りゅーとぴあ音楽アウトリーチ事業 第6期登録アーティスト
ジョイント・コンサート in 江南区 |
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2026年3月6日(金)19:00 新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール |
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ピアノ:片岡菜納子
サクソフォン:横内魁人(ピアノ共演:渡部乃亜)
マリンバ:浜まゆみ |
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片岡菜納子
リスト:パガニーニによる大練習集より 第5番「狩り」S.141/R.3b ホ長調
リスト:巡礼の年 第3年より 第4番「エステ荘の噴水」S.163/R.10 A283
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲 ニ短調 Op.42
横内魁人(ピアノ:渡部乃亜)
デュボワ:りす
ダヴィッド:トゥピーの目覚め
イベール:室内小協奏曲
第1楽章 アレグロ・コン・モート
第2楽章 ラルゲット、アニマート・モルト
(休憩15分)
浜まゆみ
安倍圭子:風紋
ウィッティバー:リズムダンス
ゴメス、ライフ:レインダンス
安倍圭子:竹林
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りゅーとぴあの音楽アウトリーチ事業として、新潟市内の学校に訪問して音楽の生演奏を届けている登録アーティストによるコンサートです。
このアウトリーチ事業の登録アーティストは、2年間を任期として活動し、第1期が薫風之音(箏:藤崎浩子、尺八:鯨岡 徹)、中林恭子(フルート)、加藤礼子(ヴァイオリン)、第2期が、小山瑠美子(ソプラノ)、金子由香利(フルート)、小黒亜紀(ピアノ)、第3期が、外山裕介(ユーフォニアム)、本間優(ピアノ)、第4期が、小武内茜(ファゴット)、田村亮太(サクソフォン)、第5期が、小林浩子(ピアノ)、DuoKakao(ピアノ:坂井加納、クラリネット:林佳保里)と続き、2025年度からの第6期は、
ピアノの片岡菜納子さんとサクソフォンの横内魁人さんです。
登録アーティストの皆さんは、いずれも新潟出身または新潟在住の音楽家の皆さんで、新潟の地で地道な演奏活動をされておられますが、アウトリーチ活動をすることで、さらにステップアップされておられます。
この登録アーティストの特典として、りゅーとぴあ主催のコンサートが開催されています。スタジオAを会場とする個々のリサイタルや、市内近隣のホールを会場としてのジョイントコンサ―トが開催されています。
私も何度か聴かせていただいていますが、2017年1月の小黒亜紀さんや、2024年12月の小林浩子さんのリサイタルなど、記憶に残る素晴らしい演奏に出会えています。
今回は第6期登録アーティストの片岡菜納子さんと横内魁人さんの二人によるジョイント・コンサートが江南区文化会館を会場に開催されることになりました。
この二人は、新潟の地で活発な演奏活動をされており、これまでも何度か聴く機会はありましたが、新潟の若き音楽家を応援する意味も込めて、今回も聴かせていただくことにしました。
今回はゲストとして、マリンバ奏者の浜まゆみさんを迎えます。浜さんの演奏は、2005年7月と2007年9月にりゅーとぴあで開催されたコンサートでの演奏を聴いたことがありました。その後も新潟に来演されてはいましたが、私は聴く機会がなく、今回久しぶりに聴かせていただくことになりました。
今回は平日夜の開催です。これまで何枚もチケットを無駄にしてる私としましては、行けるかどうか不安もありましたが、江南区文化会館は私の通勤経路上にあり、行けると見込んでチケットを買い、楽しみに待ちました。
ということで、仕事を早めに切り上げて、18時過ぎに職場を出て、国道49号線を進みました。これから天気が崩れる予報が出ており、西の空から雲が広がって来ていましたが、何とか持ちこたえていました。
江南区文化会館に到着して館内に入りますと、既に開場が進んでいました。直ぐに入場して中段左寄りに席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちました。りゅーとぴあ主催ということで、受付や会場案内には、りゅーとぴあのレセさんが出張して来ておられていました。
平日夜の江南区での開催ですので、客の入りとしましては、それなりにというところでしょうか。その分ゆったりと楽しむことができましたが、わが故郷の亀田の皆さんにはもっと聴きに来て欲しかったですね。でも、子供の姿もあったのは良かったです。
ステージにはスタインウェイD274がありましたが、このピアノはたしか、宮谷理香さんが選定したピアノだったように記憶しています。
開演時間となり、最初はピアノの片岡菜納子さんです。上がグレーでキラキラ、下がピンクのドレス姿が麗しい片岡さんが登場して、深く礼をして椅子に座って演奏開始です。
1曲目は、リストの「狩り」です。軽やかに美しいピアノが響き、早速うっとりと聴き入りました。力強い低音と煌めくような高音の対比が美しかったです。ホールの響きは豊かで、ピアノは音量豊かに響いていて、ホールの良さを再認識しました。
ここで片岡さんの挨拶と曲目紹介があり、2曲目はリストの「エステ荘の噴水」です。この曲は、アウトリーチで生徒たちに一番聴いてほしかった曲だそうです。
青空の下に明るく輝いているような噴水のイメージで始まりました。噴水を中心として、揺れ動き、移り変わる景色が広がるようでした。力強さと繊細さを併せ持ち、色彩感のある豊かな表現力で楽しませてくれました。
一旦退場して再登場して曲紹介があり、続いてはラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲」です。コレルリの「ラ・フォリア」の主題をもとに作られた変奏曲であることなどの説明があり、演奏が始まりました。
聴き覚えのある「ラ・フォリア」のメロディで始まり、その主題が様々な形に変わりました。各変奏の対比も鮮やかに、ダイナミックに演奏が続きました。ゆったりした間奏を挟んで再び変奏が複雑に繰り返され、力強いピアノの響きがホールを満たしました。20の変奏を終えて、力強く壮大なコーダを奏でて圧倒し、最後はしっとりと静かに曲を終えました。
大きな拍手が贈られて演奏を讃えましたが、音量豊かに豊潤に響き渡るピアノは聴きごたえがあり、超絶技巧のみならず、繊細な表現力も見せてくれた片岡さんの素晴らしさを感じ取ることができました。これからの活躍を祈念したと思います。
ピアノに譜面台が設置されて後方に移動され、椅子が入れ替えられて、ピアノの前に譜面台が設置されました。
続いては、サクソフォンの横内魁人さんです。ピアノで共演するのは渡部乃亜さんです。黒いドレスの渡部さんと、上下黒の横内さんが登場して演奏開始です。
1曲目は、デュボアの「りす」です。短い曲でしたが、軽快なピアノとともにサクソフォンが軽やかに明るく響きました。「りす」という曲名のごとく、リスが駆け巡る光景が思い起こされました。
ここで横内さんによる挨拶と渡部さんの紹介がありました。そして曲目紹介があり、2曲目はダヴィッドの「トゥピーの目覚め」です。トゥビーとは「こま」のことで、回転する不規則な動きを超絶技巧で表現した曲だそうです。
ピアノの序奏に導かれて、ぐるぐると回転するようにサクソフォンが歌いました。ちょっと不気味で複雑な響きが、次第に快く感じてきたのが不思議でした。
どんどんとエネルギーを高め、迫力ある演奏で圧倒し、静けさの中から沸き立つように回転が始まり、ゆったりとした響きからリズムを刻み続けるピアノとともにパワーを高め、ひと呼吸おいて急発進し、急停止して終わりました。
最後はベルを足で隠すようにして低音を生み出すテクニックを駆使し、抜群の演奏技術で聴衆を圧倒しました。サクソフォンは高音は練習すれば出せるけれど、最低音を出すのは難しいんだそうですね。最後の足を使って低音を出す演奏方法には驚きました。
ここでこのホールの思い出が語られましたが、この江南区文化会館で聴いたサクソフォンの演奏がこの道を目指すきっかけになったとのことでした。
そして、最後の曲は、藝大の入試でも演奏し、サクソフォン界にあっては王道の曲というイベールの室内小協奏曲です。何度も演奏したそうですが、ピアノとの演奏は今回が初めてだそうです。
第1楽章は、激しいピアノとともに始まりました。短い緩徐部の美しい響きと激しさの対比も鮮やかでした。パワーにあふれたピアノとともに、どんどんと大きく盛り上がって終わりました。
第2楽章は、一転して、ゆったりと深遠な響きで始まりました。やわらかなピアノとともに、しっとりと歌い、甘いメロディにうっとりしました。そして曲調が変わってスピードアップ、パワーアップし、力強いピアノとせめぎ合って、パワフルに歌い上げました。カデンツアからどんどんとスピードアップし、盛り上がりの中に終わりました。協奏曲だけあって、サクソフォンとピアノが同等にせめぎ合い、熱くて迫力ある演奏を作り上げてくれました。
低音から高音まで、抜群のテクニックで美しく、力強く響かせる見事さに、横内さんの非凡な才能と魅力が示されました。共演した渡部さんのピアノのすばらしさも特筆すべきであり、渡部さんにも賞賛を贈りたいと思います。
休憩時間にピアノが片付けられ、巨大なマリンバが設置されました。新潟でマリンバ演奏と言えば、本間美恵子さんや倉澤桃子さんがすぐに思い浮かびますが、使用するマリンバは通常の4オクターブのものです。今回のマリンバは5オクターブという巨大さが目を引きました。この楽器を運ぶのも大変だろうなと勝手に心配しました。このマリンバは、世界的マリンバ奏者の安倍圭子さんとヤマハが開発したものだそうです。
ブルーのキラキラの衣装が、ちょっとアラビア風にも感じる浜さんが登場して、後半のゲスト演奏が始まりました。
1曲目は、安倍圭子の「風紋」です。しっとりと静かに風が吹くように始まり、揺れ動き、強弱を繰り返す風が、砂の上に風紋を描く様子が目に浮かぶようでした。
繊細な高音から迫力ある重低音まで、低音側に1オクターブ伸ばされた5オクターブマリンバから、これまで聴いたことがない響きが生み出され、多彩な響きに圧倒されました。マリンバの魅力と奥深さを感じる中にしっとりと終わりました。ここでもホールの音響の良さを実感しました。
ここで挨拶と曲紹介がありましたが、稲穂をイメージしたホールに合わせて、先ほどの「風紋」を選曲したそうです。そして、ダンスの曲を2曲続けて演奏するとのお話しがあり、曲の紹介がありました。
最初はウィッティバーの「リズムダンス」です。激しく、ちょっと複雑なリズムが情熱的にたたみかけるように迫り、その迫力ある演奏に圧倒されました。アランビアンナイトを彷彿させる情熱的なリズムとのことでしたが、これに合わせた衣装だったのかなと想像しました。
続いては「レインダンス」です。右足首に何やら楽器を結び付けて、長い筒状の物を持って演奏が始まりました。
長い筒状の物を上下に揺らし、ザ〜と降り落ちる雨音が表現されました。ホールの照明が変えられて、雨の雰囲気を作り出しました。右足につけられた楽器を足踏みしながらリズムを取って演奏し、激しく大粒の雨が降る様子が表現されました。
雨は弱くなり、しとしとと降り、霧雨のように柔らかく、濃霧の中にいるかのように感じました。静けさの中で一瞬だけ小雨が降り、静かに曲が終わりました。情景が浮かぶような表現力に息をのんで聴き入りました。
ここで曲の説明がありましたが、先ほどの長い筒状の楽器はレインスティックというそうで、足に巻き付けた楽器はカシシというブラジルの楽器だそうでした。
マリンバの説明がありましたが、マリンバは60年前にできた楽器で歴史が浅く、オリジナル曲が少ないこと、安倍圭子さんが作った5オクターブのマリンバのことなどの説明があり、興味深く拝聴しました。
そして、最後に安倍さんの「竹林」が演奏されました。日本的な要素のある和の雰囲気や、リズム、間などに特徴があることの解説があって演奏が始まりました。
早朝の朝もやの中の竹林がイメージされるような音楽が流れ、しっとりと柔らかく、幽玄な響きが心にしみてきました。
情景が変わり、低音が響いて激しさを見せて、5オクターブマリンバの本領が発揮され、その迫力に圧倒されました。マレットの柄で叩いたりの演奏効果もあり、そよぐような静けさから激しさまで、静と動の対比も鮮やかで、聴きごたえのある曲であり演奏でした。浜さんの演奏のパワフルさに圧倒されて演奏が終わりました。
素晴らしい演奏に大きな拍手が贈られてカーテンコールが行われました。浜さんは小柄ながらもパワーにあふれ、トークのときにはチャーミングな話し振りに魅了されました。素晴らしい演奏家ですね。
最後に今日の出演者全員が出てきて拍手に応えましたが、片岡さんが一番長身でいらっしゃいました。若き俊英の更なる活躍を祈りながらホールを出て、薄暗い中に駐車場へと向かいました。
天候は持ちこたえてくれて、雨にならずに良かったです。夜のバイパスは渋滞もなく、快適なドライブで帰宅できました。
江南区文化会館は仕事帰りに立ち寄るにも便利なホールです。ほど良い大きさのホールで、響きも良く、鳴りの良いスタインウェイもあります。もっと活用していただきたいと思います。
(客席:7-9、¥1500) |