オーケストラはキミのともだち
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2019年8月10日(土) 11:30 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
管弦楽:東京交響楽団
指揮:飯森範親
コンサートマスター:水谷 晃
 


ビゼー:オペラ「カルメン」より 前奏曲

小室昌広・編曲:ディズニーのメロディによる管弦楽入門

ヨーゼフ・シュトラウス:鍛冶屋のポルカ

ヨハン・シュトラウスU:ポルカ「狩り」

ジョウン・ウィリアムズ:映画「スター・ウォーズ」より 「王座の間とフィナーレ」

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」より 「金平糖の精の踊り」「トレパック」

エルガー:行進曲「威風堂々」第1番 ニ長調 作品39

(アンコール)
久石 譲:「天空の城ラピュタ」より 君をのせて

 

 りゅーとぴあ開館当初から、新潟市の小学校5年生全員が、りゅーとぴあに招待され、東京交響楽団の演奏を聴くという「わくわくキッズコンサート」が毎年秋に開催されてきました。私の娘たちも感動して帰ってきたことを思い出します。
 しかし、新潟市の財政難から昨年度から中止されました。他を切り詰めてでも、次代を担う子どもたちへの採算抜きの投資も必要だと思うのですけれど・・。

 その「わくわくキッズコンサート」に代わるコンサートとして昨年から始まったのが「オーケストラはキミのともだち」です。小学生は500円、中学生は1000円、一般1500円で聴くことができます。日本を代表するプロオケをこの料金で聴けるというのはお徳なのですが、どうせなら未成年はワンコイン(500円)で統一したら良いのではないかと思います。
 このコンサートは、本来オーケストラを初めて聴く子どもたちをメインのターゲットにしているのでしょうが、オーケストラ大好きの昔の子どもも聴かせていただくことにしました。
 11時30分と14時30分の2回公演ですが、11時30分の回を聴くことにしました。昨年も聴かせていただいていますが、曲目の入れ替えがあって、リピーターにも配慮してくれているのもうれしいですね。

 午前の回ということもあってか、客席には空席もありましたが、老若男女で賑わっていました。さすがに家族連れが主体で、私のようなジジイが一人で聴くのは少数派でしょうか。コンサートの趣旨どおり、子どもたちが多いのは何よりと思います。

 拍手の中団員が入場。全員揃うまで待ち、最後にコンマスが出て一礼という東響新潟定期方式です。オケの配置はヴァイオリンが左右に分かれ、コントラバスとチェロが左、ヴィオラが右の対向配置です。第1ヴァイオリンが12人という12型で、いつもの東響より小型です。コンマスは水谷さん、次席は廣岡さんです。

 指揮者の飯森さんが登場して、「カルメン前奏曲」で開演しました。まず、いつもの東響サウンドとの違いに驚きました。小型の編成のためか、サウンドの厚みに欠けますが、いつもよりホールの響きが豊潤に感じられました。これはこれで良い音であり、今日のプログラムにはぴったりかもしれません。

 以後飯森さんのMCで演奏が進められましたが、いつもの飯森さんらしくなく、話がスムーズでなかったように思います。きっと、次の回では修正されることと思います。

 2曲目は、「わくわくキッズコンサート」時代からお馴染みの、ディズニーのメロディを使った楽器紹介です。曲は、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」へのオマージュ的な作品です。最後のフーガはブリテンそのもの。昨年同様に、りゅーとぴあの榎本さんのナレーションで演奏が進められましたが、東響の各セクションの素晴らしさを堪能し、面白く聴けました。

 続いてはポルカを2曲続けて演奏。「鍛冶屋のポルカ」では打楽器奏者2人によるコミカルな演出で盛り上げ、「狩り」では飯森さんも鉄砲を鳴らしてびっくりさせましたが、単なるおふざけではなく、しっかりとした演奏に支えられているため、嫌味はありません。

 次は「スターウォーズ」。個人的にはこれが一番良かったように思います。照明効果も加わって、ジョン・ウィリアムズのシンフォニックなサウンドを見事に具現化し、息を呑むような迫力あるオーケストラサウンドで酔わせました。こういう娯楽的な曲も、東響が演奏しますと、ひと味もふた味も違って、色彩感豊かな交響詩を聴くかのようでした。

 続いて「くるみ割り人形」からの2曲。「金平糖の精の踊り」のチェレスタの怪しげなサウンドのあと、「トレパック」を軽快に演奏し、わくわくさせました。

 最後はオルガン演奏が加わる「威風堂々」です。オルガンはもちろん我らが山本真希さんです。演奏前に飯森さんからパイプオルガンの紹介があり、山本さんがバッハの「トッカータとフーガ」を演奏してオルガンの魅力を垣間見せて、演奏が始まりました。
 この曲は何度聴いても好きなのですが、終盤のオルガンが加わってからの盛り上がりが最高ですね。でも、感動の度合いからいいますと、新潟市ジュニアオーケストラ教室の定期演奏会のアンコールでの演奏に、さすがの東響もかないません。その理由は、9月8日のジュニアオケの演奏会をお聴きになればわかるはずです。
 ちなみに、ジュニアオケを飯森さんが指揮したこともあるんですよ。あのときも良かったなあ・・。などと、曲を聴きながら考えていました。

 アンコールは昨年同様に「君をのせて」でした。何度聴いても良い曲ですね。親しみやすい曲を、日本でもトップクラスの東響で聴く喜びは最高です。良い音楽を聴いた感動を胸にコンサートホールを後にしました。

 このような肩の凝らない名曲コンサート、ポップスコンサートは新潟ではめったになく、貴重な機会でした。また来年も開催してくれるものと思いますが、楽しみにしたいと思います。

 新潟市と準フランチャイズ契約をしている東京交響楽団。「わくわくキッズコンサート」は廃止されましたが、東響メンバーによる市内小学校、特別支援学校へのアウトリーチ活動は継続しています。これからも新潟市と東響との蜜月関係が継続することを祈ってホールを後にしました。

 

(客席:2階C4-5、一般:¥1500)