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 りゅーとぴあ バックステージツアー2006

                             Vol.1 3ホールを満喫! 夏休み特別編

   2006年7月25日(火)18:30


 日頃頻繁に利用している「りゅーとぴあ」ではありますが、観客としての利用でしかありませんので、舞台裏がどうなっているかは知るよしはありません。芸術的素養のない私が出演者としてステージに立つことなどあり得ませんから、「バックステージツアー」の企画を知り、是非参加してみたいと早々にチケットを手配しました。今回は、コンサートホールのほか、能楽堂、劇場をすべて回るというものですが、個人的には出演者が残していったコンサートホールのステージ裏の壁のサインを是非見てみたいと思っていました。

 18時半にホワイエに集合です。時間に遅れないよう少し早めに行きましたが、すでにたくさんの人たちで賑わっていました。100人のみの募集でしたから、チケットはほぼ完売だったことでしょう。受付すると、参加者は黄、青、赤の3つのグループに分けられ、各色のシールをもらい、胸に貼りました。私は適当に赤グループにしましたが、子供を除けば男は私だけでした。ちょっと寂しかったですけど、女性方に囲まれているのも気分は悪くありません。

 まず最初は、コンサートホールの客席(Cブロックに各色毎に着席)に座ってオリエンテーション。各組に2人のガイドが付くことになり紹介がありました。そして、「りゅーとぴあ」の概要についての紹介がありました。
 御存知のように、りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)は、平成10年10月にオープンした音楽・舞台芸術の専門施設であり、コンサートホール、劇場、能楽堂のほかに、スタジオA、スタジオB、さらに8つの練習室にギャラリーを備えています。単にホール運営だけでなく、専属のダンスカンパニーNoismや演劇スタジオ・キッズコースAPRICOTを始め様々な活動をしているのが特徴です。音楽では東京交響楽団と準フランチャイズ契約を結び、サントリーホールと同じ内容の新潟定期演奏会を開催していて、大いに楽しませてもらっていることは大きな喜びであり、新潟の文化向上に寄与していることは間違いありません。コンサートホールは、パイプオルガンを備えたクラシック音楽専門ホールで、アリーナ型としてはサントリーホール、札幌コンサートホールに次いで日本で3番目にできたとのことです。

 次は専属オルガニストの山本真希さんが登場して、オルガンの解説と演奏です。曲目はホセ・ヒメネス作曲のバターリヤ。演奏映えする華やかな曲で、私のような素人にも親しみやすく、オルガンのすばらしさを印象づけるにはいい選曲だったと思います。演奏に気分が高揚し、これから始まるツアーへの期待感を高めてくれました。山本さんの演奏を聴くのは4月15日のお披露目のワンコインコンサートに次いで2回目ですが、これまでの歴代のオルガニスト以上に親しみやすく、魅力ある人に思えます。

 その後はいよいよ3つのグループ毎に分かれて館内巡りのツアーに出発です。私の赤グループはコンサートホールからです。

 まず、パイプオルガン前に集合して、改めて山本さんからパイプオルガンの説明がありました。ここのオルガンはスペインのグレツィング社製で、奏者の後方にもパイプがあるリュックポジティブという構造と水平ラッパを特徴とし、ストップ数69、パイプ数4843本です。本来のリュックポジティブはまさに奏者の後方にあるのですが、これでは奏者が客席から見えなくなるので、左右の2つのユニットに分割されているそうです。実際に演奏しながらオルガンの仕組みや音色のいろいろ、グレンツィング製オルガンの特徴を解説してくれました。オルガンのてっぺんで太陽が回っていることに初めて気付きました。おわかりにならない方は、行かれたときによく観察してください。
 わかりやすい説明もさることながら、至近距離で見る山本さんの美しさにうっとりしてしまいました。写真で見るよりはるかにおきれいです。参加した甲斐があったなあと早くも大満足でした。

 次に階段で1階に降り、ステージに出ましたが、ステージ裏を通った時に出演者のサイン発見。思わずため息が出ます。グループ行動なので、ひとりだけ立ち止まるわけにいかず、横目に見ながら下手入り口からステージ上へ出ました。ステージから客席を見回しましたが、意外に近く感じますね。出演者の目線で客席を見ることができたのは良かったです。ステージにはスタインウェイのピアノが出されていました。ご自由にお弾き下さいと言われたものの、弾けないのが残念です。

 その後上手からステージ裏へ行き、指揮者や独奏者が使用した楽屋を見学しました。楽屋からステージまですぐなんですね。また、ステージ脇や後方のオーケストラホワイエが意外に狭いのに驚きました。
 ここで少し自由時間を取ってくれたので、壁一面のサインを見て回りました。主だった有名人のサインには張り紙で目印を付けてくれていて、女性陣は葉加瀬太郎のサインに歓声を上げていましたが、ワクワクするようなサインがたくさんあります。私は大好きなゲルギエフのサインを見つけて感激しました。



 ずっとここにいたかったのですが、予定時間が過ぎて、次は能楽堂へ移動です。

 エレベーターで4階に上がって能楽堂の見学です。まず客席で能楽堂の構造の説明があり、檜の床板の掃除の実演や、舞台正面の鏡板を外して中庭が見えるようにしたりしてくれました。普通能楽堂の舞台下には反響用のカメが置いてあるという話を聞きますが、ここでは床がコンクリートで反響がよいので置いてなく、むしろ吸音材を使っているとのことでした。総檜造りの能楽堂は汚れが付きやすく管理も大変なようです。
 次に靴を脱いで楽屋に上がり、実際に能舞台にも上がることができました。足を踏みならして反響の良さを実感。能舞台に立つ事なんて、一生ないでしょうからいい思い出です。
 その後楽屋を見て回りましたが、宴会でもできそうな立派なお座敷があり、茶室としても利用できるようになっていました。ここに8月下旬に上演される演劇(シェイクスピアシリーズ:オセロー)の衣装や小道具が展示されていました。一般人に公開したのはこれが初めてとのことでした。

 最後は劇場の見学です。まず客席で舞台構造の説明や、照明や音響を使って場面を表現する実演をしてくれました。日頃演劇には疎い私には興味深く思われました。次にステージに上がってスポットライトを浴びて、出演者の気分を体験させてもらいました。オープニングとカーテンコールの再現はいい気分でした。
 その後は各楽屋を巡って歩きました。どの楽屋を誰が使ったか、サイン色紙とともに紹介されていました。各楽屋にはユニットバス、トイレがあり、隅々まで見させていただきました。出演者がくつろぐラウンジや楽屋口も見て回りましたが、演劇に興味がない私はコンサートホールのサインの方が気になって、少しだけ抜け出して再び見学してきました。

 ここでタイムアップ。あっという間の2時間でした。コンサートホールホワイエに戻るとホールからはオルガンの音色が聞こえていました。尋ねてみたら、山本さんがコンサートに備えて練習のようです。8月6日に無料のファミリーコンサートがあるので、是非行かねばなりません。また秋には山本さんのリサイタルシリーズが始まります。

 最後にお土産(ファイル、りゅーとぴあの立体切り絵・封筒のセット)をいただいて、バックステージツアーはお開きとなりました。グループ毎での行動で、自由に見て回れなかったのが残念ですが、目からウロコばかりの楽しいひとときでした。またの機会を楽しみにしたいと思います。秋には劇場だけの企画があるようですので、演劇ファンは参加されたらいいと思います。
 私としてはステージ裏のオーケストラホワイエの壁を埋め尽くすアーチストのサインを見ることができたことが一番の収穫でした。正直言えば、山本さんに接近できたことも感激でしたが・・・。

 今後もこのような企画により市民に親しまれる「りゅーとぴあ」であり続けますよう期待したいと思います。



(参加費500円)