某所での仕事を早めに抜け出して、すみだトリフォニーホールに向かいました。遠くて開演に間に合うかと不安でしたが、仕事先から錦糸町まで地下鉄ですぐでしたので、あっけなく到着しました。東京の交通網の良さは田舎者には驚きです。
このホールは全くの初めてです。入場してみると、噂通りの造りにビックリです。斜めにステージに向かって突き刺すようなバルコニー席のデザインは斬新すぎて違和感を禁じ得ません。視覚的な刺激が強すぎて音楽に集中できないように思います。1801席というホールの内部は横幅が広く、高さがあって3階席後方からステージを眺めると奈落の底のように見えます。基本はシューボックス型なんでしょうが、アリーナ型ホールに慣れている私には馴染みにくいホールです。館内を巡ってみましたが、ホワイエは狭く、休憩時間などはゆったりできません。
さて、このコンサートは、シーズン開幕を前に、新日本フィルを知ってもらいたいという趣旨で、昨年から開催しているそうです。前半はオケの首席奏者を紹介するという名目で、弾き振りによる協奏曲が演奏されました。そして後半は音楽監督のアルミンクによるベートーヴェンです。
まずは、ペルゴレージのフルート協奏曲です。珍しい曲ですが、フルート独奏もさることながら、弦楽だけの伴奏も美しく、大いに楽しめました。次のテューバの演奏は、日頃聴く機会がないので新鮮に感じられました。前半最後のカルメン幻想曲は、若きコンサートマスターの西江が演奏しましたが、線が細く、カルメンの情熱性を表現しきれなかったように思います。
後半はアルミンクによるベト7です。最近よく聴く曲ですが、すばらしい演奏でした。キビキビとした指揮ぶり、スマートな容姿でイケメン。人気のほどがうかがえます。東京交響楽団ばかり聴き続けている耳には新鮮に響きます。新日本フィルを聴くのは20数年ぶり。アルミンクを音楽監督に迎え、飛躍的に発展しているようです。この曲というと、6月にスペイン国立放送交響楽団で聴いて感激しましたが、今回はそれ以上の感動でした。アンコールの美しいサウンドにも驚きました。
やはり、同じホールで同じオケばかり聴いていると視野が狭くなります。東響定期もいいのですが、たまにはほかのオケを聴かないといけないなあ、と強く感じました。ホールのせいなのかオケのせいなのか分かりませんが、豊かな低音に支えられたきらびやかなサウンドは私好みです。ホールの響きもきれいです。新潟で聴く東響のサウンドとはひと味違った良さがあります。新潟は年に6回東響定期があるので、他のオケの公演はほとんどありません。外へ出向くしかないのが残念です。しかし、たまには別のホールで、特にそのオケの本拠地で聴くということもいいのかもしれません。
(客席:1階19-1、A席:4000円)
附:メンバー配置の表が配られましたが、これはいいアイデアですね |