藝大定期第351回 第46回藝大学生オーケストラ
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2012年5月24日(木) 19:00  東京藝術大学奏楽堂
 
指揮:尾高忠明
トランペット:栃本浩規
管弦楽:東京藝大シンフォニーオーケストラ
 




モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318

ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.VIIe-1

(休憩20分)

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47

 
 

 東京出張の夜、せっかくなので音楽を聴こうと、このコンサートに行きました。藝大オケに魅力があるのはもちろんですが、会場の奏楽堂に行ったことがなかったので、どんなホールか興味がありました。

 藝大のオケを聴くのは、1998年11月以来3回目ですので、実に13年半ぶりとなります。当時はまだ新しい奏楽堂ができていなかったためか、東京文化会館が会場でした。

 上野駅公園口から公園をブラブラ歩き、旧奏楽堂の前を通り、数分で奏楽堂に到着しました。藝大の門を入った突き当たりに奏楽堂があります。自由席ということもあり、開場待ちの行列ができていて、私も並びました。

 ホールはシューボックス型で、木質感のある館内は華美な装飾は全くありませんが、落ち着きを感じさせます。正面には巨大なパイプオルガンが鎮座。
 客席は1フロアで、サイドバルコニー付き。全1102席です。椅子がちょっと変わっていて、背もたれのクッションが腰の部分しかなく、座り心地はいまいちでした。
 ホールのほぼ中心付近に席を取りました。学生オケということで、若者が多いのですが、年配の方々も多く、常連さんが多いようでした。

 拍手の中に団員が入場してチューニング。尾高さんが登場して、最初はモーツァルトの32番です。全3楽章が切れ目なく演奏される短い曲なので、あっという間に終わりましたが、オケの演奏のすばらしさは言うまでもなく、ホールの響きの美しさに感動しました。非常に澄んだ、クリアな響きです。ボワーっとしたお風呂場サウンドとは異なり、透明感あり、各楽器の音が解像度良く、客席に届きます。

 2曲目は藝大准教授の栃本さんの独奏によるトランペット協奏曲です。オケも独奏もお見事でした。こういう小編成の静かな曲を聴くには適したホールであり、柔らかな音に包み込まれて心地良かったです。

 休憩後は、メインのタコ5です。前半よりオケの編成は大きくなりました。演奏は申し分なく、満足できるものでしたが、響きは前半と違って、問題を感じました。
 高音域の響きは良いのですが、低音が響きません。クリアな響きで、解像度は良く、濁りのないきれいなサウンドなのですが、この曲の演奏効果を考える上で重要な、ティンパニや大太鼓が響いてこないのです。高音域ばかり響いて、キンキン鳴るばかりで、低音に支えられたピラミッドサウンドになりません。
 この点だけが気になりましたが、演奏そのものはお見事というしかありません。各楽器の独奏は見事に決まり、目をつぶって聴けば、在京のプロオケと紹介されても信じてしまいます。学生オケといっても、さすがに藝大。プロ予備軍の俊英たちの集団です。十二分に楽しませていただきました。

 うきうき気分で上野公園を歩き、遅めの夕食を食べて、今宵の宿へと向かいました。
 

(17−14、全席自由:1500円)