東京交響楽団 第37回新潟定期演奏会
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2006年7月9日  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
指揮:秋山和慶
ピアノ:ジョン・ナカマツ
 
 
武満 徹:グリーン

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30

    (アンコール)ショパン:幻想即興曲(ジョン・ナカマツ)

(休憩20分)

バーンスタイン:交響曲 第2番「不安の時代」 

                 ピアノ・トリオ:佐山雅弘M's

(アンコール)
チック・コリア:スペイン(佐山雅弘M's)

 
 
 

 梅雨空で天気はすぐれません。昨夜は職場関係の宴会で泊まり込んで朝帰り。日頃飲めない高級シャンパンを堪能し、朝飯もたっぷりいただいたのは良かったのですけれど、ちょっとムカムカ気分。こんな訳で体調万全ではないのですけれど、いい音楽で気分一新しましょう。

 さて、本日は久し振りに大御所・秋山先生のご登場です。2005年5月の定期以来です。有名なラフマニノフの3番でも、新潟で演奏される機会はないですし、ましてやバーンスタインの交響曲なんて東響定期でもない限り聴く機会はありません。貴重な経験ができそうです。同じ演目で、7日:ミューザ川崎、8日:サントリーホールで演奏しており、3日目の新潟はきっといい演奏をしてくれるものと期待がふくらみました。

 いつもの駐車場は満車のため陸上競技場に車を止め、小雨の中りゅーとぴあへと急ぎました。遊歩道から見える陸上競技場の芝生の緑が目に鮮やかです。会場内はいつもの如く7〜8割程度の入りでしょうか。ステージにはピアノが設置されています。拍手の中楽員が入場。今日のコンマスは、ゲスト・コンサートマスターのパヴェル・ボガチュです。スロヴァキア・フィルのコンマスとのこと。いつもより念入りにチューニングしていました。

 1曲目は武満のグリーン。こういう現代曲はどうにも馴染めないので、音色だけ楽しみました。2曲目はラフマニノフの3番。ナカマツという人は良く知りませんが、日系人でしょうか。少し速めのテンポで演奏が進み、すばらしい弾きぶりに息を呑みました。流れるような音の洪水。東響も負けずに引き締まった演奏。最終楽章の盛り上がりも最高。これは名演と言えましょう。
 アンコールは何故かショパン。これまた流れるような緩急自在な名演奏。全盛期のブーニンみたいです。会場を沸かせて休憩となりました。感銘を受けた人は数多いらしく、ナカマツのCD販売に人だかりができていました。

 後半はバーンスタインの2番。作曲家としてのバーンスタインはウエストサイドストーリーしか聴いたことがないので交響曲なんて全くの初めてです。ステージ中央にピアノ、ベース、ドラムが配置され、ステージいっぱいのオケは壮観です。
 曲は2部に分かれ、交響曲とはいうものの、ピアノ協奏曲と言った方が良いほどにピアノが活躍します。後半にピアノトリオの演奏が入り、ジャジーな演奏に盛り上がります。クライマックスは豊潤なオーケストラサウンドがホールを満たし、気分爽快です。ブラボーの声が掛かり、会場が沸きました。
 アンコールにピアノトリオの演奏があり、さらに会場を沸かせてコンサートの終了です。こういう曲を新潟で聴けるなんて幸せであり、東響のおかげです。

 ホールを出ると小雨。傘を差す人波をかき分け、駐車場へと走りました。なお、今日のコンサートには新潟市出身の枝並千花嬢がヴァイオリンに出演していました。2003年に第24回ミケランジェロ・アバド国際コンクールに優勝し、地元新潟では期待の若手として話題になり、コンサートも開いて活躍を始めていました。パンフレットでは1stヴァイオリンに名前が出ていましたが、コンサートでは2ndヴァイオリンの最前列にいました。華麗な容姿はいやがおうでも目立ちます。東響では研究員ということですが、今後の活躍を期待したいです。

 家への帰り道、NHK-FMでちょうどアルゲリッチの演奏するラフマニノフの3番が流れていて、ナカマツの演奏のすばらしさを再確認しました。この文章はキーシン/小澤のCDを聴きながら書いているのですが、今日の実演を聴いた後ではこの名盤も生ぬるく感じてしまいます。
  

(客席:2階Cブロック5-35)