ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団演奏会 | |
←前 次→ | |
2000年4月11日 新潟市民芸術文化会館コンサートホール | |
指揮:ワレリー・ゲルギエフ | |
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調作品67 「運命」 (休憩) プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調作品100 (アンコール) ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ ワーグナー:ニュルンベルグのマイスタージンガー第3幕への前奏曲 |
|
|
|
そろそろ新潟も桜のつぼみがふくらみかけて、春本番が近いと思いきや、強風が吹き荒れています。途中みぞれ混じりの暴風雨でどうなるかと思いましたが、会場に着いたときはちょうど雨が止んでいてグッドタイミング。 さて、今日はゲルギエフ登場ということで、大変楽しみにしていた公演です。新潟県はチューリップの栽培が盛んであり、オランダとの交流があり、県知事がオランダを訪問した際に、ロッテルダム・フィルの来日に合わせ、新潟での追加公演が急遽決定されたといいます。 何はともあれ、今日はゲルギエフ/ロッテルダム・フィルの日本公演の最初の演奏会に当たります。ゲルギエフといえば、ついこの間キーロフ・オペラともに来日したばかり。相変わらず活発な仕事ぶりです。 1998年秋にオープンした新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)の開館記念事業で、地方都市としては画期的な、ゲルギエフ/キーロフ管の連続公演が行われて、ゲルギエフは新潟で多くの聴衆に感動を与えてくれました。ゲルギエフのファンで、仲間に宣伝しまくっていた私としては大きな喜びでした。 さて、今回はキーロフではないですが、主席指揮者を務めるロッテルダム・フィルです。どんな演奏を聴かせてくれるか期待は膨らみます。 ホールに入ると、ステージと周囲の客席に色とりどりの生花が飾られていました。日本とオランダの友好400年を記念する日本公演であり、花を介した新潟とオランダの結びつきから生まれた演奏会ということを表したものでしょうか。 ステージに楽員登場。日本人の姿も数多く多国籍、多人種です。パートごとの入念なチューニングの後、ゲルギエフ登場。頭頂部がさらに薄くなったかな。でも自分も似たようなものか。 1曲目は運命。ゲルギエフらしからぬ(?)正統的名演でした。1楽章でホルンがフェイントをかけてハッとさせてくれましたが、堂々とした演奏でした。これはこれで立派な演奏であり、会場はブラボーの声が飛び交っていましたが、プラス・アルファを期待する偏屈者としては、もうひと味欲しかったかなという気持ちもありました。 後半はプロコフィエフ。これは脱帽。キーロフ同様、ロッテルダム・フィルはゲルギエフの手の中にあることを実感させてくれました。1楽章途中で、演出かミスかわからないですが、照明が急に明るくなって驚きましたが、ちょうど盛り上がる部分で、思わぬ視覚効果を与えてくれました。 オケは目一杯鳴ってくれましたし、気分爽快でした。音楽を娯楽として楽しむ私としては、スカッとする演奏は有り難いです。食わず嫌いのプロコフィエフですが、新たな魅力を感じることができました。 アンコールは2曲。ラヴェルはちょっとホルンが不安定で情感が欠けましたが、ワーグナーでは重厚な見事なブラスアンサンブルを聴かせてくれました。久しぶりに大いに満足した演奏会でした。楽員が引き上げてもしばらく拍手が続いていました。 このオケは弦の音がすばらしいです。柔らかいマントバーニのカスケード・サウンドみたいな心地よい音を聴かせてくれました。ゲルギエフの実力を再確認するとともに、それに応えたロッテルダム・フィルの能力に驚嘆した一夜でした。 余韻に浸りながら外に出ると土砂降りの雨。駐車場までランニングと相成りました。 |