りゅーとぴあには新潟市ジュニア音楽教室があり、ジュニア邦楽合奏団、ジュニア合唱団、ジュニアオーケストラ教室が活発な活動をしていますが、演劇部門も負けていません。それが、りゅーとぴあジュニア劇団APRICOTです。
2001年に正式に活動を開始し、春・夏に公演を開催しています。私も何度か観させていただき、子どもたちの熱演に大きな感動をいただきました。
今回は2024年8月の夏季公演以来、1年ぶりに参加することにしました。今回の夏季公演の演目は「100万回生きたねこ」で、8月2日(土)・3日(日)の各日2公演ずつ、計4公演開催され、私は2日の夕方の公演を選びました。チケットの売れ行きは良く、両日とも昼の公演は完売となり、夕方の公演も残席僅少という状況でした。
絵本の名作として知られる佐野洋子作の「100万回生きたねこ」は、読む人の年齢で様々な感情を呼び起こし、子供だけでなく大人でも楽しめる物語です。100万回死んで100回生まれ変わるネコの物語を、どのように脚色し、どのように演じてくれるのか、ネコ好きの私としましては大いに楽しみでした。
全4公演開催されますので、これまで通りに一部はダブルキャストで演じられるものと思います。この回のキャストに期待したいと思います。
ということで、14時からのオルガンの演奏会を終えて時間調整し、劇場へと向かいました。既に開場されており、劇場内は親子連れで賑わっており、私のようなジジイが一人で来ているのは寂しく感じられました。サイド席にも客が入っており、ほぼ満席の劇場は熱気が感じられました。緞帳の模様がネコのひげに見えました。
開演時間となって緞帳が上がり、物語の始まりです。100万回死んで、100万回死んだトラネコがいて、100万人の飼い主に愛され、死ぬたびに飼い主は泣きましたが、トラネコは泣きませんでした。
トラネコは、戦争好きの王様、船乗り、サーカスの手品つかい、どろぼう、ひとり暮らしのおばあちゃん、わがままな女の子と、死ぬたびに生まれ変わっていろんな飼い主に出会いますが、飼い主のことも、その生活もトラネコは好きではなく、死んでも悲しくはなく泣きませんでした。
ところが野良ネコとして生まれ変わったとき、100万回死んで100万回生まれ変わったことを自慢しても、他のネコとは違って白ネコだけは振り向きませんでした。トラネコはその白ネコに魅かれ、結婚し子供も設け、白ネコは老いて死んでしまう。このときトラネコは初めて泣き、自分も死んで生まれ変わることはなかった・・。
こんな物語を子供たちが熱演してくれました。音楽はこれまで同様に、野瀬珠美さんですので、いつもの音楽です。生演奏ではなく、録音での音楽に合わせて歌われました。大道具的なものはなかったですが、十分に場面が表現され、サーカスの演技も良かったです。
静かな余韻とともに緞帳が降り、大きな拍手が沸き起こって、カーテンコールが繰り返されました。メインの歌を全員で歌って拍手に答え、手を振って終わりと思わせ、再び緞帳が上がってまた歌いと、盛り上がりもすごかったです。
ストーリーは分かっていましたし、音楽的に特に優れているわけでもなく、休憩なしで70分の公演は疲れも感じて出入りする客も多かったのですが、子供たちの熱演に心は熱くなり、終演の時には胸が高鳴り、目に涙が込み上げてきました。
久しぶりに心が揺さぶられ、大きな感動とともに劇場を後にしました。今回はBキャストでの上演でしたが、明日は昼がBキャスト、夕がAキャストで上演されます。それぞれ1公演を終えて、さらにブラッシュアップされるものと思います。
新潟の子供たちの頑張りに力をもらい、その分だけ少し長生きできそうです。また来年を楽しみにしたいと思います。
(客席:2階15-24、¥1200) |