ハイドン没後200年記念の「りゅーとぴあハイドンツィクルス」の最後を飾るコンサートです。ハイドンの交響曲全集といえば今年デニス・ラッセル・デイヴィス盤が出ましたが、これまではアダム・フィッシャー指揮ハイドン・フィルかドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカが双璧であり、そのアダムフィッシャー/ハイドン・フィルが来演するとなれば、期待は否が応でも高まります。
ただし、ハイドン・フィルと言っても、一般の方々にはなじみはないものと思いますし、ハイドンばかりのプログラムはあまりにも地味です。とても集客が見込めそうには思えません。10年前、いや5年前の私なら興味は全くなく、チケットを買うことはなかったと思います。最近は努力していろんな曲を聴くようにしています。今年はハイドン・イヤーということで、ドラティのハイドン交響曲全集を買いましたし、5月の茂木大輔のオーケストラ・コンサートで予習もしましたので、真打ち登場を楽しみにしていました。
出張先から早めに帰って会場に駆けつけました。予想通りにかなりの空席であり、3分の1程度の入りでしょうか。ステージ周りだけ異様に客が入っていましたが、共催のテレビ局が動員したのでしょう。客席は少し寂しいですが、その分ゆったり聴けました。
演奏前に、指揮のフィッシャー氏と第2ヴァイオリンの日本人奏者の森川さんによるトークがありました。日本人奏者がいるとは知らずビックリしました。フィッシャー氏はハイドン生誕300年まで頑張ると話していました。
拍手の中楽員が入場。編成は小さく、弦5部は8-6-5-4-2です。第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置でした。最初は今回のコンサートの委嘱作品である「ハイドンの庭」が演奏されました。雅楽を思わせるいかにも日本風の音の中にハイドンの有名なメロディが散りばめられている面白い曲でした。作曲者が客席にいて、ステージに上がって拍手を受けていました。
続いては「オックスフォード」です。軽快な演奏であり、各楽章の面白さが引き出されていました。小編成のオケながらも音量豊かにきれいな響きで良かったです。
前半最後は「告別」です。オケの編成が若干小さくなり、弦5部は6-5-4-4-2となりました。この曲は茂木さんのコンサートでも演奏されて楽しみにしていました。第4楽章では、次々と楽員が去っていき、それとともに照明が暗くなり、最後は指揮者もいなくなってヴァイオリン2人だけになり、会場は真っ暗になるという趣向で、大変楽しめました。照明の演出がなくても良い演奏であり、他の楽章も聴き応えがありました。
後半は「ロンドン」です。オケの編成は元に戻りました。緩急・強弱にメリハリがあり、堂々とした演奏でした。アンコールは聴き映えのある楽しい演奏で、ホルンの2人がステージ裏、1階席、2階席入り口など神出鬼没に現れて演奏して楽しませてくれました。
ハイドンばかりで飽きるんじゃないかと思いましたが、演奏の良さのためか、気持ち良く聴くことができました。客の入りの悪さを感じさせないほどに会場は盛り上がっていたように思いました。さすがにハイドンのスペシャリストですね。
コンパクトな編成ながらも音量は全く問題なく、小編成ならではの音のまとまりがあって良かったと思います。対向配置の良さも存分に体験できました。弦も管もすばらしい演奏であり、特にフルートやオーボエなどの管楽器が良かったと思います。
これだけまとめてハイドンを聴く機会はめったにないでしょう。空席がもったいないほどの良いコンサートだったと思います。少数精鋭の観客も熱心に聴いていました。まばらな客ながらも知人に数人お目にかかってビックリしました。
残念だったのは「越乃寒梅」の抽選に外れたこと。客が少なかったので当たる確率は高かったはずでしたが・・・。
ドラティのCD聴きながらこの文章を書いていますが、この全集も良いですよ。
(客席:2階 C3-7、S席:8100円、会員割引) |