にいがた ニューイヤー・ガラ・コンサート
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2010年1月11日(月・祝) 17:00  新潟市民芸術文化会館  コンサートホール
 
指揮:秋山和慶
ソプラノ:鈴木愛美(長岡市)、ジン・ザン(中国)、テノール:笛田博昭(湯沢町)、キム・ビュンジン(韓国)
ヴァイオリン:井上静香(新潟市)
オーケストラ:東京交響楽団
司会:平井葉子
 
第1部 :ウィンナ・ガラ

J.シュトラウスU:喜歌劇「こうもり」序曲

J.シュトラウスU:ワルツ「春の声」
J.シュトラウスU:ポルカ「雷鳴と電光」
ヨーゼフ・シュトラウス:かじ屋のポルカ
J.シュトラウスU:ワルツ「美しき青きドナウ」

マスネ:タイスの瞑想曲(井上)
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン(井上)

(休憩20分)

第2部 :オペラ・ガラ

ヴェルディ:歌劇《椿姫》から「彼女から遠く離れて〜燃える心を」(キム)
プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》から「私のお父さん」(鈴木)
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》から「冷たい手よ」(笛田)
                      「私の名はミミ」(ジン)
                      2重唱「愛らしきおとめよ」(ジン/笛田)

ヴェルディ:歌劇《リゴレット》から「あれか、これか」(キム)
オッフェンバック:歌劇《ホフマン物語》から「森の小鳥はあこがれを歌う」(鈴木)
プッチーニ:歌劇《トスカ》から「妙なる調和」(笛田)
ヴェルディ:歌劇《ルイザ・ミラー》から「星の明るい夕べに」(キム)
プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》から「ある晴れた日に」(ジン)
プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》から「誰も寝てはならぬ」(キム)
                       「氷のような姫君」(ジン)
プッチーニ:歌劇《トスカ》から「星は光りぬ」(笛田)
グノー:歌劇《ロメオとジュリエット》から「わたしは夢に生きたい」(鈴木)

(アンコール)ヴェルディ:歌劇《椿姫》から「乾杯の歌」(全員)
 
 
 今日は午前中は晴れ間が見られ、比較的穏やかな成人の日を迎えました。所用を済ませ、ホールに着くとかなりの賑わいです。客席はほぼ満席。ステージ周りには花が飾られ、新春を演出していました。
 このコンサートは、中越大震災復興5周年を記念して開催される「新潟アジア国際音楽祭」の一環としてのガラコンサートです。新潟出身の音楽家とアジア出身の音楽家が、秋山和慶指揮の東京交響楽団と共演するという豪華なプログラムです。

 いつものように拍手の中楽員が入場。コンマスは初めての人です。アシスタント・コンサートマスターの廣岡さんでしょうか。東響の誇る3人のコンマスはお休みのようであり、いつもコンマスの隣にいる田尻さんの姿もありません。東響の最強メンバーとは違うようです。

 秋山さんが登場してウィンナ・ガラの開演です。「こうもり」の後に司会の平井さんが登場して挨拶の後、ウィンナ・ワルツの数々が演奏されました。つい先日本場物のウィンナ・ワルツを聴いたばかりなので、比較してしまいますが、東響の演奏は編成が大きい分だけ厚みがあり、シンフォニックな響きがして良いのですが、遊び心といいますか、ウィーンの香りが乏しいように感じました。やっぱり先日の本場物の方が楽しめました。

 続いては新潟市出身のヴァイオリニスト井上さんの登場です。真っ赤なドレスが目に鮮やかです。演奏前に平井さんのインタビューがありましたが、演奏前で緊張している井上さんをさらに緊張させてしまったのではないでしょうか。「タイスの瞑想曲」も「ツィゴイネルワイゼン」もなかなかの演奏だったと思いますが、ちょっと乱れた場面も垣間見えました。

 休憩後の後半はオペラ・ガラです。新潟県出身の鈴木さんと笛田さんは2008年3月のコンサートで聴いているのでその実力は承知していますが、ソプラノの中国出身のジン・ザンさん、テノールの韓国出身のキムさんは、お馴染みの小鉄和弘さんがイタリアでオーディションを行って選んだのだそうです。開演に先立って小鉄さんからの紹介がありました。

 最初はキムさんでしたが、ちょっと声の出が悪いようでした。続いてはブルーのドレスの鈴木さんです。声量に欠けますが、愛らしい容姿同様のリリカルな歌声がきれいでした。次の笛田さんは相変わらずの存在感ある歌いぶりです。声量も豊かでドラマティックであり、前回聴いたときよりさらに磨きがかかったようです。そして、ジンさんは濃いピンクのドレスが美しく、容姿端麗。声量も十分にあり、正統的なソプラノです。すばらしい歌声に魅了されました。笛田さんとの2重唱もお見事でした。

 その後平井さんと小鉄さんが登場して4人にインタビューがありましたが、せっかくの感動に水を差すものであり、ないほうが良かったかも・・。
 その後は切れ目なく各人の歌が続きました。キムさんの声は尻上がりに良くなり、鈴木さんの人形に扮してのコミカルな歌いぶりは圧巻。ジンさんと笛田さんの声量豊かに響き渡る歌いぶりは甲乙つけがたいものでした。最後にそれぞれ1曲歌ってフィナーレとなりましたが、最後のとりは鈴木さん。薄ピンクのドレスに衣装換えしての登場で、観衆を魅了しました。

 アンコールはお決まりの「乾杯の歌」。終演は何と19時40分。内容豊富なお腹いっぱいのコンサートであり、ちょっと長すぎたかもしれません。インタビューの時間は不用だったように思います。予定を大幅に遅れてしまったので、大急ぎで帰宅しました。

 各出演者とも熱演でしたが、私個人的にはジンさんの歌声、容姿に感動しました。私の音楽仲間は中国なまりのイタリア語だとけなしていましたけれど。鈴木さん、笛田さんは期待に添う歌声でした。キムさんは声の出が悪いようで、他の出演者に比して聴き劣りしたように感じました。ヴァイオリンの井上さんは残念ながら実力を出し切れなかったように思います。東響の演奏は面白味に欠け、アンサンブルの質もいまいちだったと言わざるを得ません。定期公演とは力の入れ方が違うのでしょうね。


(客席:2階C7-11、S席:4000円)