東京交響楽団 第59回新潟定期演奏会
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2010年5月9日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮: 小松長生
フルート: 新村理々愛
和太鼓: 林英哲
コンサートミストレス: 大谷康子
 
 
池辺晋一郎:東京交響楽団のためのファンファーレ

武満徹:弦楽のためのレクイエム

尾高尚忠:フルート協奏曲 作品30b

(アンコール)
モンティ:チャルダッシュ

(休憩20分)

團伊玖麿:管弦楽のための「飛天」

松下功:和太鼓協奏曲「飛天遊」

 
(アンコール)
外山雄三:管弦楽のためのラプソディ
林英哲:宴



 
 
 
 

 今日も朝から上天気。気持ちの良い日曜日です。新緑が美しく、気分も爽やかです。今日は、今年度最初の東響新潟定期です。プログラムは日本人の作曲家ばかり。定期会員にとっては珍しい曲で興味深いかも知れませんが、一般にはなじみのない曲ばかりであり、集客が心配されました。

 今日は時間があったので、1時からのロビーコンサートも聴きました。今回はトロンボーン4人によるアンサンブルで、トークを交えて楽しい演奏でした。響きの良いロビーが演奏を引き立てていました。(→ブログ
 その後「古町どんどん」に行ってYuccaのライブを聴き(→ブログ)、東響定期の日は1割引になるCDショップ「コンチェルト」でCDを買い、さらに県民会館の情報ラウンジで音楽雑誌を読んで時間をつぶして定期に向かいました。

 予想通り、いつもの定期に比して空席が目立つようです。拍手の中楽員が入場。今日のコンマスは大谷さんで、一段と大きな拍手が湧きました。

 1曲目は東京交響楽団のためのファンファーレで、今回はフルオーケストラ版でした。ファンファーレだけにあっという間に終わりましたが、良い音色でした。

 2曲目は弦楽のためのレクイエムです。武満作品の中でも良く演奏される曲かと思いますが、東響弦楽セクションのすばらしさを実感させる演奏で、心癒され、まどろみの世界へ誘われました。

 前半最後は新村さんによるフルート協奏曲です。白いドレスがよく似合っていました。初めて聴く曲ですが、聴きやすい美しい曲であり、フルートの演奏のすばらしさに息を呑みました。まだ高校生なんてとても信じられません。
 アンコールはフルートとピッコロを持ち替えてチャルダッシュ演奏し、大盛り上がりでした。チャルダッシュといえばツィゴイネルワイゼンと並んで大谷さんの十八番ですが、その大谷さんの横での演奏いうのも私としましては面白く感じました。

 後半最初は管弦楽のための「飛天」。これも美しい趣深い曲でした。甲藤さんのフルートソロがすばらしかったです。新村さんのフレッシュさとは違った大人のフルートとでもいいましょうか、感銘深かったです。

 最後は林英哲さんが登場し、和太鼓協奏曲です。これはもう最高のパファーマンスでした。大小様々な和太鼓の音が心にダイレクトに突き刺さります。ホールを揺らすような大太鼓の音。太鼓に負けないフルオーケストラの迫力。すばらしいとしか言いようがありません。カーテンコールでは客席にいた作曲者も登壇しました。

 アンコールは管弦楽のためのラプソディ。盛り上がることが約束されたようなアンコールの定番です。林さんも加わって大迫力の演奏でした。
 これで終わりかと思いましたが、林さんの大太鼓が演奏されました。歌いながらの渾身の演奏に会場は興奮のるつぼ。これほど盛り上がったのは東響新潟定期の中でも屈指じゃないかと思います。

 日本の曲ばかりで心配したプログラムでしたが、大きな勘違いでした。これほどの感動と興奮を味わえるとは予想しませんでした。日本にこんなにもすばらしい曲があるとは知りませんでした。
 前半は新村さんのフルートのすばらしさに感激し、後半は林さんの和太鼓にノックアウト。東響の皆さんの演奏もすばらしく、名演を生み出した小松さんの指揮も賞賛すべきでしょう。
 特に林さんの太鼓はすばらしかったです。2月に聴いた鼓童の感動を思い起こしました。魂を揺さぶる大太鼓のリズム、ホールを振るわせる大音響。理屈抜きに感動してしまいます。

 こういう予期せぬ感激を味わえることが東響定期の楽しみです。知らない曲、日頃演奏されない曲を聴くことができます。今年度の幕開けを飾るにふさわしいすばらしい演奏会に、気分も爽やかに会場を後にしました。

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、5500円)