日本フィルハーモニー交響楽団第546回定期演奏会
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2002年12月5日  サントリーホール
 
指揮:井上道義
チェロ:ピーター・ウィスペルウェイ
 

プロコフィエフ:交響曲第7番嬰ハ短調作品131「青春」

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調作品107

(アンコール)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲より プレリュード

(休憩20分)

プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」抜粋

 

 
 

 2泊3日の東京出張の夜、毎度ながらいかに過ごそうかと悩みます。ネオン街に繰り出す元気もなく、コンサートに赴くことにしあした。
 コンビニに立ち寄り、「ぴあ」で調べましたら、上野の文化会館ではソフィア歌劇場の「ラ・ボエーム」、池袋の芸術劇場ではブラシシモ・ウイーン、サントリー・ホールでは日本フィル定期演奏会があります。ミーハーな私は紀尾井ホールのリンクスのコンサートも魅力でしたが、オケのサウンドでストレス解消を期待して、サントリー・ホールへと向かいました。
 当日券は多数あり、2階席中央のA券(4700円)を購入。腹ごしらえに近くの安食堂に入り、生ビール大ジョッキでいい気分。もう一杯いこうかなという気分になりましたが、時間です。ほろ酔いモードから芸術モードへ急いで切り替え。ホールに急ぎました。カラヤン広場はクリスマスのイルミネーションが美しかったです。中年男がひとりツリーを眺めているのもわびしく、人恋しくなります。

 さて、ホールに入ると客席は空席が目立ち、5〜6分程度の入りで、かなり寂しかったです。さすがに東京でも定期公演を満席にするのは難しいのだろうと思います。私のような素人にはなじみの薄い渋い曲目ですし。と、思いをめぐらしている中、楽員の入場。新潟の東響定期なら、拍手の中の入場のはず。コンマスが登場して漸く拍手。何か寂しく感じます。東響のメンバーが新潟での拍手に感激したというのも理解できるなあとひとり納得。

 井上さんが登場し、まずはプロコフィエフの7番。なじみにくいプロコフィエフではありますが、比較的メロディーも分かりやすいです。この曲は学生の頃、新潟大オケで聴いて以来です。前の晩は当直勤務で寝不足でしたし、ビールのほろ酔い気分も手伝って、実はうとうと。いい気分にさせたということはいい演奏だったのだろうと思います。

 2曲目は、ウィスベルウェイが登場。燕尾服は着ないで、白シャツのみの格好。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲なんて当然聴いたことはないですが、ロストロポーヴィチに捧げられた曲とのことで、曲自身はなかなか聴き応えがありました。特に第3楽章の長いカデンツァは圧巻。このチェリストは全く知らないですが、オランダ出身で、古楽器とモダン楽器の両方に極上の演奏を聴かせる「完全なるチェリスト」とか、「前人未踏の領域に立つ孤高のチェリスト」とか、宣伝文句は大げさです。後日、浜離宮でチェロリサイタルも開くらしいです。きっとすばらしい演奏家なのでしょうが、無教養な私にとって曲自身が初めてであり、良さを判断することはできませんでした。アンコールにバッハを弾きましたが、かなり速く、崩した演奏。残念ながら感銘を受けることは無かったです。

 休憩後はシンデレラ。こういうバレエ音楽があることは私でも知っていましたが、聴くのは初めて。抜粋で演奏されたのですが、なかなか聴き応えのある曲も多かったです。どこかで聴いたメロディーもあり、解説を見たら、やっぱり「三つのオレンジへの恋」の行進曲が使用されていました。結構楽しめた演奏ではあったのですが、それ以上の感慨はなし。まばらな拍手の中、アンコールなしで終演となりました。

 驚いたのは、カーテンコールの最中に帰る人が多いこと。指揮台に井上さんがいるのにゾロゾロ帰り出します。ブラボーの声が掛かるほどの名演でもないですし、さすが耳の肥えた東京の音楽ファンはシビアなのかなあと感心しました。最後に楽員は全員深々とお辞儀をして退場。(東響定期ではお辞儀するのはコンマスだけだったなあ、などと思いを巡らしました。)

 残念ながら、ストレス解消して気分すっきりという演奏ではなかったです。まあ、こんなものかとホールを後にしたのですが、ちょっと欲求不満な気分。明日の会議の発表準備をしなければならないところでしたが、足は六本木方面に向いていました。
 

(2階C10-15)