ではありますが、さすがにN響のトップ奏者ですから、しっかりとした演奏で楽しませてくれました。ホールの響きは柔らかく、室内楽の演奏にはぴったりに思われました。

 コントラバスの吉田さんのトークがあって、続いて「アメリカ」が演奏されました。これも4人の息が合った緊張感ある演奏で、弦楽四重奏の楽しみを伝えてくれました。第2楽章の藤森さんのチェロの音は心に染みました。第4楽の疾走するような盛り上がりも良かったです。

 休憩時間にホワイエに出ましたら、友人にばったり。このような開館記念公演に来る物好きは私くらいかと思っていましたが、同じ仲間がいて、うれしかったです。そういえば、北区文化会館の開館記念式典でも彼に会いましたなあ・・。

 後半最初は、チェロとコントラバスの二重奏。この曲だけは初めて聴きましたが、珍しい組み合わせで楽しめました。吉田さんのトークで語られましたが、藤森さんと吉田さんは高校の同級生だそうで、当時からこの曲を合奏していたそうです。

 その後、「アンダンテカンタービレ」がしっとりと演奏され、おなじみの「ボッケリーニのメユエット」で楽しませてくれました。
 そして、トークを挟んで、堀さんのソロでクライスラーの3曲が演奏されました。他の4人をバックに、堀さんは立っての演奏。さすがに存在感がありますね。軽い曲ではありますが、風格ある演奏でじっくりと聴かせてくれました。

 アンコールはG線上のアリアをしっとりと演奏した後、岩室甚句〜佐渡おけさを演奏して終演となりました。夕べ楽譜をもらったばかりとのことでしたが、編曲も素晴らしく、今回のアンコールピースだけで終わらせるにはもったいなく思われました。

 終演は3時50分頃と早く、量的には少なく思われましたが、質的には十分だったと思います。クラシックを聴く機会が少ない人が大半と思われ、楽章間には盛大な拍手が贈られていました。
 出演者への花束贈呈も、地元のオバサマ方らしき人が全くの普段着のまま登場し、あっけに取られましたが、この垢抜けなさは、さすがに我が故郷・亀田と感じ入りました。

 399席という小規模ホールですが、中に入ると十分な空間であり、500席以上の音楽文化会館よりずっと広く感じます。音響も良く、素晴らしいホールに仕上がったと思います。ホワイエが狭すぎなのが難点といえば難点ですが。

 ハード面はともかく、チケットのもぎりを始めとして、ソフト面は今後改善されていくことでしょう。いまだ独自のホームページがないのが気になりますが。
 このような上等なホールができて、亀田人としましてはうれしい限りです。宝の持ち腐れとならないよう、せっかくのホールを十二分に活用してもらいたいものです。

 さて、このホールにはスタインウェイD274が備えられましたが、その選定をしたのが宮谷理香さんだそうです。その宮谷さんのリサイタルが12月16日(日)に開催されます。ピアノ開きとでも言うべきこのコンサートは是非聴きたいところですが、同日同時刻に、りゅーとぴあでは仲道郁代さんのリサイタルがあります。北区フィルのコンサートも同時刻の開催。いろいろあるのはありがたいことですが、困ってしまいます。
 

(客席:5−24、全席自由:3000円)