小澤征爾 新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会
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2008年5月13日(火) 19:00  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:小澤征爾
オーボエ:古部賢一
コンサートマスター:崔 文洙
 

 

モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136

モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品76「悲愴」

 
 

 新潟の音楽ファンが待ちこがれていたコンサートです。チケットの一般発売はわずか10分で完売とのこと。やっぱり小澤先生の人気は絶大です。私は主催関係者にお願いしてチケットを手に入れることができましたが、実際にチケットを手にしたのはつい最近で、本当に大丈夫かとヤキモキしていました。小澤先生の新潟への来演は2004年12月以来です。前回は水戸室内管弦楽団でしたが、今回は新日本フィルです。新日本フィルは昨年上京の折に聴いていますが、新潟で聴くのは随分と久しぶりに思います。
 チケット完売だけあって、当然ながら客席は満席。2階、3階の立ち見席も完売というのはめったにないことと思います。今日まで新潟ではG8の労働相サミットが開催され、その関係者席が30席ほど確保されていたとのことで、外国のVIPのお姿もチラホラみられました。観客もいつもの東響定期とは違い、着飾ったご婦人の姿が多くみられ、特別な演奏会という雰囲気でいっぱいでした。

 前半は小編成でモーツァルトの2曲です。最初は弦楽だけでディヴェルティメント。なんという美しさでしょう。演奏もさることながら、美しいオケの音色にうっとりしました。新日本フィルがこんないい音色を聴かせるなんてビックリしました。
 2曲目は古部賢一独奏によるオーボエ協奏曲です。楽譜を見ながら、汗を拭き拭きの熱演でした。古部さんは、この4月にも茂木さんのコンサートで来演しています。そのときはオケの一員でしたが、今回は独奏です。大きな驚きはありませんが、オケとうまく噛み合ったいい演奏だったと思います。

 後半は悲愴です。オケはステージいっぱいの大編成になりました。ひな壇の作り方が変わっていて、中央だけ壇状にして、後は平らのままになっています。演奏は・・・。壮絶なる演奏というべきでしょう。指揮者と奏者が一体となって、気迫に満ちた渾身の名演奏を繰り広げました。観客も気迫に圧倒されたように思います。客の質としてもすばらしく、第3楽章後の拍手もなく、最後も小澤先生が手を下ろすまでフライング拍手は起きませんでした。しばしの静寂がホールを満たし、十分に余韻を味わうことができました。(悲愴の最後は、マーラーの9番と並んでフライング厳禁です)
 と、指揮者とオケと観客が一体となった一期一会の名演奏と言えますが、へそ曲がりな私には、オケが少しうるさすぎたように感じました。間違いなく熱演であり、大きな感動を観客にもたらしてくれたことは間違いはないのですが、オケの音色としてはイマイチだったように思います。木管はきれいでしたが、金管がうるさすぎました。音量の割りにオケの厚みを感じません。りゅーとぴあの響きに慣れていないのかも知れません。おなじみの東響は、音量はあってもそんなにうるさくはなりません。これが新日本フィルの音色だといわれればそれまでですけど。

 と、音色的には多少の不満はありましたが、いい演奏会だったと思います。小澤先生のお姿を生で見るだけで感動できます。アンコールを期待しましたが、そのままお開きになりました。
 

(客席:2階 C7-33、S席:\15000)