今日は毎年夏に恒例の子どものための芸術文化体験事業「オーケストラはキミのともだち」に、今年も参加させていただきました。
新潟市では、かつて毎年秋に、市内の小学校5年生全員をりゅーとぴあに招待して、東京交響楽団による「わくわくキッズコンサート」を開催していました。
一流オーケストラの演奏を、学校の体育館でなく、コンサートホールで聴くという素晴らしい企画で、子供たちには通常と同様にチケットが配布され、想い出に残る音楽体験を与えてくれました。
東京交響楽団の皆さんは、日曜日の新潟定期演奏会の後に新潟に泊り込み、2日間に渡って1日3公演を演奏しましたが、そのうち1公演は一般人にも対象を広げた「りゅーとぴあ特割コンサート」として開催され、私も2011年に聴かせていただいたことがありました。
しかし、この全国にも誇りうる素晴らしい企画は、市の財政難により2017年を最後に中止され、その代わりとして、2018年より夏休み期間に有料のファミリー向けコンサートとして始まったのが「オーケストラはキミのともだち」です。
小室昌広編曲の「ディズニーのメロディによる管弦楽入門」による楽器紹介を基本として、その他の曲は年毎で変わりますので、毎年聴きに行っても飽きさせないように配慮されています。
指揮者は、2018年と2019年は「わくわくキッズコンサート」に引き続いて当時は東響の正指揮者だった飯森範親さんでしたが、2020年は原田慶太楼さんに代わり、2021年は永峰大輔さん、2022年は原田慶太楼さん、2023年は永峰大輔さん、2024年は原田慶太楼さんでした。今年の指揮者も原田慶太楼さんで、4回目の登場となりました。
小学生を主なターゲットにした内容ですが、東京交響楽団の素晴らしい演奏により大人も十分に楽しめますし、私は精神年齢が子供ですので、今年も聴かせていただくことにしました。
例年のように、11時開演と14時開演の2回公演ですが、11時は3歳以上、14時は小学生以上となっており、さすがに幼児の中に混じるのは気が引けましたので、今年も14時の回を選びました。
夜に雨が降ったりしましたが、その後は天候は回復し、朝から青空が広がって、清々しい土曜日になりました。いつものように与えられたルーチンワークを終えて、某所で昼食を摂り、りゅーとぴあへと向かいました。
白山公園駐車場に車をとめて、お祭りで賑わう白山神社を横に眺め、りゅーとぴあ入りしました。インフォメーションで某コンサートのチケットを買い、チラシ集めをして、開場とともに入場しました。
ホワイエはたくさんの家族連れで賑わい、ユルキャラと写真撮影したり、スタンプラリーを楽しんだりと、子供たちの明るい顔に私もほっこりしました。
ボッチの私は客席に寂しく座り、この原稿を書きながら開演を待ちました。ステージを見ますと、対向配置のようで、コントラバスが左に並び、右にハープやピアノが置かれ、パイプオルガンの照明が点けられていました。
11時の公演に引き続いての2回目の公演ですが、小学生を中心にした家族連れで賑わい、大盛況となりました。たくさんこの子供たちが来てくれて良かったです。
13時50分に濱野さんが登場して、パイプオルガンによるウェルカム演奏が行われました。バッハの「前奏曲 ト長調」が演奏されましたが、開演前のざわつきの中にパイプオルガンの迫力あるサウンドが響き渡り、子供たちもびっくりしたのではないでしょうか。短い曲が1曲だけでしたが、コンサートへの期待を高めるには良かったものと思います。
開演時間となり、拍手の中に団員が入場しました。定期演奏会とは違って、コンマスのニキティンさんが先頭で入場して順に席に座り、全員揃ったところでチューニングとなりました。弦は対向配置の12型で、良く確認できませんでしたが、弦5部は
12-10-10-8-6 でしたでしょうか。
なお、ニキティンさんの名前が小川ニキティングレブになっていました。これまではグレブ・ニキティンだったはずでしたが、改名したのでしょうか。ニキティンさんは某日本人ピアニストと結婚されていたはずであり、これが正式な日本名なのかも知れませんね。
原田さんが颯爽と登場し、開演を告げる「20世紀フォックス・ファンファーレ」が華やかに奏でられ、続けて「ジュラシック・パーク」のテーマが迫力いっぱいに演奏され、ゴージャスなオーケストラサウンドに魅了されました。原田さんが創り出す音楽には華があり、定期演奏会で聴く東響サウンドとは全く異なり、東響の素晴らしさを再確認しました。
ここで原田さんの挨拶とトークがあり、榎本さんが登場して「ディズニーのメロディによる管弦楽入門」が演奏されました。もう何回もこなしている榎本さんですので、慣れたもので、完璧なナレーションでした。
ディズニーの名曲にのせて各楽器の紹介がされましたが、東響の各パートの見事な演奏にうっとりしました。編曲も素晴らしく、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」にならって、最後は壮大なフーガで終わりました。毎年聴いていますが、毎回新鮮な感動をいただきます。良くできた曲だと思います。もちろん各パートの奏者の抜群のパフォーマンスがあってのことですが。
演奏後にどの楽器が良かったかの人気投票が行われましたが、一番はどのパートだったでしょうか。結局指揮者が一番ということがオチのようでした。
榎本さんが下がって、今回は動物をテーマにした曲を選曲したとのお話しがあり、「熊蜂の飛行」で始まり、「小さな白鳥たちの踊り」「卵の殻をつけた雛鳥のバレエ」と、お馴染みの曲が原田さんの楽しいトークとともに演奏され、子供たちを喜ばせました。
「小さな白鳥たちの踊り」ではみんなで指揮をしようということで、指揮をしたい子供たちを募りますと、たくさんの子供たちが行列を作り、順に原田さんに導かれて指揮をしましたが、全員に回らないうちに曲が終わってしまって残念でした。新潟の子供たちも随分と積極的になったものですね。
続いては「ワルツイング・キャット」を流麗に演奏し、打楽器メンバー3人がステージ前方に出てきて「タイプライター」を綱川さんの見事なタイピングで演奏して楽しませてくれました。
そしてトランペットが前方に出てきて「トランペット吹きの休日」が演奏されましたが、この曲でも子供たちの指揮が募られましたが、たくさんの子供たちが列を成し、曲が終わるまでには全員に回らず、最後は残りの子供たちが一緒に指揮をして終わりました。
オルガンの濱野さんが紹介され、最後は毎年恒例の「威風堂々」です。重厚感は排除され、スピード感溢れる華やかで、賑やかな演奏でした。テンポが速くて、行進するスピードではなく、競歩でもするような感じでした。最後はオルガンが加わって、絢爛豪華に大音量で締めくくり、フルオーケストラを聴く喜びを子供たちに知らしめてくれたものと思います。
カーテンコールもほどほどに、アンコールに毎年恒例の「君によせて」がにぎやかな導入部の後にしっとりと演奏され、楽しくも感動に溢れた演奏会は終演になりました。
このコンサートは毎年聴いていますが、プログラムに変化をもたせてくれて、飽きさせないのがありがたいです。原田さんが引き出す東響のサウンドは素晴らしく、子供たちだけでなく、私のような精神年齢が低いジジイにもオーケストラの魅力を存分に感じさせてくれました。1時間に満たないコンサートでしたが、十分な内容であり、子供たちにはちょうど良い時間だったものと思います。
大いに楽しませていただき、音楽っていいなあ、オーケストラっていいなあ、と気分も明るくホールを出ました。白山神社方面からは、お祭りのお囃子が聴こえてきて、賑わいをみせているようでした。
新潟まつりの真っ最中で、昨夜は大民謡流しが行われ、今日は住吉行列、明日は花火大会で幕を閉じます。新潟の夏は最高潮を迎えています。
(客席:2階C3-7、¥1500) |