サイトウ・キネン・オーケストラ 新潟スクリーンコンサート
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2011年8月26日(金) 17:30  新潟市民芸術文化会館 劇場
 
指揮:沼尻竜典、ディエゴ・マテウス
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
ピアノ:ピーター・ゼルキン
バレエ:Niosm1,Noism2
 


バルトーク:バレエ「中国の不思議な役人」 (収録:8月23日)

   指揮:沼尻竜典
   演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
   演出・振付:金森 穣
   出演:Noism1、Noism2

(休憩15分)

サイトウ・キネン・フスティバルの歩み
バルトーク:オペラ「青ひげ公の城」ダイジェスト版 (収録)

(松本文化会館からの生中継)

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」

バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 ホ長調 Sz.119

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36

   指揮:ディエゴ・マテウス
   演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
   ピアノ:ピーター・ゼルキン

 
 

 松本は近いようで遠く、サイトウ・キネン・フェスティバル(SKF)も長らく行く機会がなく、私は一昨年に漸くサイトウ・キネン・デビューとなりました。小澤さんが病気休養する前で、フルに出演した最後のSKFに参加できたのは幸運でした。

 今年のSKFには新潟市が誇るNoismが参加し、その恩恵で、新潟でのスクリーンコンサートが実現しました。本当なら松本まで出向きたいところですが、行ける状況でもなく、スクリーンコンサートのチャンスを利用することにしました。無料というのもありがたい話です。
 19時からのオーケストラ・コンサートが全国4か所で生中継されますが、新潟だけ、Noismが出演する「中国の不思議な役人」を全曲観ることができるのが魅力です。

 17:30開演ですから、本来行けるはずもないのですが、今日は午後だけ休暇をいただくことにしました。これが私の夏休みということです。某温泉で当直明けの体を癒し、りゅーとぴあへと向いました。17時の開場前についたのですが、すでに開場待ちの長い列ができていました。音楽ファンだけでなく、Noismファンも集結したものと思います。

 17:30からビデオ収録された「中国の不思議な役人」が上映されました。この曲は聴いたことはありますが、バルトークに疎い私には、どうにも馴染めず、これまで曲の良さを知ることはありませんでした。しかし、沼尻指揮によるSKOの演奏は、Noismの素晴らしい演技を前にして、心に迫るものがありました。

 でも、ここは音楽以上にNoismの素晴らしさをたたえるべきでしょう。金森氏の演出・振付・照明により、新潟の誇る井関佐和子、中川賢をはじめとするNoismの激しい舞踏の見事さに言葉を失うばかりでした。
 鍛え抜かれた体の神々しいまでの美しささ、汗がほとばしる情念あふれる舞踏。Noismの実力を余すことなく発揮できたのではないかと思います。かくいう私は、舞踏に関しては全くの素人で、何も言う資格もないのですが、こんな私にも凄さは伝わってきました。
 題名は知っていても何のことかわからなかった音楽ですが、バレエとして観てみると、良くできた音楽だと思えてしまうのが不思議でした。
 これだけで今日来た甲斐はあったように思えました。実際これだけ見て帰った人もチラホラあったようです。新潟の宝であるNoismは日本の宝であり、世界に誇るべきものということが良くわかりました。

 続いては、生中継前に、これまでのSKFの歩みがビデオ上映されました。細切れの演奏風景ばかりでしたが、東日本大震災の犠牲者を追悼して初日に演奏された「G線上のアリア」は全曲流されました。
 Noismが出演する「青ひげ公の城」のハイライトも上映されるとのことで期待したのですが、ごくわずかでがっかりしました。結局小澤さんは本番では初日は振りましたが、23日、25日と体調不良で降板してしまいましたので、上映されたのは19日のドレスリハーサルのものでした。(27日の公演は指揮されたそうで良かったです)

 そして、19時から生中継となりました。開演が遅れ、その間松本文化会館の様子が長々と映し出されていました。拍手の中、楽員が入場。指揮のマテウスも小澤さんのまねをしてか、楽員と一緒に入場し、その後にチューニングとなりました。ヴァイオリンには新潟が誇る井上静香さんもおられました。
 最初は、「ロメオとジュリエット」。このマテウスはまだ27歳といいますが、堂々とした指揮ぶりです。名手ぞろいのSKOをまとめ上げ、乱れることなく、ダイナミックな音楽を作り上げていました。

 続いてはピーター・ゼルキンを迎えてバルトークの3番のコンチェルトです。透明感ある輝くようなゼルキンのピアノをオケは見事に引き立てていました。バルトーク嫌いな私ですが、ゼルキンの素晴らしいピアノもあって、いい曲だと思えてしまいました。

 そして休憩後はメインのチャイコフスキーの4番です。SKFで以前も取り上げられ、CD化されています。演奏はお見事の一言です。SKOの実力をいかんなく発揮していました。ここはまとめ上げたマテウスの素晴らしさを讃えるべきでしょう。終楽章の怒涛の盛り上がりは大したもの。CDよりずっと良かったです。
 生で聴いたらすごい興奮じゃなかったでしょうか。この曲は、芸術性だの精神性だの訳のわからないことはいわず、にぎやかに盛り上がって終わればそれでいいと私は思っているので、そういう点では良い演奏だったと思います。
 それにしてもベネズエラ・パワーは恐るべしです。ドゥダメルの後にはこういう逸材が控えています。エル・システマの英才教育のすごさを実感します。この若さでアバドやラトルに認められ、大活躍を始めようとしています。これが日本でのデビューとなりました。これからの活躍が楽しみです。

 スクリーンコンサートということで、画質や音質がどうなのかと心配しましたが。十分に鑑賞に堪えました。画面がもうちょっと大きいと良かったのですけれど。音質もほどほどでした。某シネコンでやっているコンサート上映よりは音質も画質も数倍良かったです。もちろん生演奏とは次元が違う話ではありますが・・。

 でも、この劇場のシートは座り心地が良いとはいえないので、長丁場でお尻が痛くて困りました。
 

(客席:8ー24、無料)