小林浩子 ピアノ・リサイタル | |
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2024年12月7日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 スタジオA | |
ピアノ:小林浩子 共演:白石光隆 |
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J.S.バッハ:フランス組曲 ト長調 BWV916より "アルマンド" モーツァルト:ロンド ニ長調 KV485 グリーグ:《抒情小曲集》より アリエッタ Op.12-1 あなたのそばで Op.68-3 民謡 Op.38-2 故郷 Op.43-3 トロルドハウゲンの婚礼の日 Op.65-6 (休憩15分) ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ長調 Op.11 (2台ピアノ版) (アンコール) ショパン:練習曲 op.10-3「別れの曲」 |
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この演奏会は、りゅーとぴあ音楽アウトリーチ事業第5期登録アーティストとして2年間活動された小林浩子さんの、2年間の集大成としてのリサイタルです。 小林浩子さんは、新潟市出身で、新潟で活発な演奏活動をされているほか、伴奏ピアニストとして全国的に活躍されています。 これまでいろいろな機会で演奏を聴かせていただき、その演奏に魅了され、ファンを自認している私ですが、リサイタルとしての演奏を聴くのは、2019年3月のリサイタル以来です。 今回はアウトリーチ終了記念のリサイタルで、りゅーとぴあ主催です。2年間の活動のご褒美というこで、白石光隆さんを共演に迎えて、2台ピアノ版のショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏するのが注目されます。 実は、今日は新潟県民会館で新潟大学管弦楽団第61回定期演奏会、りゅーとぴあ・コンサートホールでは新潟シンフォニエッタTOKI第4回定期公演という魅力的な演奏会が開催され、どちらも聴きに行きたかったのですが、見事に重なってしまいました。 苦渋の選択を迫られましたが、小林さんファンとしましては、2台ピアノ版とはいえ、ピアノ協奏曲を演奏するこのリサイタルを外すわけにはいきません。日時がずれてくれたらなと嘆かずにはいられませんでした。 今日は気温が低く、新潟市内でも雪が降り、本格的な冬の到来を感じさせました。このリサイタルは14時開演なのですが、新潟大学管弦楽団の定期演奏会は13時開演であり、時間的に前半が聴けそうでしたので、新潟大学管弦楽団も急遽聴くことにして、早めに家を出ました。 悪天候で雪が吹き付ける中に車を進め、白山公演駐車場に車をとめて、急いで新潟県民会館に行きました。当日券を買って入場し、新潟大学管弦楽団の素晴らしい演奏に魅了され、前半が終わったところで、りゅーとぴあへと移動しました。 りゅーとぴあに入りますと、コンサートホールでの新潟シンフォニエッタTOKIの演奏会の開場が行われていましたが、それを横目に奥へと進み、スタジオAへと向かいました。 すでに開場が進んでおり、スタジオ内に入りますと、ピアノを2台設置するためか、席が後方に密集して設置されていて、席の間隔に余裕がなく、左右は隣との隙間がない状況でした。後方の席は段が付けられて、高くなっていました。 ピアノは、スタジオAに常設されているヤマハではなく、スタインウェイが設置されており、右隅に後半用のスタインウェイがもう1台置かれていました。 最前列右寄りに席を取り、開演を待ちましたが、いつもお世話になっている音楽仲間とお会いして、お話しすることができて良かったです。 開演時間が近付くにつれて席は埋まり、なかなかの盛況となりました。客席には小林さんのご主人のお姿もありました。 黄緑の花柄ドレスが麗しい小林さんが登場して、1曲目は、バッハのフランス組曲第5番からの「アルマンド」です。柔らかく、ソフトな演奏で、爽やかで優しさに溢れる音楽は、小林さんの人柄を髣髴させるように感じられ、うっとりと聴き入りました。 ここで小林さんの挨拶があり、2年間に渡って新潟市内の小学校でアウトリーチ活動してきたことについてのお話があり、今日の演目についての説明がありました。 そして、2曲目は、モーツァルトのロンドです。軽やかに、流麗に、泉が沸くが如く主題が流れ出て変化し、聴く方の心も明るくなり、ほっこりした気分にさせてくれました。 続いては、グリーグの「抒情小曲集」からの5曲が演奏されました。1曲目の「アリエッタ」は、メランコリックに優しく歌い、2曲目の「あなたのそばで」は、ゆったりと、穏やかに曲が流れ、秘めた思いを感じさせながら、最後は熱き思いを抑えきれず、胸を熱くし、ロマンチックな響きにうっとりしました。3曲目の「民謡」は、ステップを踏みながら、軽やかにリズムを刻みました。4曲目の「故郷」は、心に憂いを秘めて、切ない思いを歌い上げました。そして最後の「トロドハウゲンの婚礼の日」は、軽やかに明るくリズムを刻み、激しさも交えて燃え上がり、大きく熱量を上げて力強く踊り、緩急・強弱の対比も鮮やかで、緩徐部では優しく歌わせ、そして、ちょっとおどけたようにリズムを刻んで、明るく跳ねて、激しく高揚して曲を閉じました。 各曲の対比も鮮やかで、聴き応えある演奏で楽しませてくれました。アウトリーチ活動をするなかで培われた音楽性や表現力の豊かさを感じ取ることができました。 小学生たちを飽きさせずに音楽の楽しさを伝えるには、多くのご苦労もあったことと思いますが、その過程で磨き上げられた表現力が、小林さんの魅力を更に高めてくれたものと思います。 休憩時間にロビーに出ますと、コンサートホールでの新潟シンフォニエッタTOKIの演奏が漏れ聴こえていました。ちょうど聴き馴染みあるレスピーギの曲が演奏されていて、しばし聴き入りました。 スタジオAに戻りますと、もう1台のスタインウェイが設置されて、2台交互に並んでいました。最前列でしたので、眼前の2台のスタインウェイは壮観でした。 時間となり、青緑のドレスに衣裳換えした小林さんと、ピンクのシャツの白石光隆さんが登場しました。白石さんは先日の5台ピアノのコンサートにも出演されていて、新潟ではすっかりお馴染みですね。 小林さんはもちろん楽譜なしでの演奏ですが、白石さんは楽譜を使用し、譜めくりはなんと新潟を代表する男性ピアニストのSさんでした。お疲れ様です。 オケパートの白石さんの長い演奏に引き続いて、小林さんの演奏が始まりました。練習が積まれたものと思いますが、熟練の白石さんの磐石なピアノと堂々と対峙し、ショパンの音楽世界を美しく、力強く創り上げていました。 第2楽章のメランコリックで繊細な調べに涙し、胸を熱くしました。一転して第3楽章は躍動的に弾けて、煌びやかな音楽の噴水が沸き上がり、興奮と感動のフナーレへと駆け上がりました。 期待に違わぬ素晴らしい演奏に胸が高鳴り、感動を抑えきれず、客席から贈られたブラボーとともに、私も力の限りに拍手しました。 オケパートを見事に演奏して小林さんの演奏を支えた白石さんの堂々たるピアノも賞賛すべきであり、大きな拍手を贈りたいと思います。 スタジオAという濃密な空間で聴く2台ピアノの饗宴は素晴らしく、最前列で聴く迫力は鳥肌物であり、贅沢な時間を過ごすことができました。 大きな拍手に応えてのアンコールは、ショパンの「別れの曲」でした。しっとりとした演奏で、協奏曲の興奮を沈め、心に染み入る感動とともに、記念すべきリサイタルは終演となりました。 人柄も演奏も素晴らしい小林さんの魅力は、アウトリーチ活動によって、さらに磨き上げられたようです。最後にこれからも演奏活動を頑張っていきたいとスピーチされていましたが、私も蔭ながら応援を続けたいと思います。 さて、アウトリーチ活動の締めくくりのリサイタルとしては、第2期登録アーティストであった小黒亜紀さんのリサイタルが忘れられません。そのときは中川賢一さんとともに、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が演奏され、大きな感動をいただきました。次はオーケストラでの演奏を期待しましたが、2019年の新潟交響楽団第104回定期演奏会で実現されました。 小林さんも、オーケストラとの演奏を是非とも聴かせていただきたいと思います。新潟にはオーケストラがいくつかありますので、共演の実現を楽しみに待ちたいと思います。 (客席:最前列右寄り、\3000) |