キーロフ歌劇場管弦楽団
  ←前  次→
2002年11月26日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
 
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」より ”モスクワ河の夜明け”

ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」

ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」

(休憩20分)

バラキエフ:イスメライ(東洋風幻想曲)

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

(アンコール)
リャードフ:魔法の湖
リムスキー=コルサコフ:歌劇「雪娘」より ”道化師の踊り”

 
 
 

 キーロフ歌劇場管弦楽団といえば、1998年12月に開催された新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)の開館記念の4夜に渡る公演が思い出されます。新しいホールのオープンの興奮も手伝って、大いに盛り上がったことが記憶に新しいです。あれから4年。月日の経つのは早いです。なおゲルギエフとしては、2000年4月にロッテルダム・フィルと来演しているので2年半ぶりです。

 と言うことで、来演決定を知ってから楽しみにしていた公演です。メインの「シェエラザード」は前回の公演でも演奏され、NHK-BS2でも放送されました。このビデオは時々取り出しては聴いていますが、いい演奏でした。今回も同じ曲目というのはちょっと残念。よそでは、プロコフィエフ(1番、3番、ピアノ協奏曲2番)とかマーラー(9番、5番のアダージェット)とかブルックナー(4番)とかもプログラムにあり、できれば他の曲目を聴いてみたいところですが、最近出された「シェエラザード」のCDは評判がいいし、よしとしましょう。

 さて、会場はほぼ満席の盛況。客席に知った顔も多数あります。拍手の中に楽員登場。楽器配置はいつもと異なり、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ。左後方にコントラバス、中央から右後方に管、右端にハープ、その後ろにチェレスタとピアノ、中央最後部に打楽器という配置。右端にハープというのも珍しいですが、シェエラザードでその効果が発揮されました。

 ゲルギエフが登場し演奏の開始。決して悪い演奏でないですが、オーケストラの鳴りがよくないです。驚きや新鮮な感動というものは今ひとつ感じられません。ゲルギエフが手を下ろす前に拍手をする人がいて、余韻を十分味わえなかったのもちょっと残念。

 休憩の後、「イスメライ」。今度はコンサートマスターがレビーチンに交代。前回の公演でもおなじみで、「シェエラザード」のCDでもソロを担当していた人です。(前回とは髪型が変わっていました。)
 コンサートマスターが代わったせいか、オケのエンジンがかかってきたせいか、曲目のせいか、今度はオケも良く鳴るようになってきて、いい演奏でした。

 そして「シェエラザード」。ゆっくり目の演奏で始まり、重厚な金管の咆哮で幻想の世界に客を引き込みます。レビーチンのソロとハープの掛け合いで夢の世界の始まりです。ハープは右端に配置されているため、この掛け合いが効果的です。咳払い休憩なしで演奏は進みます。第3曲はゆっくりと、そして、どんどん加速する第4曲。十分楽しめた演奏でした。
 ちょっと意外に思ったのは、ゲルギエフが指揮棒を持っていたこと。蝶が舞うような指さばきではなく、棒を振っていたのはどういう意味があったのでしょうか。例によって余韻を楽しまないで拍手する人がいて興ざめでしたが、会場はブラボーの声がかかり、久し振りに聴く「割れんばかり」の拍手でした。アンコールを2曲演奏して終演。アンコールでは指揮棒を持たず、あのフィンガーテクニックを披露してくれました。

 前回のような新鮮な感動は薄れましたが、やはりゲルギエフはすばらしいです。またの来演を楽しみのしています。今度はロシア物以外も聴きたいものです。
 

(客席:2階 C ブロック 7-38)