ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル
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2010年12月22日(水) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ: ゲルハルト・オピッツ
 



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調「悲愴」作品13

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調「月光」作品27-2

(休憩15分)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調「テンペスト」作品31-2

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調「熱情」作品57

(アンコール)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番第4楽章
 
  
 今日は仕事がなかなか終わらず、6時過ぎに何とか職場を抜け出し、車を飛ばして、ぎりぎり開演に間に合いました。ベートーヴェンの4大ピアノ・ソナタというポピュラーな演目でもあり、きっと混み合っているかと思いましたが、空席がかなりあり、Aブロックなどは誰もいません。そのくせ3階席やPブロックなどは賑わっています。今回の私の席はDブロック。ここはかなりの賑わいです。
 息を切らせて着席すると隣の席に知人がいてびっくりしました。全くの偶然なのですが、むこうもびっくりされていました。

 新潟でオピッツを聴くのは今回が3回目となります。過去2回は、2003年7月2009年11月に、それぞれ東響新潟定期に客演し、スダーンとブラームスの協奏曲の2番と1番を演奏し、感動した記憶があります。今回は単独のリサイタルです。ヴイルヘルム・ケンプに師事し、その音楽的伝統を引き継ぐというオピッツが、得意のベートーヴェンをどのように聴かせてくれるのか楽しみです。

 白髪、白髭のオピッツが登場して最初は「悲愴」です。重厚で力強い音。こういうのをドイツ的というのかなあ、などと素人の私はあれこれ思い巡らしながら聴いていました。まだ50代とはとても思えない巨匠然とした風貌にぴったりな、堂々とした演奏です。ピアノの音も濁りがなく、響きがきれいです。
 続く「月光」では、しっとりとした第1楽章を聴かせた後、だんだんエンジンがかかってきたらしく、急加速で突進。心地よい高揚感をいただきました。

 休憩後は「テンペスト」と「熱情」。これも同じように力強く、どっしりと、重厚・濃厚に突進していました。非常に濃い印象であり、赤ワインをたっぷり入れたビーフシチューという印象です。単に重々しいのでなく、ガンガン迫ってくる演奏は娯楽として気持ち良かったです。「熱情」のラストなどかなり乱れてたようですけれど。

 アンコールも盛り上がった良い演奏で、気分爽やかに終演となりました。終演後にはサイン会があり、CDを買う人、サインの列に並ぶ人でホワイエは賑わっていましたが、私は帰宅を急ぎました。

 アンコールはベートーヴェンのソナタのどれかだったように思いましたが、帰りの時にアンコール曲の掲示がなく、曲名はわかりませんでした。家に帰ってそれらしいCDを聴いて曲名を調べようと思ったのですが、聴いているうちにメロディを忘れてしまい、どの曲かわからなくなってしまいました。コンチェルト2号さんのブログにはピアノソナタ第18番第4楽章と書いてありました。

 何とも抽象的ですが、いかにもドイツというような、肖像画のベートーヴェンのイメージそのままの演奏であり、男の音楽とでも言いましょうか。まあ、そんな印象を持ちました。ベートーヴェンばかりで退屈するかと思いましたが、大変楽しめました。超有名なソナタ4曲をまとめて聴けて良かったです。


(客席:2階D3-27、A席:5000円)