昨日の好天がうそのように今日は天候がすぐれません。冷たい雨が降り、心も晴れません。ちょっと暗い気持ちでホールへと向かいました。開演まで時間があったので、6階のラウンジでコーヒーを飲みながら新潟の街並みを眺めていました。眼前を流れる信濃川。遠くに見える雪を抱いた山並み。ここからの眺めは大好きです。
さて、りゅーとぴあでは毎年「りゅーとぴあオペラ劇場」と称してこれまで様々な催しを行ってきましたが、今日は昨年3月に引き続いて、ローマ歌劇場の協力によるオペラコンサートです。昨年はレクチャーもあって、盛りだくさんの内容で疲れた覚えがありますが、今日はコンサートのみです。今年はプッチーニ生誕150周年ということで、プッチーニの6大オペラの名曲コンサートとなりました。S席エリアの両サイド、後方に空席が目立ちましたが、A席、B席エリアはかなり賑わっていました。最近のコンサートはこういうパターンが多いようです。これも不況のせいでしょうか。かく言う私もA席でしたけれど。
お馴染みの小鉄さんの解説を交えながら演奏が進められました。前半は「ラ・ボエーム」と「蝶々夫人」からの二重唱とアリアが歌われました。後半は「トスカ」から4曲歌われた後、「外套」、「西部の娘」、「トゥーランドット」から1曲ずつ歌われました。ローマ歌劇場から派遣された3人ともすばらしい歌声で、うっとりと気持ちよく聴くことができました。
ソプラノのチチリエッロは容姿端麗で、リリカルな歌声がきれいでした。テノールのアンドレオッティは昨年に引き続いての出演で、テノールの醍醐味を味わわせてくれました。バリトンのガレアッツイも声量豊かな力強い歌声で魅了しました。どの曲も甲乙付けがたい見事な歌いぶりで、ホールいっぱいに歌声が響き渡りました。ピアノの山口さんのすばらしさも特筆すべきでしょう。演奏もさることながら、ヴィジュアル的にもうっとりさせてくれました。
アンコールは男の二重唱が歌われた後、それぞれの歌手が1曲ずつ歌って終演となりました。プッチーニの有名なアリアで歌われていないものがあるなあと思ったら、しっかりアンコールに用意されていました。
このコンサートはローマ歌劇場の全面協力で企画され、イタリアの若い世代を代表する3人の歌手が派遣されたとのことです。超一流というわけではないのでしょうが、各歌手ともに十分な実力を持っており、大いに満足できました。ひつだけ難点を上げるとすると、小鉄さんの解説が単調なことでしょうか。もっと明るく、楽しそうに話してくれると盛り上がると思うのですけれど。バスの低い声で単調に話されると、暗くなってしまいます。
ともあれ、これだけのコンサートをこの低料金で開催したというのはありがたい話です。3人の歌手はこのコンサートのためだけに来日したとのことであり、この入場料では採算は取れないだろうなあと心配になりました。(実は東京オペラの主催で、東京でもいくつかの公演があるようです。) こんなすばらしいコンサートなのに空席が多かったのは誠に残念であり、もったいなく感じました。新潟の音楽好きは何をしているんでしょうね。観客の年齢層が高く、若い人が少なかったのも残念でした。せっかくの機会ですから、たくさんの人に聴いてもらいたいものです。これからもこういう企画が続いて欲しいですね。
外に出ると雨が降り続いていました。本格的な春までもう少しの辛抱です。私生活では春が来るあてはなし。いいことないかなあ・・・。
(客席 2階 D3−27、A席:¥2700:会員割引) |