ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団
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2009年12月6日(日) 15:00  所沢市民文化センター ミューズ アークホール
 
指揮: ワレリー・ゲルギエフ
 


チャイコフスキー:祝典序曲「1812年」 作品49

ムソルグスキー/ラヴェル編曲:組曲「展覧会の絵」

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36

(アンコール)
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニ・オネーギン」より ”ポロネーズ”
 
 

 ゲルギエフ好きの私ではありますが、新潟にはなかなか来演してくれないので、昨年11月には福島県のいわき市までロンドン響とのコンサートを聴きに行き、一昨年の2007年11月には、今回と同じ所沢でのコンサートを聴きに行っています。今年の来日公演も是非聴きたいと思っていましたが、仕事の日程もあり、行けるかどうか定かでなく、ヤキモキしていました。幸いといいますか、偶然昨日前橋までの出張があり、せっかくなので所沢まで足を伸ばすことにして、チケットを手配しました。所沢のコンサートは市の助成があるためか、東京よりもかなり安価で聴くことができるので、大きな魅力です。新潟からも意外に行きやすく、2006年11月2007年11月に続いて今回が3回目になります。

 西武新宿線航空公園駅より歩いてホールに向かいました。街路樹が美しい広い歩道は、歩いていて気分良く感じます。少し早めに着き、快晴の空の下、広場で開場を待ちました。日差しが心地よく、過ごしやすい陽気です。まさに関東の冬晴れ。こういうときは新潟は荒れ模様なだろうなあと考えながら日光浴を楽しみました。
 開場時間となり、入場が始まりましたが、ホール内に入るのは少し待たされました。今回の席は1階席の前方右寄りです。

 拍手の中楽員が入場。第1、第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置で、左後方にコントラバス、中央にチェロ、右にヴィオラとなっていました。管楽器ではホルンが右側になっていました。

 ゲルギエフが登場していよいよ開演です。前回の公演では右手からの登場でしたが、今回は左手からでした。指揮台は使用せず、指揮棒を持っての指揮です。
 最初の「1812年」からエンジン全開です。冒頭の重厚なチェロの調べから息をのみました。金管の咆哮、打楽器の炸裂、弦のアンサンブル、いずれにも圧倒されました。華麗なホールの響きもあって、迫力満点の豪快な演奏で、いきなりの大盛り上がりです。
 続く「展覧会の絵」も絢爛豪華、色彩感のある演奏で、芳醇なオーケストラサウンドを堪能できました。管楽器のソロのすばらしさは圧巻であり、いずれの楽器もお見事というしかありません。残響が豊かすぎて、うるさいくらいに音が響いていました。まだ前半というのにホールはブラボーの嵐。ゲルギエフが真っ先に立たせたトランペット奏者にはひときわ大きな拍手が贈られました。

 休憩時間はCD販売で大混雑でした。CD購入者にはゲルギエフのサイン会があると聞き、私も急遽CDを購入しました。

 後半はチャイコフスキーの交響曲第4番です。冒頭の金管のファンファーレが見事に決まって、その後は前半同様に大爆発。しかし、決してただ賑やかなのではなく、節度あるものです。管楽器の各奏者のうまさはたいしたものです。第1楽章の後に若干の咳払い休憩がありましたが、その後の各楽章は休止なしで続けて演奏されてクライマックスを迎えました。ホールはまさに興奮のるつぼ。満足感でいっぱいです。
 ブラボーに応えて、アンコールは、エフゲニ・オネーギンより「ポロネーズ」が演奏されました。ロシアものならゲルギエフ/マリインスキー管の右に出るものは現在ないのではないでしょうか。ゲルギエフのコンサートはかなり聴きに行っており、何回目か分からなくなってしまいましたが(オーケストラx8回、オペラx2回かな)、毎回裏切ることがないばかりか、新たな感動を生み出してくれます。CDでは味わえない一期一会の喜びがあるので、わざわざ新潟から遠征してしまうのです。

 終演後のサイン会は長蛇の列でした。私は早めに列に並んでサイン会を待ちました。拍手の中ゲルギエフが現れて、サイン会が始まりました。休憩時間に購入したCDのブックレットにサインをもらいましたが、ものすごいスピードでの殴り書き。サインには違いないので、私にとってはお宝になりました。

 外に出ると木々のイルミネーションがきれいでした。外には観光バスが待機していて、団員は乗り込み始めていましたが、サイン会の列は途切れそうもなく、ゲルギエフのお帰りはいつになることやら。サービス精神には頭が下がります。今日が今回の来日公演の最終日ということでサービス良かったのかもしれません。

 終演が遅く、サイン会まであったので、帰りの時間が予定より大幅に遅れてしまいましたが、航空公園・所沢・秋津・新秋津・南浦和・大宮・新潟と列車を乗り継いで、無事帰宅しました。東京は快晴の空でしたが、新潟は予想通りに荒れ模様。JRは乱れている様子。雨もぱらついていました。これからこういう日々が続くんでしょうね。関東が羨ましいです。

 さて、所沢市民文化センターのアークホールは、パイプオルガンを備えた典型的なシューボックス型のホールです。響きの良いホールですが、我がホームグランドのりゅーとぴあとは性格の異なる響きであり、私の席では、高音域中心に賑やかに響き、少しうるさく感じるほどでした。どちらが良いという問題ではないのですが、音響的にも視覚的にも、やっぱり聴き慣れたりゅーとぴあの方が落ち着きます。

 
(客席:1階 12-30、S席:12000円)